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名曲に言いたい ~CHEGE and ASKA~

1.明け方の君

1991年発売のアルバム「TREE」収録曲。作詞/作曲 飛鳥涼。このタイトルはおそらく源氏物語の「明石の君」をもじって付けていると思われます。男性が昔の恋人を思い出して、ああ綺麗な人だったな~とか言って懐かしむ心情をうたっています。すごく好きな曲なんですが、私は大学生の時にこの曲を聴いてからずっと、もやっとした気持ちがありました。それは歌詞のなかの、

もう君を忘れたいと思うよ 今は
君を愛してたくらいに 愛したい人が居る
彼女は僕の中の 君までも愛せる人
いつか君に告げたよりも 聞かせたい言葉がある

というフレーズです。面倒なので歌詞全文は載せません。ご興味ある方は検索してみて下さい。

「彼女は僕の中の 君までも愛せる人」

・・・そんな女はおらんわ。


いるとしたら、「君」が既に亡くなってこの世にいないか、恋人が絶対に他の女性に心映りしない確固たる自信があるか、既に恋人に愛想を尽かしているのでどうでもいいと思っているかの、どれかの場合だけです。

「あなたの昔の恋人は、綺麗で魅力的な人だったのね」と、さも物わかりよいフリをしていても、彼氏がこんな未練がましい歌をこさえて歌っているのを知ったら、半狂乱になるに違いありません。本気で好きなら尚更。

辛口あいすみません。もちろん、世の中には菩薩みたいな人間も多少はいるかもしれませんよ。しかしおそらく、この心情は恋愛経験者なら少しはお判りいただけるのではないでしょうか。創作をされる皆様ならご理解いただけると思うのですが、必ずしも「作中主体=作者」ではないですよね。だからこの歌も「作中主体=飛鳥涼」とは限っていませんが、それにしても飛鳥さん、ちょっとロマンチストが過ぎるというか、オメデタすぎる・・・笑

あっ飛鳥さん、もしかして作中主体=光源氏、昔の恋人=明石の君、今の恋人=紫の上 に模して作ったのかな~といま思いました。

2.好きになる


こちらも非常に好きな曲です。CHAGE and ASKAのベスト5を決めろと無理なことを言われたら、その時々の心情で変動しますが、常に入ってる曲です。1996年発売のアルバム「CODE NAME.2 SISTER MOON」収録曲。作詞/作曲 飛鳥涼。

1995年のNHKドラマ新銀河『妻の恋』主題歌です。たまたまTV付けたら放送していて、いつものチャゲアスとちょっと雰囲気ちゃうけどすげーいい曲、と思って、曲聴きたさに全話見てしまいました。主演古手川祐子&竹脇無我。平凡な主婦に突然降って沸いた、大人の恋の話。いまWikiみたら脚本が内館牧子ですって、へええ。

私はこの曲のここに注目します。

現在(いま)がすべてと思いたい
過去は嘘でもかまわない
君のこと… 君のこと…

「過去は嘘でもかまわない」とは、「君の過去を知りたい、けど、知りたくない」というアンビバレントな心情だと思うんですね。相手を想う気持ちが強いほど、過去には違う誰かのものだった、そんな話は聞きたくない、知りたくない。いま目の前にいる僕だけを見て。

……という気持ちを表していると思うんです。でですね、この曲の作中主体が「明け方の君」と同じと仮定します。飛鳥涼と同じとは言いません。するとこんな男性像が浮かびます。

僕の昔の恋人を、君は褒めてくれる。愛してくれる。
でも僕は、君が過去に誰のものであったかなんて、知りたくないもんね。

無茶苦茶勝手やんこの男😑


いや、恋ってそう、無茶苦茶自分勝手ですよね。それでいい。「好きになる」は恋をするってこういうことなんだと、溢れる熱情を美しい比喩やさしいメロディで抑えて言ってくれている。好きすぎて、あまり聴き過ぎて飽きたらいやなのでたまにしか聴かないことにしています。



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