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【連載小説】恋愛ファンタジー小説:最後の眠り姫(62)

前話

「そんなにひどいのか? 生まれ変わったわしは」
「ひどいというより、やんちゃなのよ。不慣れなフリーデに大人化も負けのちゅーするし、あ、キスのことよ。クルトはキスを迫る時『ちゅー』っていうからキスというと『ちゅー』なのよ」
「『ちゅー』!!」
 おじい様は私みたいにけらけら笑う。
「ほら。クルト。おじい様だって笑うじゃないの。ロマンチックも何もないわ」
「俺にロマンチックを求めないで。『ちゅー』と言ってキスする父上を見て育ってきたんだから。それが常識なの」
 珍しくクルトが強く言う。おじい様にまで笑われて不機嫌になっている。最近執務でストレスが溜まってるのかしら。めったにこんなに不機嫌にならないのに。
「『ちゅー』はわが王室の伝統なの!!」
「はいはい。そんなに怒らないで。クルトのことはまるごと好きなんだから。ただ、乙女としてはロマンチックな展開を期待するのよ」
「ほう。今日のエミーリエはロマンチックが好きなのか?」
 おじい様が不思議なことを言う。
「前に来たエミーリエは剣を扱っていた。まるで婚約者はライバルのようだった。エミーリエは向こうでは剣は握らないのか?」
「一度だけ握ったわ。命を狙われて。でもそれ以降はまったく触ってません。お母様に指導してもらっていたから使い方はわかるけれど、もう使いたくない」
 あの血を思い出すだけでつらい。クルトがそっと肩を抱き寄せる。
「しかたなかったんだよ。あの時は。王族にはそういう時がたまにある。自ら断罪しないといけない時が。俺もしたくはないけど、エミーリエを守るためなら剣をふるうよ」
「そんな世界は嫌よ。平和な優しいあの世界がいいの。身近な誰かがけがしたとか死んだとか。もうたくさん。おじい様。元の世界に戻るにはどうしたらいいの?」
 涙でぬれた目でおじい様を見る。
「エミーリエには向こうが元の世界なのだな。そう生きる決意をしたか。ならば、見事、世を平定せよ。エミーリエとクルトでないといけないのだ」
「私とクルトが? ヴィルヘルムでなくて? もしかしてあの声が関係してるの?」
「あの声?」
 おじい様とクルトが私を見る。
「気を失っていた時に聞いたあの『原紙の海……』、の声」
「ああ。あれね。あれ、この魔皇帝の血筋と何か関係あるの?」
 私とクルトのやり取りを見ていたおじい様が髭に手をやりながらいう。
「あの方の声を聴いたのか?」
「あの方?」
 今度は私とクルトが一斉におじい様を見る。
「ヤーウェ。創造者であり、破壊者。すべての始まりと終わり。完全な方。わが一族はあの方の神官だった。そしてあの方がお隠れになって我々が役目の代役をつかさどった。もし、この剣と水晶がいらぬのなら、東の地にあるあの方とつながる次元に返還しておくれ。自らの、人の手でのみ平和を望むなら途方もない時間を費やすだろう。だが、その方がいいのかもしれない。我々の血は消えていく運命でも人は必ず平和を手に入れる。そう、わしは信じている。伝えるも返すもそなたたちエミーリエとクルトにまかせよう。及ばずながら転生した私も手伝おう。きっと戻れば新たな記憶を手に入れた私がいるはずだ。そなたたちを支えていく。わしの手は平和を望むには血が流れすぎた。いくらその歴史を守るためとは故、多くの人を間接的にも殺めた。転生して償えるのならば人生をささげよう。清らかなそなたたちの心を支えよう」
「ヴィー……」
 思わずヴィルヘルムの愛称を口にする。まるでおじい様はヴィルヘルムになって苦しんでるように見えた。
「大丈夫だ。そちらの世界には婚約者もいるのだろう? そのものの深い愛できっと救われている。どうもませているようだが」
「そうよ。子供なのにお館様とか呼ばれて盗賊団を家来にして、フリーデに大人顔負けのキスすするし。ワイン一本開けて三日酔いするし。どうにかして。おじい様」
 私がまたヴィルヘルムがやらかしたことをぼやく。
「そうはいっても起こしたことは消せない。記憶に銘じておこう。子供は子供らしくいること、と」
「今さらねぇ~。最初はケーキ三つとか言っていたのにねぇ」
「そういえばヴィルヘルムは甘いものが大好きだったな。これで釣るか」
「釣ってどうするの?」
「東に行くときに連れていく。次元なんてまだ理論上でしか論議されていない。俺にはどこにあるのかさっぱりわからない。ヴィルヘルムなら連れて行ってくれるだろう。乙女の唇を酔った勢いで奪った制裁にする」
「鉄拳制裁でを終わったんじゃないの?」
「そんなもんで乙女の清らかさは片付くもんか」
「クルトの方がちゅーちゅー言ってるのに」
「俺はいいの。お年頃だから。エミーリエ。ちゅー」
「いたしません!」
 ぷい、と横を向いて離れる。まだ肩を抱かれたままだった。キアラがおじいさまの服の裾にじゃれているのに気づく。珍しくおとなしいと思えばおじい様の猫なのね。
「いや、エミーリエとクルトの猫だ。エミーリエの影を象徴する生き物だ」
「象徴って私、キアラみたいにやんちゃなの?!」
 自分の本性を突きつけられて愕然とする。
「この世界に生きていれば父と一緒に戦場にでていそうなところだな。未来に送ってよかった。エレオノーラの血を強く引いてるのだな」
 おじい様は目を細めて私を見る。
「おじい様。お母様がおじい様の首にナイフをあてて血をを流させたってお話は本当なの?」
 話には聞いているけれど、あの優しいお母様がするなんて。剣の指導してる時でも厳しくはなかった。キレたお母様を見るのはお父様と夫婦げんかしたときだけ。
「エレオノーラの昔話をするにはまだ時間に余裕があるようだな。いくつか昔話をしよう」
 おじい様は蓄えた白いひげをなでながらお母様の武勇伝を語り始めた。


