アイデンティティー

▶アイデンティティーってなんだろう?


調べてみると、このような定義がでてきた。
ー自分は自分であるという認識のこと。
ー自分は何者であるのかを認識して他者と区別できる状態。
ー国・民族・組織といった集団への帰属意識。

▶「チェイサーが終わる日」


先日、NHKの番組「チェイサーが終わる日」を視聴した。

この番組では、大阪にある朝鮮第四初級学校について取り上げられていた。
第四=チェイサーであることから、通称・チェイサーと呼ばれている小学校である。
この学校は、いわゆる在日コリアンと呼ばれる人達が通っている学校である。

正直、このような学校があることは、3カ月前に始めて知った。

朝鮮半島は、日本の植民地であり創氏改名皇民化政策を強いられていた。
創始改名:日本統治時代の朝鮮で行われた、朝鮮人に日本式の氏名を設定・変更すること。
皇民化政策:第二次世界大戦前の朝鮮において、日本の朝鮮支配を永続化し、朝鮮人に日本の戦争に協力させるために打ち出された一連の政策。日本語による教育、神社参拝などが強要された。

実際に、このような学校は戦後3年余りで300校つくられたという。
取り上げられていたチェイサーは、民族教育を大事にしており、朝鮮の文化などを中心に日本語の授業もある。
授業よりも朝鮮の文化については力を入れているという。
最近は、少子化の影響で児童の数が40人程度であるという。

学校の種類としては、”各種学校”であり、日本からの公的支援はない。今までは、授業料と寄付金で運営してきたという。
実際に、大阪市内の学校は、8校から4校に統廃合されている。

チェイサーは、地域の拠点であり、夏祭りや運動会などの行事
では児童だけでなく、家族や卒業生も集う。

このような中で日本で生活してきて、在日コリアン第1世である
男性は幼い頃は、日本人の友達と遊ぶことすらできなくて、
とても苦しい思いをしたと話していた。
また、ヘイトスピーチを目の当たりし、
朝鮮人に生まれたことを憎んだこともあったという。

以前にも、情熱大陸でとりあげられていた李さんについてnoteを書いた。
その時に、彼が発していた言葉を思い出した。
”在日コリアンであることに対して、葛藤があっても、ここまで育ててきて
くれた両親、コミュニティーに感謝したい。自分が頑張ることで
恩返しがしたい。”そう話していた。

この番組でも、子ども達のために親や卒業生が一生懸命
子ども達を育てている様子が伺えた。
そして、在日コリアンであることに葛藤しながら、
子ども達を守ろうとしていることも明らかだった。
このようなことから、コミュニティーの温かさを感じ、
胸が熱くなった。

実際に北朝鮮によるミサイル発射が行われることによって、子ども達が傷つけられるのを避けるため、集団下校も行っている。
最近では、SNSによる誹謗中傷もあるという。

もちろん、北朝鮮が行っているミサイル発射への恐怖は計り知れない。
もし、そのミサイルで自分の大切な家族が命を落としたら?という気持ちはある。

しかし、彼らのルーツが北朝鮮にあるだけで、
ミサイル発射をしている人と日本で暮らす在日コリアンの人達は違う。
ましてや、子ども達が危険にさらされるのは違うと思う。

▶マイノリティーであること


それは、排除される対象にもなりえるということでもあるのかもしれない。
個人的には、そうであってほしくないが。。
在日コリアンについて調べていくと、ヘイトスピーチで苦しむ親子の番組を見つけた。

※ヘイトスピーチ:特定の人種や国籍の人に対する言葉での攻撃

在日コリアンが多い川崎市では、ピーク時には、
2014年には120回ものヘイトデモがあったという。

しかし、ある在日コリアンの女性の活動で
2016年で最少にヘイトスピーチ解消法が制定され、
「差別的」で「許されない」と初めて明文化された。
また、川崎市ではヘイトスピーチ禁止条例が制定され、排斥・侮辱・危害の発言などが3度認定されれば、最高50万円の罰金が科せられるという内容である。
これらの法律・条例のおかげで、ヘイトスピーチデモの回数はその後、2020年は最少の9回となっている。

▶川崎駅前読書会


駅前で、静かに本を読む。
この活動を始めた、千葉県の男性は、
「現代は分かりやすいヘイトスピーチはない。でも、ヘイトはある。これらに文化で対抗したいと考え、誰もができる文化の形は読書。」
駅前で読書をすることで、レイシスト(人種差別主義者)たちが街宣やヘイトスピーチデモをしないようにしているという。
ヘイトパトロールもSNSで行われている。

読書会に参加した女性は、
「実際に差別を行っているのは、同じ日本人である。当事者である私たちが止める必要がある。」と話していた。

このような活動があることを知ることができて、
行動している人達がいることを日本人として誇りに思った。

▶まとめ

チェイサーがなくなる最後の授業では、先生が
”朝鮮人であることを恥じないでほしい。
誇りを持って生きていってほしい。”
と話していたのがとても印象的であった。

沖縄というルーツがある自身も、マイノリティーであることを自覚することが多々ある。
しかし、そのルーツを嫌だと思ったことは一度もないし、むしろ誇りに思っている。

在日コリアンの方々が自分のアイデンティティーを好きに、そしてもっと誇れるような環境をつくる必要があると強く感じた。

そして、子ども達が抱いている夢。
それは、世界中どこの子ども達でも一緒。
彼らの未来を良いものにするのもしないのも
私たち大人の仕事なのだと、そして使命なのだと実感した。


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