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140字小説

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140字の小説を3編づつ掲載しています。
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記事一覧

140字小説/深

保育所の送迎は深緑色のホンダZだった。祖母の車。昭和五十年代。地元では運転する年配の女性…

若林明良
1日前
15

140字小説/遠

遠い昔、人類は箱であった。ときおり展開し光合成した。箱に戻る際、誤ってたびたび蝶を閉じ込…

若林明良
2日前
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言葉の舟 140字小説

ほしおさなえさんの「言葉の舟 心に響く140字小説の作り方」読了。後半のコンテスト入賞作品…

若林明良
3日前
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140字小説3編「黴パン・白鳥の湖・ラーメン屋」

黴パン 子供はなぜ食べ残した給食のパンを持って帰らずお道具箱に入れるのだろう。生徒からの…

若林明良
8か月前
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【御礼】春の星々(140字小説コンテスト第4期)

佳作をいただきました。ありがとうございます! 月々のお題に年末から投稿を続けていましたが…

若林明良
10か月前
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140字小説3編「女優・名前・塩の瓶」

女優 水野真紀、水野美紀、坂井真紀、酒井美紀のドラマを作りたい。テレ朝木曜9時の層。セレ…

若林明良
1年前
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140字小説3編「魔法の粉・餃子・カツ丼」

魔法の粉 ラーメン店の各テーブルにある調味料。食する前にこれをひとふりするとあら不思議、場末の店と思えぬ奥深い味になるのである。原料は店主以外誰も知らず魔法の粉と呼ばれている。ある男が店主の留守中に厨房に忍び入り、魔法の粉調合中と思しきタッパを開けた。そのまま店を出て二度と来店しなかった。 餃子 今日の調理実習は餃子。皮担当の斎藤さんが強力粉の袋を開けた。こねこね、ぺたぺた。分度器で羽根の陰影を成形し額から汗を溢れさせ目を血走らせながら、実習が終わっても粉と格闘していた

140字小説3編「詐欺・保健室・ラブレター」

詐欺 電話を保留にして訊いた。「グーグルプレイカードってどこですか」若い女の店員が売場ま…

若林明良
1年前
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140字小説3編「マクドナルド・蜜柑・むかで」

マクドナルド 家に帰るとマクドの臭いが漂っている。ここのバーガーを食べる際に誰もが体感す…

若林明良
1年前
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140字小説3編「絵・風邪・水たまり」

絵 小学校入学後の初めての授業が図画だった。チューリップ。この花は大きな花弁が6枚重なり…

若林明良
1年前
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