陰謀の夢

 山間にある小国は、麗しき女王の治める国。数年の停戦を経てようやく戦争を終わらせ、敵国と不可侵条約を締結させたばかり。
 有名な「砦の戦い」では多くの仲間・家族が生き埋めのようにして死んでいった。そこで生き残ったのは私と妹だけ……だが、失ったものを嘆いても始まらない。守れた命を大切にして、戦ったことを誇りに思おう。これから自分たちは中央の土地を離れ、地方の復興に貢献しながら、2人で生きていくのだ。

 半動物の姿になって、久しぶりに冬の川辺で遊んでいた。薄氷をよけて森の奥に入ると、取り残されたように寂れた集落に迷い込む。そこの住民と仲良くなって歓待されたが、しっかりしているが子供にしか見えない少年は24歳なのだという。隣に座る10歳の妹と、見かけがほとんど変わらないことに驚いた。さらに驚いたのは女王も飲んでいるものだと得意げに渡された飲み物だ。女王は酒を嗜まない……しかもコレは、精神を蝕み肉体の成長を阻害するものとして飲用が禁止されている違法アルコール飲料ではないのか。「そうでなくても、女王は酒を嗜まない」そう伝えるも、中継ラジオやテレビでいつも推奨されているではないかと否定される。水晶画面に映った女王の手元には確かにグラスが握られているが、これは女王の手じゃない。そう伝えても、なぜ分かる?と信じてもらえなかった。

 苔むした地層から抽出されるそれは、簡単に手に入る毒としても有名だ。ここでは水代わりに飲まれているという。一体どこの誰がこんな嘘を広めてまで飲ませようとしているのだ? なんの目的でこんな酷いことをしているのか……知らずに衰弱していく人々をどうするつもりなのか。2人は諸悪の根源を探すべく、供給元を辿ることにした。

 真夜中の引き渡し場所。そこから2人は奴らを尾けて、たどり着いたのは……


 なにやら、戦後の陰謀や世直しがテーマの物語のようでした(笑)

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