海山羊(うみやぎ)

音楽。文学。

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最近の記事

なりたいもの

犬の足の付け根。 特にしば犬の 下に向かってほっそりしているところや、意外に乾燥してそうなところがなんとも言葉にならない。 香りは、えもいわず。 凛としたお顔にそぐわない隙がそこにはある。 犬が思っているより素敵なんだぜ。 天井。 どんな人も天井には見下ろされる。 天井の上にはなれない。 家人が何を食べ、何を話し、何を見て、何を思うのか。 見下ろしながら、全てを観察してみる。 天井は下しか見ることができない。 家人の生活を眺めることしかできない。 たった一つ見下ろすことだけ

    • 健康道場⑤

      髪を切ってわかったことが三つある。 一つ、実生活で幾分か楽になる。 二つ、ひとの感じ方の違い。 一つ目については、本当に色々ある。 髪がすぐ乾く、鏡を見る時間が減った、散髪の頻度が減った(財布に優しくなった)、、、など 髪型、ひいてはルックスを気にする頻度が減った。というより、気にしても意味がないくらいにはひどくなったと思っている。肌が荒れようが、髪がバサつこうが、服装がダサかろうが。 モテたくて気にしてたこととか全部無駄だったと思う。 そういう意味では異性の目線とか

      • 健康道場④

        美しく素敵な生活だ。 8時間睡眠と三食。8時間の労働に納税。 社会貢献を是として生きていられる。 働いて飯を食う、誰かのためになる、こんなに素晴らしいことはない。 決まった時間に起き、決まった時間に飯を食い、決まった時間に寝る。こういった規則正しい生活が真っ当な人間を作るのだ。 気分もすっぱり晴れやか、燦々と燃ゆる太陽が気持ちを暖めてくれる。心地よい。 勘違い甚しい。 お前はそちら側じゃないだろう。 いつかの言動を思い出しては息が詰まり、今日の後悔と明日への不信感が頭を支配

        • 悪魔を見ながら

          行こうと思ってたモディリアーニの特別展示が一週間前に終わっていたり、いつまでも続くと思っていた関係に耐え難い変化があることや、地元に帰る理由だった友人が自分より先に逝ってしまったことが僕の人生の不気味さをより、深淵なものにした。 将来を期待しながら、息をするのはとても辛いことだ。期待が満たされない兆候を薄薄と感じ始めたときから、これ以上傷つきたくないという賤情が全身を支配して、理性に優って僕を動かしていた。家賃5万、築30年のワンルームに住む僕と閑静住宅地の団地に住んでいた

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        • 僕は息を殺す
          3本

        記事

          Insomnia

          Dear my friend You cannot let me alone. When you’re pray for your love, I hope this prayer are fulfilled. My lifetime is not for me. Should be honest. Must be diligent. A few words make me sad, sometime… A few words made me happy. It tak

          サイケデリア

          【1】 一人、片隅の部屋 他人より大きく、そして繊細な自我が育っているために、この社会で円滑な活動はできないのだと言外に知りました。 僕は人が言葉を発する裏で、何を考えているのか、そのことばかりに配慮してしまって、結局意図を汲み取れないことが多々ありました。 僕自身思ってもないことや、想定もしていないことが口から発せられることがあり、そのようなことは皆んなに同様に起こっているのだと考えていました。 誰も僕の本当のところを知らないし、僕自身も彼らの本当を知らない。これが平静

          ある日の通勤時、運良く席が空いたので座りうつろうつろしていた。数駅するとたくさんの人が乗り込んできて、僕の目の前には女性が立った。最初、気付かなかったのだがマタニティマークが目に入り、微々たる老婆心で席を譲った。刹那、しかめ面が目に入った。目も合わなかった。黙って座るとスマホを取り出して視線を落とした。 優先座席ではなかったし、優先する義務はない。不快な気持ちになったが、その気持ちの裏で大した施しを行った気になり、感謝されることを微かにも期待してしまった卑しさに気付き、途端

          美観(三)

          友人にもらった珈琲のパッケージが視線の端に映り、彼らが今何しているのかに思いを馳せる。 微かに鼻腔を掠める香りの予感がある。 この二、三日風邪気味で鼻が効かなかったので、いつもの珈琲が少し新鮮に感じる。鼻が効かないと味もぼやけてしまう。味のしない食事は生活から精力をあっさりと消し去ってしまう。 コンロに火をつけ、沸騰するまでのまにフィルターをセットし、カーテンを開ける。 今日の大阪は曇り、名古屋も長野も曇りだろうか。自分のことで精一杯な春には考えもしなかった友人の朝のこ

