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バスケを教えるか?バスケで教えるか?

何のためにコーチをしているか?

「バスケを教えるか?バスケで教えるか?」という問いはコーチとして、何に使命感を感じて活動しているのか?どんな価値を子供達やチームに提供しているのか?につながる本質的な問いである。同様に、選手や保護者の視点では「バスケを習うか?バスケで習うか?」ということになる。小学生の選手には難しいかもしれないが、少なくとも保護者の方には、チームに所属して、子供達に何を得て欲しいのか?という問いになる。

僕は、バスケは未経験だが、現在、ミニバスチームのヘッドコーチをやっている。息子たちも卒団した現在では、子供達や地域との関わり持ちたいという動機と、教育的な活動に関わりたいという動機が、コーチを続けている理由である。

つまり、僕にとってバスケの指導は目的ではない。バスケやスポーツを通じて、子供達が将来大人になって役に立つ自信・経験・思考を与えてあげることが、僕の提供価値であり、使命感であると思っている。言ってしまうと、バレーボールでも野球でも柔道でも吹奏楽でも、僕にとって何でも良かったんだと思う。運命として偶然的にミニバスにであったのだと思う。

だから、バスケを教えることは手段でしかなく、本質的には、バスケで(子供達が彼らの将来で役に立つだろう自信・経験・思考を)教えたいと思っている。以下に、もう少し詳しく背景を整理しようと思う。

人生を豊かにする「非認知能力」

学力テストやIQテストで測定されるような能力を「認知能力」といい、数値化されないが子供の将来や人生を豊かにする能力を「非認知能力」と呼ぶ。具体的には、物事に対する考え方、取り組む姿勢、行動である。そして、それらは日常生活・社会活動に大きな影響を及ぼす重要な能力と言われる。

ノーベル経済学賞受賞者のジェームズ・J・ヘックマンらの研究チームが、幼少期の活動が、その後の人生に対してどれほどの影響あるのか?を研究していた。結論として、テストで測定できる認知能力よりも、テストでは測れない非認知能力の方が影響が大きいことが分かった。それを受けて「非認知能力」の育成の重要性が注目されるようになり、OECD(経済協力開発機構)でも2015年に非認知能力を定義してPISAの調査にも反映している。

スポーツは「非認知能力」を育てる

スポーツは、勉強や受験では教えてくれないことを教えてくれる。目的設定、役割分担、目標設定、計画立案、日々の努力、周りの巻き込み、など、まさに物事に対する考え方、取り組む姿勢、行動であり、非認知能力を醸成できる。もちろん、スポーツだけなく、音楽や演劇などの文化活動や、工作や美術の創作活動なども、勉強とは異なる学びがある。学校行事でいうと修学旅行や文化祭や合唱コンクールなども、勉強とは違う学びの機会になっている。

スポーツに特化すると、就職活動において「体育会採用」というのがある。大学で体育会系の部活に所属している学生を優先的に採用することを意味する。企業側が全力でスポーツに打ち込んできた学生を優先的に採用する理由は3つあるらしい。1つ目は勝負や競争にこだわる点。2つ目はルールや規律を守る意識が高いこと。3つ目はチームワークを重んじれることと言われてる。
これは、企業側が「非認知能力」を評価しており、スポーツの効能性を評価していると言える。他にも、負けた経験があるとか、自己成長に向き合えるなどの意見も聞くことがある。いずれにしろ、スポーツが、テストなどでは測れない非認知能力の醸成に繋がっているのが背景だと思われる。

他の例として、英国の全寮制の寄宿学校であるボーディングスクールの1つに、ラグビー校という英国難関進学校がある。名前の通りラグビーの発祥の学校である。もともと、学業面だけでなく道徳面、精神面、課外活動、人格形成などにも焦点を当てた教育に力を入れておりスポーツを強化する中で、ラグビーが生まれたらしい。つまり、このラクビーを始めた理由は、まさに「非認知能力」の育成と言える。スポーツの体験が将来大人になった時に役立ちそうというのは、証明できているのだ思う。

「非認知能力」を教えているコーチ

スポーツは「非認知能力」を育てると言うが、それを意識して指導しているコーチは多くないと仮説する。スポーツを通じて得られる非認知能力は、意識的に身につけたと言うよりも、スポーツ体験を通じで無意識的に身につけた人が多いのではないか?と思っている。スポーツのスキルや戦略についても、考えずに直感で体現できる「本能型」と、理論で理解して実用できる「知略型」がいる。凄い実績のある野球選手が解説や監督をやらなかったり、逆に無名の選手が名監督になる場合がある。しかし、それもスキルや戦術の話であって、スポーツを非認知型能力を育てる教材として理解して、それを指導に活かしている人は多くないのではないか?と思う。

僕がミニバスのコーチをしている訳

僕はバスケが未経験者だが、ビジネスではマネジメント経験がある。研修を開発したりする仕事をしており、ビジネスで必要な知識や考え方を整理して伝えることを得意としている。
「非認知能力」が大人になった将来に、使える思考法や考え方だとすると、逆算的に、ビジネスで使える考え方やフレームワークを、ミニバスの指導に活用するにようにしている。そのため、このアプローチによって、スポーツで「非認知能力」の育成を強化できると考えている。
今は、これらをミニバスの子供達に伝えて、それ整理して発信することで、スポーツや子供の教育に貢献できればと思っている。それが、僕の使命であり、提供価値であり、僕がミニバスのコーチをやっている理由である。

だから「バスケで教える」を意識して、実践して、発信していきたいと思っている。


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