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低学年で身に付けたい10のフットワーク(オフェンス編)

運動神経を向上させること

低学年では、運動神経を向上させる、すなわち、身体を思い通りに動かせるようになるために、コーディネーション・トレーニングを充実させるのが有効だと、以下記事の「<年齢別>小学校バスケで教えてあげたいこと」で書きました。コーディネーションは、脳神経のトレーニングなので、練習日に関係なく毎日できたら効果的だと思います。そういう意味で、今回の内容は、公園や広いお家では自宅でできますので、お子さんとやってみてください。

バスケに使えるフットワーク

幼稚園から1・2年生は、とにかく身体を動かすことが重要なので、バスケに縛られず、多様な動きを含めたコーディネーション・トレーニングも有効です。しかし、3・4年生になると次第に試合に出たりしますので、少ない練習時間を考慮すると、コーディネーショントレーニングにも、バスケにつながる動きのを含めたトレーニングが不可欠です。特に、フットワーク(足の動き、足さばき)は、脳で考えずに無意識に行う必要があるので、早い段階からやっておくと、高学年になった時にプレーの習得が早くなります。1・2年生は、ちゃんとできなくても良い前提で、3・4年生は基本の動きを徹底して正確にできるように指導します。
今回は、オフェンス系に絞って10個のフットワークを説明します。

練習としては、オールコートを使って、エンドラインからエンドラインに向かって進んでいく形になります。人数にもよりますが、5列ぐらいに並んで、5人ずつ進んでいくと良いでしょう。

基本動作:「止まる」に関わるフットワーク

バスケでは、ストップ&ゴーと言って、急に走ったり、急に止まったりする動きが多いです。そのため、急に止まるためのフットワークと、急に動き出すためのフットワークの習得が必要です。

まず、急に止まるフットワークについて、子供達は、走った状態から急にピタッと止まれずにフラフラして、一歩余分に出てしまうことがあります。実際の試合ではトラベリングになってしまいます。これは自分の重心を感じ取れていないことが理由です。しっかり止まることはバスケでは重要な基本動作になります。コーディネーションの「バランス」に該当するでしょう。

具体的な動作の説明をします。急に止まるフットワークでは(01)ケン・ケン・パ(02)1・2・パ のリズムで動きます。音からイメージできると思いますが、(01)では、ケンケンで2歩進み、次に両足で着地して止まります。(02)は左右で踏み出して、同じように両足で着地します。注意すべきポイントは、パで両足で止まる時に、フラフラしないことです。もう1歩足を動かしてはいけません。ピタッと両足で止めさせてください。また、重心を調整するために、下を向いて止まる子が多いです。実際のバスケでは、下を向いては止まりませんから、正面を向いてピタッと止まらせるようにしてください。パワー・ポジションという胸を張って、腰を反って、膝を曲げて、腰を落とした姿勢を覚えさせてください。最後に、ケン・ケンと1・2のところを弱く短くして転ばないよう調整する子がいますが、スピードが遅いと止まる練習にならないので、思いっ切り全力で前にステップさせてください。

止まる

本来は(02)1・2・パができれば良いので、(01)ケン・ケン・パは不要という意見があります。理屈では賛成ですが、2つの理由で入れています。1・2年生には、いきなり(02)から入ると両足ストップができない子がいます。一方で、多くの子は(01)ケン・ケン・パは分かります。そのため、あえて(01)を入れてから、本来の狙いの(02)入れています。もう1つの理由は、片足立ちのバランス感覚のトレーニングです。とはいえ、状況に合わせて(01)を除外してもらうのも可能です。

基本動作:「動き出し」に関わるフットワーク

次に、動き出しのフットワークについて説明します。普段の生活では何気なく歩き始めていると思いますが、バスケでは左右の両方の足のどちらでも歩き出せる必要があります。利き足ばかりでスタートしているとディフェンスされやすくなってしまいます。また、ディフェンスが正面にいる場合は斜め前に歩き出す必要があります。この場合、右前方向に進むのに、右足から動かすステップと、左足から動かすステップの2通りがあります。前者がオープン・ステップ、後者をクロス・ステップと呼びます。つまり、4通りの動き出しを自在に選択できるようにトレーニングしておく必要があります。これができると、1対1のオフェンス勝負でディフェンスを抜く選択肢が増えます。