あとがき
この金曜日から今日まで寝込んでました。ほんとにやばい出来事もあり、すわ、入院か? とまでなりました。なんとか普通の状態とネットで調べた結果、行ってませんが、今日も欠勤。巷でうわさのやせる薬、「リベルサス」を糖尿病の薬として飲み始めました。規則正しい食生活を送らず、服用したため、副作用の洗礼を受けました。ほんと朝は立てないほどでした。明日こそ。かせがにゃ。そして衝撃のアカウント表消失の影響が。スイッチライトのアカウントのメールとパスワードが紛失。伏字で本体にはあるので、推測しつつやっていたのですが、あきらめて別のアカウントを作って前のは消しました。ダウンロードしたゲームはなにやらまたダウンロードできそうです。アトリエシリーズとどうぶつの森とパワプロだけ残して整理。どうぶつの森を最初からするために四苦八苦。セーブデータ消さないといけないのにソフトデータ何回か間違って消して入れなおすこと数回目。今、いれてます。その間にYouTubeでエスコンフィールドの試合を再生しようとしてまたスイッチのダウンロードが止まり、ネット独占されてます。今度出るアトリエシリーズ。欲しい。でも金欠。パワプロで打撃練習をちょこちょこして遊んでます。執筆も進めないとね。一日一話はかけていたのですが、いよいよ、難しいところに差し掛かってもいるので、とりあえず、リフレッシュ。ダウンロードの山があるようです。一応、マイクロSDにいろいろ入ってるんですけどね。果たしてアカウントが通じるか。紛失したときのために、いつ作成したかメモっておいた方がいいですよ。変更手続きに必須です。私は覚えておらず、荒業でもう一人のユーザーを作り移動しました。パワプロだけできりゃいいや、と。でも、なぜかルルアのアトリエはダウンロードが可能。なぜ? よくわからないスイッチライトでした。今日は夜にも更新を考えています。机を整理して規則正しく起きていようと。夜中は寝ないとね。いつも10時から書いて12時に寝てます。それを前倒しにする予定なのですが果たしてうまくいくか。しっかり規則正しい生活を手に入れて、仕事に邁進したいです。NISAしたい。

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