見出し画像

生活音と井伊直弼の「余情残心」

安政の大獄や桜田門外の変で知られる幕末の大老・井伊直弼は、時代劇などでは悪役に描かれることも多いですが、地元彦根では善政を敷いた名君として知られています。また、茶人としても名高く、「一期一会」も千利休の言葉を引用し、広く世間に広めたとも言われています。

直弼はその茶書『茶湯一会集』の中で「余情残心」という考えを示しています。茶会が終わって別れの挨拶をして客が帰る時、主人は客の姿が見えなくなるまで見送るというものです(さらに一人でお茶を点てて、一期一会の出会いを噛みしめる)。

これって現代社会の日常生活でも使える話で、例えば自宅(集合住宅とします)に客を招いて、彼ら彼女らが帰る時、玄関で別れてもいきなり鍵をかけたり、チェーンをしたりはしません。足音が聞こえぬようになって初めて、そっと戸締りします。逆の対応だったら、ちょっと嫌な気がしませんか?

日常生活において発生する音を「生活音」などと言ったりしますが、感じ方は人それぞれなのでしょうが、茶道をやっていたせいか(あるいは繊細なのか)、結構気になるんですよね。

ドアをバタンと大きな音を立てる人、靴音をカツカツと鳴らす人、公共の場で大声でしゃべる人、キーボードを叩くように打つ人…集合住宅ならもっと色々ありますけどね、揉める原因にもなったりして。現在は一軒家で、周囲の家とも距離があるのでその点はいいんですが。

という自分も、何か周囲を不快にさせている音があるかも知れませんね。子供の頃、お風呂で大声で歌っていたら隣家から苦情が来て。初めて歌声が聞かれていることに気がついたこともありましたし。「人の振り見て、我が振り直せ」の格言は正しい。自戒。

余談:TVerに、『民王』『dele』『あのときキスしておけば』『学校のカイダン』『グッド・ドクター』『ゆとりですがなにか』『コントが始まる』『3年A組』がアップされました。全て傑作ドラマです。未見の方は是非。高橋一生さんのブレイク作(『民王』)をその目で。




この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?