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花相の読書紀行№.94『凍える牙・未練』

バツイチ刑事の孤独な闘い

【凍える牙・未練】/乃南アサ
<あらすじ>
◆凍える牙
深夜のファミリーレストランで突如、男の体から炎が噴き出した。その数日後、天王洲では無残に咬み殺された死体が発見される。二つの異常な事件に繋がりはあるのか―。捜査を開始した警視庁機動捜査隊・音道貴子と相棒の刑事・滝沢の前に、得体の知れぬ力を秘めた野獣が次第にその正体を現し始める。怒りと悲しみの牙の矛先は、誰に向いているのか。首都高速を舞台に、貴子と獣のスリリングな追跡劇が火蓋を切った。ハードボイルドでハートウォーミングな気鋭の大熱作。

◆未練
『凍える牙』で、読者に熱い共感を与えた女性刑事・音道貴子。彼女を主人公にした初の短編集。貴子自身がゴミ漁りストーカーに狙われて、気味悪い日々を過ごす「あなたの匂い」。ビジネスホテルで無理心中した老夫婦の、つらい過去を辿る表題作など6編。
家族や自分の将来に不安を抱きつつも、捜査に追われる貴子の日常が細やかに描かれる。
特別付録に「滝沢刑事と著者の架空対談」!
目次
◆未練
◆立川古物商殺人事件
◆山背吹く
◆聖夜まで
◆良いお年を
◆殺人者

★感想
乃南アサ著『凍える牙』『未練』完読。
ちょっと時間かかちゃいましたが、何とか読み終えました。だからと言って、面白く無かった訳じゃ無い!
どちらも、女刑事“音道貴子”を主人公としたミステリにしてミステリにあらずといった小説です。
男社会で生き抜く女の維持と心の葛藤は、ウンウン分かるーって思います。
まあ自分を同化するには、主人公カッコ良すぎなんだけどね。
 
『凍える牙』は、一転二転を繰り返し真相に辿り着く、読み進んで初めて気付く本のタイトルです。
流石、第115回 直木三十五賞受賞作品。
オオカミ犬“疾風”と貴子のバイクが駆け抜ける場面で、追われる獣と追う人間の中に不思議な絆が生まれてくる描写も、心打たれるものでした。
本読み終えた後に、映画『クリスマス•ツリー』の少年を銀狼のワンシーンを思い浮かべてしまいました。
 
今回も良い本に出会えた事に感謝です。

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