          健康道場③

          入社して半年ばかりの神無月 心は痛みに慣れる頃です。 昨日、メンターと夕飯をともにしました。南海なんば駅から道頓堀の方へ少しいったところ、雑居ビルの中にある中華屋に向かいました。 僕自身、何となく気を遣うので、気心の知れない人と2人でご飯に行くのは好かないのです。僕は昼休みもさっさと食べ、近くの公園で一人になりたい。それくらい食事には緊張を感じるのです。 だから、今回の食事会も理由がなければ避けたいイベントでした。ただサラリーマンである以上、社長の命令には逆らえない。仕事と

          天邪鬼②

          前回に続いて、またプレイリストを載せながら振り返りをしていきます。 会社に通い始めるので、愚痴っぽくなるだろうからご容赦ください。 上司に言われていまだに棘みたいに心に刺さってる言葉 営業として雇ってる以上、さっさと売上作ってもらわんと価値ないからなお前ら。 ごもっとも。これ思い出して寝れん時がある。 3月 3月はイベント盛りだくさん。 Arctic monkeysのライブは一生忘れられないと思う。『Sculptures Of Anything Goes』が初っ端に

          天邪鬼

          2023年は毎月プレイリストを作っている。 2月からは公開して、友人にも曲を入れてもらったりしている。 今年も3分の2が終わり、区切りのいいところでもないが整理していきたいと思う。 今年作るプレイリストの写真は全部自分が写っている写真で統一することにしている。個人的に人の顔が写っているアルバムが好きなのだが、勝手に他人の顔面を使うわけにもいかず、仕方なしに自分の写真を使うことにした。むっちゃ自分大好き人間に見えるかも知れないけど、致し方ない。 完全に自己満足ではあるが、順

          美観(ニ)

          日に焼けた便箋には、かつてこの家に住んだ御人の執着を感じ取った。 この家は前の住人がいた。その人を私は知らないが、風のような人だったと隣人に伺った。 なるほど風ならばひと所に収まってはいられないだろう。 そんな風が残した紙ひとひらは、言外の心地を私に感じさせた。矛盾したようなその現象に私は愛らしさを感じた。 便箋には文字が書かれてはいない。 家具などは綺麗になくなっているのに、便箋を残ったのはきっと、最後まで便箋はしまわなかった、何か書こうとしたのか。 住居を去るときに人

          元鞘にもどりたい。

          今年は毎月、プレイリストを作るようになった。 元々音楽は好きだったけれど、本の方がずっと心に感動を与えてくれていた。 社会人になって文章を読むのにも体力がいることに気がついた。文字を目で追いかけることが増えた。文字の上を目線がすらすらと滑り、ページは進めど、何を読んだか記憶にない。腰を据えて文章を読むには相応の余裕が必要で、1日のほとんどを拘束される社会人でまともに読書を楽しめる人がいるのか疑問だ。 本を読んだ後、あれこれ考えるのが好きだったし、栞を挟んで本をしまっている

          元鞘にもどりたい。

          健康道場②

          社会人になっての驚きは多々あるが、建前の多さには実に驚かされた。 自分はかなり疑り深い性質なので、あまり意識してこなかったけれども 大人は本音は話さないものみたいだ。 今の会社に入って真っ先に教えてもらったのは自己開示だった。 曰く、相手のことを知りたければ、まずは自分自身を晒さなくてはならない。 新人にできることは言われたことを実行することのみで、手始めに自己開示をすることになった。 家族のこと、生い立ち、好きなもの、嫌いなこと、体調、、、 弊社は面談の機会が多く、

          健康道場

          意に反して、最近は日が変わる前に眠るようにしている。 社会人生活も一ヶ月が過ぎ、素敵な生活を送っている。 素敵というのは客観的に好まれる状態のことで、早く起き、日中は労働に勤しみ、帰れば風呂に入り、早くに寝ることだ。主観では何を感じていようとも。 素敵な生活を送ることは健やかな肉体を作る。決まった時間に起き、陽の光を浴びることは健康の基である。どんな栄養を摂取しようとも睡眠に勝る健康要素はない。長寿が幸せだと信じ、長い人生を望むなら睡眠は大切だ。 心を殺して生きている。

          美観(一)

          →→感傷は人を阿呆にする。 しばらくの帰省で自分を知るには、遅すぎることはなかったろう。何よりも自分が恐れていたのは、当時に感じた言い知れぬ感慨がもはや微々たる情動も起こさぬ事実に成り果てているやもしれないことであった。 ものを知らないということは、ある種の幸福を含んでいる。知るということには可塑性はないために一度知ったなら、その瞬間を頂点として同じ事柄への感動は小さくなるからである。 俺は知っている。 「愛されたい。」とこぼす口は誰にも愛を与えてなどいないことを。 けれ