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【連載小説】恋愛ファンタジー小説:最後の眠り姫(56)

前話

「さて。クルトの執務室の前にお母様達に新しい恋人たちの報告をしましょうか」
 お母様はお父様が執務中、よく王宮の庭によくいらっしゃる。私は喜ばしい報告を持って庭園に向かった。
 予想通り、お母様は庭園の花を愛でていらっしゃった。
「お母様。今日は何の花を愛でいらっしゃるの?」
「エミーリエ。カロリーネのところに行っていたのですか?」
 私はあまり外出しない。カロリーネお姉様の突撃やヴィルヘルムの割り込みで行く必要がないのだ。だから、私がここにいるのは出かけた証拠。それぐらいしか庭園にいかない。
「ええ。ようやくカロリーネお姉様のお輿入れが決まりましたわ」
 私がにこやかに言うとお母様はあんぐり、口をあけてびっくりなさっていた。
「お輿入れとはあの門兵に?」
「うまく猫を被った門兵でしたの。子爵ですわ。正式な身分は。ヴァルター・シュテファンとまで言えば想像つくでしょう?」
「まぁ。大臣の息子だったのね。あの子は頭の賢い子で宮廷の図書館の本はほぼ頭に入っているといわれていますよ」
「そんなお話が? カロリーネお姉様とうまくいくかしら」
 急に不安になる。
「あばたもえくぼ、ですよ。相思相愛なら大丈夫でしょう」
 お母様はもう立ち直って頭の中はウェディングドレスに行っているようだった。
「私はクルトに執務の仕方を教えてもらいに戻りますが、午後からなら密談に加われますわ」
「いい心がけの娘ね。カロリーネを飛び切りの花嫁にしなければ。カタログをそろえて待っていますよ」
「はい。それではお勉強してきます」
「いってらっしゃい」
「いってきます」
 そこには普通の家族の掛け声と返事があった。急にホームシックにかかる。涙を見せまいと背を向ける。後ろから声がかかる。
「クルトに甘えていらっしゃい」
 なんでも筒抜けだ。むしろオリヴァーのことを知らなかったのが不思議だ。
「はい」
 なんとか震える声を飲み込んでクルトの宮殿に向かった。
 
 飛び込むように宮殿に入ると執務室へ向かう。
「クルト。あら、お父様がいらしてたのね」
「ああ。エミーリエ。ちょうどよいところに来た。各国から招待の手紙が舞い込んでいる。全部は無理だろうから行きたい国を調べておくといい」
「各国?! 東だけじゃなかったの?」
「どういうわけか婚礼もしてないのに招待状があちこちから」
 クルトもほとほと困った、という表情をする。
「聖女という存在はしってるかね?」
 お父様が退出間際に言われる。
「聖……女?」
「どうやらエミーリエが聖女伝説の聖女と思われているらしい」
 私はそれを聞いてあきれ果てた。二千四百年後に目覚めただけの一介の姫に、妻にすれば覇王になれるやら、聖女やら……。
「私はただのばばぁですよ?」
 あきれ果てて口からお下品な言葉が飛び出る。
「ばばぁって」
 クルトもお父様も口をぽかんとあけている。
「だってそうでしょ。私は二千四百年前に生きていたんだから」
 開き直りにも近い言葉にクルトが抱きしめる。
「大丈夫。エミーリエは今を生きるかわいい女の子だよ。執務の勉強よりエミーリエがどれだけかわいい姫か教える必要があるね。思いっきり甘やかしてあげる」
 そう言って手を引っ張ると膝の上に私乗せて甘い言葉を連発する。お父様は見てられん、とばかりに退出なさっていた。
「どこで覚えたの? そんな言葉」
「エミーリエが好きな恋愛小説。思いっきり紙に書いてメモしてある」
「まぁ!」
 驚く私を意に介せず、歯の浮く言葉を連発する。
「好きだよ。エミーリエ」
「私もよ。クルト」
 お互いのおでこをくっつけあう。いつもこれだ。目と目が合う。
「エミーリエは聖女なんかじゃない。俺の妻だ」
「そうね」
 クルトの真剣な声にうれしく思ってつい甘えてしまう。それをヴィルヘルムに目撃されてしばらく揶揄される羽目になったのだった。


あとがき
いや~さすが恋愛が先に来ることがあるとこうも甘いか。何を言ったかは想像できません。昔、アンジェで磨いた歯の浮くようなセリフマシーンもさび付いております。もう乙女げーから離れて久しいです。たまに漫画読みますが、漫画ではあれらには及ばない。究極の萌ですわ。ノイジー。阪神残らんのかー。がっくり。頼むから残ってくれ。と、まったく内容とは異なる頭の中なのでした。明日は執筆日なので、更新は明後日でございます。ラーメン食いたい。天ぷらそば引っ張ってこようかな。ここまで読んでくださってありがとうございました。

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