具体的な動きの説明をします。歩き出しのフットワークでは、最初に、その場で両足ジャンプして着地するところからスタートします。その後、斜め前に2歩進んで、両足で着地して止まります。次に、もう一度、その場で両足ジャンプして着地して、1・2歩進み・・と繰り返します。歩き出しの練習ですので、まずは両足着地したシチュエーションを作るため、わざわざ、両足ジャンプを入れています。リズムとしては「パ・1・2・パ」となります。最初にオープンステップ、次にクロスステップをやります。オープンステップとは、進行方向の足からスタートする歩き出しです。クロスステップとは、進行方向の逆の足からスタートして身体をひねる歩き出しです。(03)パ・1・2・パ(オープンステップ)(04)パ・1・2・パ(クロスステップ)でトレーニングをしていきます。最初のパでは正面を向いて、続く1・2・パは斜め前の進行方向を向きます。1・2年生は頭が混乱するかもしれませんが、時間を掛ければ、必ずできるようになります。3・4年生では、左右もオープンもクロスも無意識にできるぐらいに指導していきます。

動き出し

斜め前に進むフットワーク練習では、子供達がぶつかってしまいますので、スタート前に、最初は右斜めに進むか、左斜めに進むのかを決めてあげてください。

因みに、このステップは、ステップイン・シュートでも活きてきます。ステプイン・シュートとは、シュートのフリをして、相手ディフェンスをジャンプさせ、一歩踏み込んで打つシュートです。ステップのステップで、右・左で、クロスとオープン(スライドステップ)ができると強力です。

基本動作:「ピボット・ターン」に関わるフットワーク

バスケの特有の動きとして「ターン」があります。クルリと回転して、向きを変える動きです。これも日常生活ではない動きですので、トレーニングしておく必要があります。

まずは「ピボット・ターン」です。バスケでは、ドリブルをして止まってしまうと2歩しか動けません。余分に歩くとトラベリングという反則になってしまいます。正確には、止まった時点で1歩になりますので、片方の足だけが動かせるという状態になります。この時、片方の足を軸足にして、もう片方の足で身体を回せる状態になります。この身体を回すことと「ピボット・ターン」と呼びます。軸足のことを「ピボット・フット」と呼び、自由に動かせる足を「フリー・フット」と呼びます。円を書く文房具のコンパスに似ており、針が「ピボット」で鉛筆の方が「フリー」となります。これが低学年では、なかなかできません。ピボット・フットがズレて、じわじわと歩いてしまい、トラベリングとなってしまいがちです。また、ターンですので、前方向へのフロントターンと、後方向へのバックターンの両方を習得する必要があります。

具体的な動きの説明をします。ピボット・ターンを覚えるフットワークでは、前述の(02)1・2・パを、斜め前方に進みます。パで両足ジャンプをした後に、片足を軸にフロントターンをして、バックターンで元に戻ります。90度ぐらい回転すれば十分です。リズムとしては(05)1・2・パ・前・後とします。右斜前に進み、パでと止まったら、左足をピボットフットとします。左に進む場合は右足をピボットフットとします。ゆっくり1セットずつ止めながら行うと良いでしょう。注意すべきポイントはピボットフットです。ピボットフットがずれてしまうとトラベリングになってしまうので、ズレないようにします。ポイントは「母指球」と呼ばれる親指の付け根の膨らみです。母指球をコンパスの針に見立てて、しっかりと突き刺して、ピボットターンをさせます。

基本動作:「バック・ターン」に関わるフットワーク

次に「バック・ターン」です。上記の「ピボット・ターン」のトレーニングでも、バックターンは行うのですが、ピボットとして停止した状況からのターンでした。今回の「バックターン」では動きながら行うターンのステップです。ドリブルしている時に、ディフェンスに追い込まれて、それを交わすために回転して向きを変えるシーンを想定しています。

具体的な動きの説明をします。バックターンは(06)1・2・パ・ターンのリズムで行います。基本の足の動きは、前の(05)ピボット・ターンでできていると思います。今回のバック・ターンのポイントは1回のターンで270度回転するところです。また、説明の通り、このターンは動きながら行うことを想定したステップですので、1・2・パ・ターン、1・2・パ・ターンと、一定のリズムで連続して行うと良いでしょう。1・2年生で混乱してしまう子は、ゆっくりやっても問題ないです。

