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音楽で紐解く《にほん》 長唄「君の庭」

第7回伝統音楽レクチャーライブ「音楽で紐解く《にほん》」

長唄のお師匠さんであり、茶琴神明店主の杵屋彌生十代先生が開催するレクチャーライブの第七回目。今回も、十代目お家元 杵屋彌十郎先生をお招きして開催して頂きました。

前半は、秋の長唄「君の庭」を、彌十郎先生のお唄と彌十代の三味線で演奏されました。

レクチャーライブでは、毎回、彌十代先生からテキストが配布されて、演奏する曲を解説をしていただきます。

「君の庭」は長唄師匠 岡安喜代茂の床開きを祝して作曲されたものです。長唄の三傑と呼ばれるうちのふたり、二代目杵屋勝三郎が前半を、三代目杵屋正次郎が後半を作曲しています。

そして前半の歌詞では、山田流箏曲「小督(こごう)の曲」より、平家物語に登場する美しい箏の音色を奏でる小督を唄い、後半は一転して現代(江戸末期)の吉原遊郭の店先で三味線を弾く遊女を唄います。

なんと壮大な唄なのでしょう。
それもそのはず、この曲が作られたのは安政六年、安政の大獄が起こった年だったのです。彌十代先生は、この曲に込められた作曲者の思いを丹念に解説してくださいます。

テキストには、
「三味線の合手(独奏部分)は、半音を多く使い、右往左往した様子を表現するリズムがあり、当時の不安な情勢が反映されたよう…」
とあります。

安政の大獄…その動乱期に作られた「君の庭」は、きっと色々な伏線が張られていると深読みしてみると、ミステリーのごとく読むことができるかもしれません。

そして、一丁一枚の演奏が始まります。
国立劇場の舞台にも出演されるお家元が、彌十代先生とおふたりで、アットホームな雰囲気の中でお唄を聴かせてくださるなんて、とてもありがたいことです。

「君の庭」。まだまだわたしにとっては難解ですが、何度も繰り返し聞いてみたい一曲です。

(後半に続く…)

◼️茶琴神明(佐倉・文化芸術教室)
http://www.chagoto-shinmei.jp/

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