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健康道場②

社会人になっての驚きは多々あるが、建前の多さには実に驚かされた。
自分はかなり疑り深い性質なので、あまり意識してこなかったけれども
大人は本音は話さないものみたいだ。

今の会社に入って真っ先に教えてもらったのは自己開示だった。

曰く、相手のことを知りたければ、まずは自分自身を晒さなくてはならない。

新人にできることは言われたことを実行することのみで、手始めに自己開示をすることになった。
家族のこと、生い立ち、好きなもの、嫌いなこと、体調、、、

弊社は面談の機会が多く、月に一回以上は面談機会があるので、自己開示の場も必然的に多い。
右も左もわからぬ新人は馬鹿正直に自分のことを喋ってしまった。

大人は最初のうちは心の底からの興味を示しているように見えた。

面談のたびにただ傷つくだけの自分に気づいて、よくよく観察するようになった。
どうやら、この面談は悩みを解決したり、相互理解を深めたりするような場ではない。もっと大人の一方的で恣意的な目的があるのではないか。

穿った見方しかできない僕は、自分の身を守らなければならないと感じた。
素直に悩みを打ち明けたとしても、この場ではもはや弱みを献上するのと同義であり、決して消化することのない傷を負わされるかもしれない。

言葉通りに受け取ることの恐ろしさは、目に見えて効果のある類のものではない。
しかし、これは治りの悪い風邪のように、少しずつ心を蝕み、犯していく。
一度、壊れたたら最後、心に可塑性はない。

現状、入社三ヶ月のところでの気づきが以上。

上長に対して。悩みを相談することは決してしてはならないことだ。
親身になって解決に力を貸してくれる大人など、この世界に半数もいない。
仕事に関連することであれば、上長自身にも関係しうるため、ある程度助けてくれるかもしれないが、僕が嗜好品として考える悩みはサラリーに関係しない上、多数の人にとって興味のないことだろうから、信頼がおける限られた人間以外に打ち明けてはならない。心の柔らかい部分に隠していたその嗜好品は、上長にはただのゴミでしかないのだから。

こうした教訓から、いかにこれまで自分の周りにいてくれた友人が自分に興味を持って接してくれていたのかを知った。このことだけは幸せに感じている。
友人は大切にしなければならない。
敬意を以て、付き合わなければならない。


どうか、死しても尚の関係を。

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