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きょうだい会#05(20231217)

開かれた対話の、はじめの一歩(その2)
前回:「自分の悩みを打ち明ける」
今回:「相手からフィードバックをもらう」

きょうだい会は、みなさんと対話を深めることで、小さな気づきを持ち帰って頂きたいと思って始めました。見たものや、聞いたこと、何かに触れたり、本を読んだり、何らかの刺激を受けて、自分の内で気づきが起こることがあります。

前回、開かれた対話のはじめの一歩として「自分の悩みを打ち明ける」ということをお話しました。私の場合は、母の晩年に、「母にもしものことがあったら、とても不安だ」ということを打ち明けたことをきっかけとして、母と兄との対話がはじまりました。自分の気持ちを伝えることで、今まで見えなかった自分に気づくこともありました。

今回は、(対話の)相手のフィードバックから得られることについてお話ししたいと思います。

⚫自分の内にあることを書き出す
わたしは母が亡くなった後、とあるライティング講座を受講し、母の晩年に兄と過ごした日々のことを(吐き出すように)書きました。若い頃から、日記をつける習慣はありましたが、自分のことを書いて他人に読んでもらうことなど到底考えていなかったですし、ましてや、自分の生い立ちや家族のことをSNSで開示するなんて想像もしていませんでした。

わたしがその講座で提出した原稿は、それまで書き留めていた日記を継ぎはぎしたものになりました。母の晩年、それまで一緒に住んでいた兄は、母の介護が負担になり、統合失調症の症状が悪化して入院するという顛末を書いて提出しました。

これまでもお話ししたように、私はそれまでは兄についてはフタを閉めて隠していたのですから、誰にも言えなかったことを言葉にして、誰かに読んでもらうという初めての体験でした。

⚫兄から指摘を受けたこと
それからしばらくして、今度は書いたものを兄にも読んでほしいという衝動に駆られて、原稿を渡したのです。怒らせるかな、と思いながら冷や冷やしていたのですが、数日後に「読んだよ」と原稿を手渡しされたのです。その様子から、あまり機嫌が良くないんだと思い、その日は口も聞かずに終わりました。

それからしばらくして、兄と話す機会がありました。「きょうだい会」のことや、「書くことが面白い」と思うようになってきた、と話しているうちに、例の原稿のことついてどう思ったのかを聞いてみたのです。すると、「あの原稿には大事なことが書かれていない」と言われました。(中略)

⚫わたしの内にある「病み(闇)」
たしかにその通りでした。そして、ライティング講座で提出した原稿に「(無意識に)大事なことを書かなかった」ことにも大きな問題があると気づきました。つまり、「自分に都合の悪いことは隠してしまう」のです。兄の絵のことを話して美談にしていたのですが、実は(無意識に)罪悪感に苛まれている自分もいることに気づきました。

わたしは、兄から指摘を受けて、なるほどそうかと原稿を書き直して、また読んでもらったのです。何故、わたしがそうしたのかを包み隠さず書きました。そうすると、ようやく兄から「よく書けている」と言われました。これは大きな収穫でした。

自分の内にあることを伝えるのは、とても勇気がいることで体力も消耗します。だから途中で楽な方に逃げてしまったのだと思います。精神疾患はとても難解なテーマなので、わたしの技量で正確に伝えるのは到底無理があるのに、知ったかぶりをしてしまう。そして大事なことを隠してしまう。兄との対話を通して、自分が抱えている「闇(病み)」に気がつくことができたのです。

⚫自分語り(かくこと話すことなど)で闇に光を当てる

ここ(施設)できょうだい会を実施したいと思ったのは、こころの闇(病み)と向き合っているこころの専門家(当事者)がたくさんいらっしゃるからです。こうしてなかなか話せないことも聞いてもらえるのはとてもありがたいことだと感じています。そして、ここでは誰もが主役で、誰もがサポーターになれるのです。

今日は、
「開かれた対話の第一歩 その2」として、「対話相手に応答する/応答してもらう」ということをみなさんと一緒に考えてみたいと思います。


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