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花相の読書紀行№.144『嗤う淑女 二人』

今世紀最強の悪女が嗤う、戦慄のダークヒーロー。

【嗤う淑女 二人】/中山 七里
<あらすじ>
高級ホテル宴会場で17名が毒殺される事件が発生。犠牲者の一人、国会議員・日坂浩一は<1>と記された紙片を握りしめていた。
防犯カメラの映像解析で、衝撃の事実が判明する。
世間を震撼させた連続猟奇殺人に関与、医療刑務所を脱走し指名手配中の「有働さゆり」が映っていたのだ。さらに、大型バス爆破、中学校舎放火殺人‥‥と、新たな事件が続発!
さゆりは「ある女」に指示された手段で凶行に及んでいたが、捜査本部はそのことを知る由もなく、死者は増え続ける一方で、犠牲者は49人を数えるのだった‥‥。
デビュー11年目、どんでん返しの筆がますます冴える人気作家が放つダークヒロイン・ミステリー第3弾、ついに刊行!
目次
◆一 日坂浩一
◆二 高濱幸見
◆三 大塚久博
◆四 古見千佳
◆五 有働さゆり

★感想
悪女・蒲生美智留シリーズ第3弾。
ますます磨きがかかる美智留の悪女ぶりとその巧妙さ。
今回は、美智留と近い性癖をもつ“有働さゆり”を使って、前2作以上の殺戮を強行していきます。もちろん美智留は一切の手を汚さずに‥‥。
今回は巧妙に騙し陥れると言うよりも、目的をもって人を抹消していきます。警察までも巧みに利用して、己の計画を完遂させていく姿が、実にカッコイイ。 

二人目の嗤う淑女、“有働さゆり”の設定がまた良いです。
猟奇殺人犯として捕まった彼女は、医療刑務所に入れられましたが、そこから脱走し、美智留の共犯者になります。
その彼女を精神障害を理由に無罪を主張し、医療刑務所に送り込んだ弁護士が、なんと御子柴礼二ときてます。
中山七里と言う方は、本当に読者を飽きさせない、裏切らない作家だとつくづく思ってしまいます。 

そして本作は、美智留にとって最強の宿敵を生むことになるのですが、今後の展開が楽しみです。


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