見出し画像

「ジャケ鑑賞」でいいじゃない

最近の趣味は映画鑑賞だ。
しかしそれは最近の話で、昔はむしろ映画が苦手だった。
そもそも映画館が苦手。
大きな音が苦手だし、映画館に入った途端に音が吸収されるあの感覚とか、No More 映画泥棒の非人間的な見た目と動きとか、全部ダメで、それでも昔はバッグを前に抱いて、手をぎゅっと握りしめてなんとか耐えて観ていた。

ある日、グレイテストショーマンの映画を観た時に、怖いシーンでも不吉なシーンでもない、むしろ大盛り上がりのハッピーなシーンで、あまりにも大きな音がこわくて、泣きたくなってしまった。
もともと映画はあまり観なかったけど、それ以降、映画は苦手だと公言するようになった。

私が映画を好きになったのは、ミニシアターに出会ってからだ。
Twitterで「私は最悪。」を、たまたま見つけて、そのタイトルとかパンフレットの見た目に惹かれて、新宿のシネマカリテに観に行ったのだ。
ミニシアターというものを初めて知った。
黄色の壁で囲まれたシネマカリテの階段を降りていく。まるで異世界に繋がっているようでワクワクとした。
なかは薄暗くこじんまりとした映画館だった。座席も少ない。音も小さい。
でも私にはこの「こじんまり」がなんとも心地よかった。

そして「私は最悪。」もまた良かった。
コナン君やミッションインポッシブルのような激しいスピード感のある起承転結はない。よって大きな音が出ることも基本ない。
人々の日常を切り取ったような、ある意味で何も起こらない、大きな音がしない「現実」の映画。そこに描かれているのは一人一人のの人生である。自分が好きなのはこんな映画だと気づいた。
ここから、私のミニシアター巡りが始まったのである。

映画が苦手だったので、特に好きな役者や監督がいるわけではない。
私はもっぱら「ジャケ鑑賞」だ。
映画館に行き、ひとしきり映画を鑑賞したのち、パンフレットが置いてあるコーナーに必ず行く。
そして、パンフレットの外見で気になったものを片っ端から手に取り、鞄にしまう。
これでもう次の予定は決まり。手に取ったパンフレットの映画の上映日をスケジュール帳に記録するだけである。

映画評論家のコメントも、SNSのネタバレや口コミも知らぬ。監督の名前も、役者の名前も、細かなことは置いておいて、ただ、目の前のパンフレットと向き合って、気の向くままにジャケ鑑賞。たまに失敗することもあるけれど、それもまた一興。

みなさんもぜひお試しあれ。

この記事が参加している募集

映画感想文

沼落ちnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?