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祝25周年!劇団四季ライオンキングの舞台観劇にご招待いただきました【レポ】

2023年の今年、25年目を迎えた超ロングラン公演の劇団四季ディズニーミュージカルライオンキングの舞台観劇に、この度ご招待いただきました!
かねてよりイラストのお仕事をいただいており、そのご縁でご招待いただきクリエイターとしていろんな刺激をいただきました。


当日はめぐみの雨でした


時は9月8日、台風が都心に接近した日でした。
強風と雨で全身しっとり仕上げになりましたが、電車は遅延していた割に時間調整の結果で通常よりむしろ早く到着して、観劇後は電車も見合わせることなく雨も台風も消えて、まっすぐ帰宅できました。


舞台、やっぱり最高すぎました。
ディズニーのアニメーション版ライオンキングを観倒している私ですが全く新しい発見と刺激に溢れていました。最高の音と魅力的なキャラクターや舞台装置がいっぱいの最高の時間・・・

美しすぎて目から脳由来の涙が出てしまう。
もちろん場内の居心地の良さも手厚いスタッフの皆さんの声がけやサービスも、毎度のことながら最高でした・・・

心に残ったあのキャラクター


舞台ライオンキングの何が特に印象に残ったかって、
もう枚挙にいとまがないというかとても絞りきれないのですが、個人的な思い入れとして「ザズー」が特に素晴らしかったのです。

ディズニーアニメ版だとムファサやシンバのささやかな腰巾着的な立場ですが、舞台版は絶妙かつ深い立ち位置でストーリーを一層高め、ムファサの人格や王としての責任を観る人に伝えているように感じました。
種や身分を超えた、本当の家族のような関係性を宿す・・・これはきっと浅利慶太さんの凄さ。
「ジョン万次郎の夢」でも感嘆した点ですが、複雑な立場や身分を含んだ関わりを、核心をつくような深い意味を込めつつ、何気ないほどにシンプルな台詞に昇華してらっしゃるのが本当に凄い・・・

あるシーンでは、ムファサと二人になってからシンバを酷く叱ってないでしょうかと伺ってみたり、シンバを叱りつつ心配するが故に「しっかりしなさい!」と短く言ってみたり、関係性を感じる台詞にグッときました。
スカーとザズー二人きりの時の会話はいっそ禅の問答みたい・・・手塚治虫版ブッダのディーバダッタの最期みたいな会話に映りましたよ。
ザズーを側近としてだけでなく、慈愛溢れるキャラクターへと深く昇華されていてストーリーにめちゃ深みを与えている・・・めちゃくちゃ好きなキャラクターになりました、劇団四季版ライオンキングのザズー・・・

衣装デザインを手がけるジュリー・テイモアさんの凄さ


もう毎秒感動があるんですが、日本伝統の文楽の要素や、アニミズムの気迫漂うマスクなど高度な衣装、最高・・・
シンバやムファサほかライオンの皆さんのマスクすごさ。ナラのマスクや衣装は一際シンプルながら俳優さんの体躯を最も活かし尽くしていてかっこよかったです。
素晴らしい造形なのはもちろん、照明の効果を活かして、怒り、悟り、高まりなど喜怒哀楽に収まらない表情の絶妙な機微を再現しているところです。
立体造形としての美しさももちろん、伝統的な要素を柔軟に組み込み、かつ演者さんの身体そのものを最良の素材として捉えた造形だからこそ、舞台上で生きたパペットに昇華していました。

どれほどの教養を重ねたらあの境地に至りあれだけのデザインが創造できるんだろうか・・・

文楽の要素として草や小動物を再現した衣装や役割が独特で、主役に花を添えて包み込むような存在感。詳しくはライオンキング記念パンフレットに詳しく掲載されていらしたので是非・・・

動物の再現も、動物をよく描く身としては「骨格をあんな再現で!!!すごすぎる!!」「ヌーの群れの迫力凄い・・・凄い・・・」と感動しっぱなしでした。
あらゆる感動と知見を得ることができるライオンキングの舞台で、唯一失うものがあるとしたら語彙です。

ご招待に感謝を込めて

今回もご招待されっぱなしでは申し訳ないのでファンアートを描かせていただきました。「プライドランド再建までの日々」をイメージ。

星を見上げながら志を一層固めるシンバとナラ、公務に疲れてウトウトするザズー、そんな様子を「疲れてそうだな」と笑って見守るプンバとティモン。


劇団四季様の舞台にご招待いただきファンアートを描く際、いろんな魅力的なシーンや最高のキャラクターばかりで、いつもめっっちゃくちゃに迷うなか、今回はあえて劇中にないシーンを想像し描きました。衣装は完全再現しようとすると来月までかかりそうだったので細かい装飾はデフォルメして仕上げました。

華のラストまでの幕間的なシーンを選んだのは、劇団四季創立70年記念パンフレットからインスピレーションを得たからです。
この度ライオンキング25周年と同時に、劇団四季創立70周年を迎えなさったとのことで、劇団四季の歩んだ歴史をまとめたパンフレットや記念品をいただきました。


「きっと素晴らしい日が来る」と信じてひたすら表現に邁進されたのであろう日々を感じさせてくれる貴重なコラムや対談の数々を読むことができ、ひたむきさと熱い情熱に胸がいっぱいになりました。
奇跡的な出会いや共有した時間の中には華ばかりでなく、ささやかで地道な日々があったんだなぁ・・・と感じたインスピレーションを今回のファンアートに込めました。
あらゆる時代の中で人の可能性を信じ、多くの個がもつ才能を活かしあい、一つの舞台を長く成し遂げる、直球の勝負を続ける劇団四季の皆様の凄さに、今回も感動をいただきました。
私も表現するものの末席として精進しなければ・・・と観劇以来、夢心地の一週間でした。
「ファンアート」という文化自体、こうした機会がない限り自発的には描かないタチでしたが、劇団四季さんにイラストのお仕事をいただいてからかなり絵の幅が広がって、今と未来を見つめる人間故の表情を描くのが楽しくなってきました。
2022年12月号として刊行された劇団四季会報誌ラ・アルプvol.454に掲載いただいた「人間になりたがった猫」は私の思い出深い仕事です。

おわりに

↑ディズニーの精神でもあり、劇団四季の精神でもある美意識を感じたクッキーの包装!!!!

象徴的なライオンのアートロゴが開封時に切れてしまわないように、自然なスペースが設けられた構成デザインになってませんか・・・
この辺りはディズニーに息づいてる精神として、以前ディズニーファンの人に教えて貰ったことがあるのですが・・・リスペクト・・・
そして美味しい…

娘が大きくなったら、今だと確実にハイエナのシーンで泣き出すから中学生あたりになったら絶対に家族でまた観に行こう・・・
その頃はライオンキングは30周年になっていることでしょう。

この先ずっと続くことを疑いようがないライオンキング、ご招待いただきありがとうございました!

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舞台感想

迷路をテーマにしたアートグラフィックの制作を中心に活動中。イラストレーション、キャラクター、ロゴデザインなど幅広く手がけています。