見出し画像

【連載小説】ファンタジー恋愛小説:風響の守護者と見習い賢者の妹 第四十一話 キノコの師匠

前話

『あたしだよ。あたし』
 セイレンは話すキノコに言っては悪いが、アルシャンドールを重ねた。
『失礼だね。あんな子供と一緒にされちゃぁ……』
「あ。ごめん」
「セイレン……?」
 セイレンが一人言を言い始めたのにリリアーナは気付いて声をかける。
『そこの悲劇の姫様を演じるお嬢ちゃんにも聞こえるはずさ』
「失礼ね! 悲劇の姫様とは! 本当に困ってるのよ!!」
 リリアーナはキノコが話していることに気づきもせず、言い返す。
『あの子達の歌声を聞いたんだろ? 他の声も聞こえるはずさ。一度、その耳を傾けてごらん』
「キノコお婆ちゃん。いつから私達を見ていたの?」
『婆ちゃんは余計だよ。師匠とお呼び』
「はい。師匠」
 馬鹿丁寧にセイレンは言う。そんな事無視して良いのに。
「今、キノコ師匠を無視していいって言った?」
「え」
 リリアーナが固まる。
「思念の声が聞こえるの?」
「思念の声?」
「心の声の事よ! 鈍いわねっ」
 突然勝ち気に変わったりリアーナにセイレンは驚く。
「今頃びっくりしてるの? 私は昔からお姉ちゃん……って誰だっけ? えーと……ユレーネ……お姉ちゃん……だったかしら?」
 ぶつぶつ言い始めたリリアーナにセイレンは抱きしめる。
「ちょっと。痛いじゃないの!」
「あ。ごめん。でも思い出し始めたんだよ。君の大切な人々を」
「大切な人々? そんなにたくさんいるの? お兄ちゃんとお姉ちゃんだけだと思っていたわ」
「癖の強いカール大臣に兄さんの親友のニコ、その奥さんになるローレライ。それにリリアーナを娘と思っている親が三人いるよ」
「三人? 普通二組なら四人じゃないの?」
「フロリアンには亡くなった奥さんがいるんだ。そのフロリアンに一番懐いているのがリリアーナだったよ。男暮らしの中でフロリアンは大事そうにリリアーナの事を話していたよ。とっても優しい目で……」
「フロリアン……。だめ。これ以上は思い出せないわ」
「ゆっくりでいいよ。君の周りの人達はとんでもない人達ばかりだから。さぁ。キノコ師匠の話を聞こう」
『やっと、あたしを思い出してくれたね。リリアーナはそこの揺れている花。セイレンは古木の前に立って耳を澄ませてご覧。きっと言葉が聞こえるよ』
「行こう。リリアーナ」
 ええ、とセイレンが手を差し出すとリリアーナは躊躇もなく手を取る。
 そして二人は手を離して、キノコ師匠の指示通りに耳を澄ます。
『やっと気付いたのね~♪』
 見事なハーモニーにリリアーナは驚く。
「お花さんが話しているの?」
『そうよ~♪』
 まるで歌で劇をする芸術がそこにあった。セイレンも開いた口が塞がらない。
「古木さん。僕が聞いたらどんな歴史を教えてるの?」
 開いた口をようやく閉じて古木に耳を当てる。
『そんな事をする必要はない。私の語る古えの物語を聞きたいかい?』
「はい。教えてください。この世界が生まれた頃の話を」
 セイレンの言葉に古木は相好を崩した。いや、そう感じ取れた。
 それから二人は一日中、庭の植物と会話をし続けた。次の日もただ、話を聞いていた。するとあっという間に時間過ぎ、アルシャンドールはわかっているのに、追求せず、また二人を裏庭に放り込んだのだった。


あとがき
星彩も42話までは載せているのと時間が余ったので久々に風響載せます。ビタミンCが足りない。でも母が玄関を荒らしているもとい、掃除をしている。台所への道がない。サクレで補給していたけれど、もうそれもない。明日は何を楽しみに起きればいいんでしょう。今の所朝活の朝六時に起きるのはやめています。風邪には十分な睡眠が必要ですので。ただ、そろそろ日常にも慣れないといけないので今日は漢検の勉強をしました。模試を二巡目なので14分で解いてしまった。一時間かかる問題が。二巡目だから覚えてるんですよ。ある程度は。かと言って新しいものをするのが一番でもないですし。三巡目でかなり高得点になれば考えます。星彩はまだセレスちゃんのところで後一話ぐらい使いそうなので今日、夜書ければいいな。風響は設定の再設定が必要なので、またChatGPTと名前やら変えていきます。まぁ、意外な人が来たのでまたのびるやもしれませんが。とりあえず、42話までは風響も載せますね。後一話なので明日でしばらく間を頂きますねー。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?