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ドラマ日記『拾われた男』(第7話)

俳優になりたいという夢だけあった男・松戸諭(仲野太賀さん)が、人に“拾われる”力を手に俳優道を駆け上がり、かつて“捨てた”兄・武志(草彅剛さん)を救いにアメリカに飛ぶヒューマン・コメディ『拾われた男』の第7話。

兄・武志が脳卒中で倒れたという知らせを受けて渡米し、15年ぶりに再会を果たす諭。多国籍な仲間に囲まれてレストランで働いていたという自分の知らない兄の姿に困惑しつつ、兄が不法滞在の身で医療費も高額だという現実にがく然とする。そこへ「バグ・レディ」と呼ばれる謎の女性が現れる。

民放ならば「新章スタート」と名付けそうなほどの新展開。映像的にも米国でロケしていることもあり質感が違い、新鮮。諭が縁を切ったはずの兄・武志を連れ帰るという意味では、兄弟の絆復活&伏線回収編スタート。

脳卒中患者姿が実にリアルな草彅さん。回想シーンでは、米国で周囲の人にいかに愛されてきたかが、さまざまなエピソードと共に描かれ、それゆえに現状の姿がより切なく。

余談:今夜からスタートするドラマ『作りたい女と食べたい女(つくたべ)』に主演する比嘉愛美さんが、『土曜スタジオパーク(土スタ)』にゲスト出演していました。本作の概要は以下の通り。

「作る」ことが好きな女性と、「食べる」ことが好きな女性。彼女たちの日常や交流を通して、女性を取り巻く現実や、女性同士の連帯、そして2人の間で育まれる恋愛を描く作品。

原作にもあり、ドラマにも登場するシーン。主人公・野本さんが、会社で手作り弁当を食べていると、同僚男性から「いいお母さんになるよ」「自分も彼女に弁当作って欲しい」と声を掛けられます。野本さんの内なる声「好きでやってるもんを『全部男のため』に回収されるの、つれ~な~」。

というような、女性(や性的マイノリティ)への構造的な差別問題を内在した作品であり、単なるグルメマンガ・ドラマではないわけです(それだけでも楽しめますが)。

比嘉さん自身も、性的な決めつけなどについて熱く語っていたのですが、女性MCの一人が「私は(男たちのそうした言動を)ポジティブに変換するから気にならない」と、男性優位社会における処世術を述べ。比嘉さんはその発言を受け、慎重に言葉を選んで、話を繋いでいました。

個人としてどんな自論を持つのも自由ですが、NHKの広報番組としては、原作やドラマの趣旨に寄り添った方がいいんじゃないかな(ゲストに必要以上に気を使わせないで欲しい)。『土スタ』も小野文惠アナ時代はよかったのですが、もう10年以上、残念なMC陣が続いている印象。


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