3ヶ月だけ1Kで二人暮らしをした思い出


結婚してすぐに、私は夫の1Kに転がり込んだ。

周りには家が多くて、スーパーやコンビニまでちょっと歩く。車がないと不便で、都会とは程遠い場所。

夫は群馬のそのアパートから現場に出ていたが、内勤で埼玉へ行くことになる。

群馬から埼玉への往復。
4時起き。お弁当や朝ご飯の準備。
包丁も滅多に握らなかった実家暮らしの女は、妻一年生になってすぐに効率良くは動けない。
5時に夫を最寄りの駅まで車で送る。

夫を送ってからは少し眠り、起きたらドラッグストアやスーパーへ周辺の散策も兼ねて歩いて行く。
少しずつ物の相場を知る。安い野菜が見つかると嬉しくてSNSで呟く。


仕事が多忙な男の一人暮らし1Kの部屋は、言い方が悪いが滅茶苦茶だった。
お客さんが来ていない家だなあってわかる。

大学生の頃の夫の部屋は、とても片付いていて綺麗だった。その頃の印象だったから最初は驚いた。
でも仕方ないね。家にいる時間なんて全然無くて、現場にいることがほとんどだったから。

飲みかけのペットボトルを片付けて、収納のない部屋だから積み上げられた荷物を横に、狭い布団で眠る。
上半身を起こして横を向いたらご飯が食べられるくらい狭かった。

段ボールが机になっていたり、自炊をしないから冷蔵庫はとても小さいしコンロは1口だし…
作り置きとかいう考えは浮かばなかった。だから毎日せっせと1口コンロと格闘しながらご飯を作る。

朝は早いし寒いし真っ暗だし、部屋は狭いし料理も時間がかかるし…
この生活が始まって3ヶ月後くらいに、埼玉の方へ引っ越して来てくださいって会社が言ってくれた。長くは続かなかったしとても大変で続けられなかったと思う。

でも私はこの頃とても幸せだった。

大学生の時も社会人になってからもずっと遠距離で、会えないことが"普通"だった。
そんな日常が一変して、隣で眠ることができて、起きたら隣で寝ている毎日になったから。
好きな人の寝顔が愛しかった。


いつしか子どもが生まれて、寝顔を見る余裕もない朝になってしまったけどこの頃の気持ちを思い出して大切にしたいな。

3ヶ月だけど必死に暮らした、狭い1Kと小さな思い出。

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