バックターン

基本動作:「レイアップシュート」に関わるフットワーク

レイアップシュートは、スラムダンクで「庶民シュート」と呼ばれるシュートです。小学生で、レイアップシュートが綺麗にできれば、バスケットをやっている感じがします。レイアップシュートでは、片足飛びで身体を持ち上げることが最初です。その意味で、膝と上げてジャンプする練習をさせます。
膝を上げてジャンプができるようになると、レイアップシュート特有の「1・2・ポイ」というリズムを習得させます。左足で踏み切ってジャンプし、空中で右膝を上げて右手を上げる姿勢を覚えてもらいます。(逆も然り)この足の動きは、幼稚園や1・2年生には、なかなか難しいです。また、左右どちらでもできる必要があります。レイアップができる3・4年生でも、利き足でないレイアップは不得意なことがあります。右も左も自信をもって自在にレイアップシュートができるようにしておきましょう。

具体的な動きの説明をします。最初は、膝を上げてジャンプする練習ですので、スキップをさせます。子どもたちにとっては、少し休憩になると思います。リズムは(07)いーち、にーい、ぐらいのゆっくりが良いです。この時、膝をしっかり高く上げるように指導します。また、膝を上げた片足ジャンプでも、空中でバランスを取れるように、背筋を伸ばすように注意します。

次に、レイアップシュートのステップです。まずは、空中での姿勢を教えます。空中で膝を上げて、腕を上げるポーズが、マリオがコインを落とす時のポーズに似ているので「マリオ・ジャンプ」と呼びます。そのため、リズムは(08)「1・2・マリオ・タタン」とします。1・2は左右交互のステップで、タタンは着地の足音です。右足が1歩目になると、2歩目が左足になり、左足で踏み切って、右の膝を高く上げ、右手を上げて、左・右で着地します。次は、左足が後ろにあるはずですので、左足が1歩目になり、左のレイアップのステップになりますので、これを交互に行います。

レイアップ

応用動作:「シュート・ステップ」に関わるフットワーク

小学生では、まずレイアップシュートできれば十分です。しかし、5・6年生になって高いレベルを目指すならば、複雑なステップでシュートに行ける技術を身につける必要があります。1つはユーロ・ステップ、もう1つはギャロップ・ステップです。最終的には、ボールをもってシュートに行くところまで練習する必要がありますが、低学年向けのフットワークとしては、5・6年生になってから、この2種類のシュートステップができるようになるための布石として、足の動きをトレーニングしておきます。

具体的な動きの説明をします。ユーロステップは、子供達には、ジグザク・ステップとして教えると分かりやすいと思います。(09)1・2・3・4・5のリズムでステップをします。1・2・3までは前に進むのですが、4で横方向にキックして横に飛び、5で再び横方向にキックして元の場所に戻ります。これを繰り返すと、ちょうど左右交互になるはずで、右のジグザク、左のジグザグができるようになります。気を付けたいのは、膝の使い方です。横に踏み込んだ時に、しっかり膝を曲げないと、膝をグネる可能性があります。上から見て膝をつま先の上に曲げる感じになると、グネり難くなります。

もう1つのギャロップ・ステップの具体的な動きを説明します。ギャロップとは、馬の疾走する様子のステップという意味です。どの辺が馬っぽいのか分かりませんが、特長的な動きとしてはジャンプした時に空中で身体を回して向きを変える点です。そこで、フットワークとしては、空中で身体を回すトレーニングとなります。リズムとしては(10)1・2・3・クル・クルとなります。3歩進んで、そこから両足飛びで180度回転し、着地後に逆回転で180度回転させます。これを繰り返すと、左右のギャロップ回転ができるようにになります。

シュートステップ

まとめ

(01)ケン・ケン・パ          止まる
(02)1・2・パ            止まる
(03)パ・1・2・パ          動き出す

(04)パ・1・2・パ          動き出す
(05)1・2・パ・前・後        ピボットターン
(06)1・2・パ・ターン        バックターン
(07)いーち、にーい、         スキップ
(08)1・2・マリオ・タタン      レイアップ
(09)1・2・3・4・5        ユーロステップ
(10)1・2・3・クル・クル      ギャロップステップ

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