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「車来ねば真ん中走ってもいいだよ~。」

車が来ない道は真ん中を走ってもよいのか・・・。

10月に会津に住む従姉妹を訪ねた時のこと。
従姉妹は一回り年上の82歳。
2泊3日で行っている間、叔父のところや猪苗代湖方面観光、そして山形までリンゴを買いに連れて行ってくれた。

叔父の家に行った時のこと

従姉妹は去年82歳になったが、最近まで居酒屋を経営していた。
働き者で、紆余曲折の人生を過ごしてきた苦労人。
苦労をした分、人の気持ちがわかる愛ある人。
健康で、見た目は10歳くらい若いかなと思える。

一年前に居酒屋を閉店して、悠々自適、穏やかな日々を送っている。

従姉妹も免許を取得してから何十年も経っているからベテランと言えば、ベテラン運転手。
そして、山形のりんごを買った帰り、暗くなり始めた10月秋の夕暮れ。

ワタシは助手席。
なんだか、車が左に寄りすぎる。と、感じた。

「ね。車左に寄りすぎて走ってない?」
従姉妹
「いや、寄りすぎではね~」
でも、
「縁石にこするような気がする」
従姉妹
「そんなごとねえ。大丈夫だ~」
と思ったら、車はセンターラインをまたいで、ど・真ん中走っている。
「ね。真ん中走りすぎじゃない?」
従姉妹
「いいだよ~車が来ねば真ん中走ってもいいだよ~」
はあ~?
「ダメでしょ。交通違反だよ」
従姉妹
「車が来ねばいいだよ~ハ、ハ、ハ。」 

コントかと思えるようなお言葉。
信じられんことを言うお人だ。
確かに東北の田舎道は車の量は少ない。
とは言っても車は来るし、センターラインをまたいで走っていいわけない。

車はホンダの大型乗用車。
機能は満載。
運転中に車が運転を感知して
「左に寄りすぎています」と言えば
従姉妹
「そんなごとねえよ。ちゃんと運転してるど。」

自宅に着いて
「お疲れさまでした。安全運転でしたね。お疲れさまでした」と車が言えば
従姉妹
「んだべ・・・おら、安全運転してっぺ」
とぬかしたる。

82歳という高齢なので免許証の返納のことを尋ねたら、
「クルマ、去年買ったばっかだもん・・まだまあだ乗るよ」とな。

危ない。危ない。
コントではすまされない。

数日前、その従姉妹から着信があった。
何事だろうと思いかけなおした。
「なんかあった?」
「ううん、たいしたごどでねえ。メダカが元気でいるから知らせっかと思ってよ」


その際、我が家から持参したの20匹のメダカが元気でいるという。
雪が降るので屋根をつけてもらったり、太陽光発電で陽ざしをいただいたり。
至れりつくせりだ。

「今、ともだぢど~ラーメン食いに来てっからよ。
まだ近いうちに電話すっからよ~。
桜の頃になったらまた来らっせ、待ってっからよ」

と言って、あっけなく電話が切れた。

会津には入院しているもう一人の従姉妹がいて、高齢の叔父もいる。
心配したが、電話の向こうは明るかった。
車の運転のことで心配していたが、事故は起こしていないようでよかった。

会津は、亡き父の生まれ故郷で、実家は今、従兄弟の妻と息子の2人だけになった。
親戚と呼べる人は数人しかいない。

奥会津は父の仕事で住んだことがあり、多感な年頃を過ごした。
月日の季節の移ろいと暮らしは忘れられない。

あと何回、会津に向かうのだろうか。


*ヘッダーのイラストはクリエーターnyakopanさんのをお借りしました
ありがとうございます。

































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