2-2検査結果_

2-2 検査結果① 低髄圧の勝利をつかむ

検査スケジュール確定

入院したら、すぐに点滴して、矢継ぎ早に検査して、すぐに治療かと思いきや、そんなに早くは進まないらしい。初日は問診と手足の筋力や触覚の左右差が無いかなどの基本的な検査。翌週からの検査説明と同意書の署名などを行った。病院という場所はビックリするくらいこの「同意書」が多い。0.1%でもリスクがあることはすべて説明し、署名を求められる。退院までにかなりの紙の量になった。

入院中に行ったのは下記の検査

◆3/4 腰椎穿刺(髄液を採取して、髄圧が低いかどうか調べる)
◆3/6 頭部MRI(造影剤を事前投与して、更に細部を見えるようにする)
◆3/11 脳槽シンチ(腰椎から薬を入れて髄液が漏れているかどうか見る)◆3/14 CTミエロ(腰椎から薬を入れて髄液漏洩箇所を特定する)

問診で「症状だけみると典型的な低髄圧ですね」と言われたのは、ちょっとホッとした。異常なしと言った医師たちよ!日常を害しているレベルなのに、異常なしなわけないだろー!と心で叫んだ。

まるちゃんの盲腸への共感

このときふと、ちびまる子ちゃんの「まるちゃん盲腸になる」を思い出した。

まるちゃんが腹痛を訴えるが、ふざけた顔のため家族にも心配されず、ヤブ医者に当たりきちんと診察してもらえず苦しむまるちゃん。後日、別の病院で盲腸と診断され、手術ではなく薬で散らす方法をとったため再発に怯える姿まるちゃんの幕を閉じる、といった話だ。

物語後半で「今回ばかりはあたしの盲腸の勝利だよ」とまるちゃんが家族に言ったごとく、「低髄圧の勝利」をつかみとりたいところである。検査結果次第ではあるが、早く病名がわかってほしい。このときはただひたすらその思いが強かった。

髄液検査前の緊張

髄液採取は痛そうなイメージなので思わずGoogle検索してしまう。「腰椎穿刺」と入力すると「痛い」が関連ワードで出てくるので、ビクビクしながら読んでみると、「麻酔は痛いが意外と平気な検査」らしい。背中を丸めて骨の間に隙間をつくることで、針が内部に入りやすくなるとのことだがさてどうなるか・・・。

そして、検査当日を迎えた。入院中の病室でカーテンを閉めた状態で検査が行われ、検査そのものは30分以内ですべて終了した。ベットに横向きに寝て、医師の指示通りぎゅっと背中を丸めると手にじんわりと汗が滲んだ。局部麻酔を使用するとはいえ、そもそも麻酔の注射が結構痛い。虫歯治療の麻酔がレベル3くらいだとすれば、こちらの局部麻酔はレベル6くらいだと思う。「触覚」だけは残るので、一気に投薬されたという感覚と、注射針自体の痛みはある。しかし1分以内に穿刺箇所は麻痺して触られた時の感覚は鈍くなってくる。針がメリメリと進む瞬間は恐怖で「ぐぉっ!」と痛みが出ると麻酔を追加しながら針を奥へと進めて貰った。

低すぎる髄圧

髄圧は「mmH2O(ミリ エイチツーオー)」という単位で表される。「水を張ったコップに一定の圧力をかけた場合、何ミリ水面が上昇するか」という指数であると医師からは解説を受けた。参考数字は下記の通り。

◆60mmH2O以下 低髄圧
◆70~180mmH2O 正常
◆200mmH2O以上 髄膜炎、クモ膜下出血など

事前に医師より「あまり多く髄液を採取すると、それが原因で低髄圧症状が強く出てしまうので、少量の採取にします。また、あまりにも髄圧が低すぎると採取できない場合があるのですが、それはそれで低髄圧確定です」と言われていた。

注射針は患部に命中しているようなのだが、どうやら髄液がほぼ採取できないカラカラの状態であったらしく、処置にあたっていた研修医の先生のかすかな焦りを感じた。そこで、主治医の先生が私の正面に回り込み、頚動脈を圧迫したら、ジワリと髄液が注射針の中に入ったようだ。

医師からは「正常値の髄圧が大体100mmH2Oくらいなんですが、60を下回ると低髄圧と言われています。平山さんの場合、20なので相当低いです」と言われ、ちょっとガッツポーズした。あー、やっと病名がわかった!相当重症な部類には入ると思うが、病名が分かった嬉しさのほうが大きかった。

頭部MRI撮影

腰椎穿刺の2日後、造影剤による頭部MRIの検査が行われた。固定されて狭いところに入って、ガチャガチャ音がなるあの検査だ。閉所恐怖症の人はとにかく苦手と言われており、弱めの眠り薬などを使用して検査をする人もいるのだとか。私は、良くも悪くも鈍感にできているようなので、何もせず検査にのぞんだ。

翌日には読影結果を医師が報告に来てくれた。写真を見ても私はよく分からないのだが、頭蓋骨の内側にある「硬膜」がかなりクッキリ写っており、広範囲での肥厚が認められ、これが低髄液圧症候群の所見と合致するとのこと。

発症から約2週間、やっと病名が確定し治療に入ることができると安堵した。少しずつではあるが、前に進んでいる。

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