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白黒の日記

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色のついていない、質素な日記
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こっちは理詰め 向こうは罵倒

こっちは理詰め 向こうは罵倒

バイト先(学童)でみんなとお昼ごはんを食べてたら、1人の小学生が机の上にお茶をこぼした。
ぐえーーという顔をして「さいあく…」って言った後、こぼれたお茶を見ながら、「まあでもおしっここぼれてるわけじゃないしいっか!」と言い呑気に水筒からお茶を飲んでた。びっくりした。思考が私と全く同じだったので。

そうなんだよ。おしっこじゃなきゃ何も焦ること無いんだよね。なんたって、おしっこじゃないんだから。

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いのちを食べる

いのちを食べる

朝の天気が非常に最低で、地下鉄の扉の開閉音をナイーヴに聞きながら1日をはじめた。てらてらとした色の座席がよけいに感傷を引っ掻く。

こういう風なからだ中のざわめきは、しばらく座っていれば少し落ち着くはずだけれど、きょうはたった3駅で降りる予定で乗車してしまったのでもうどうにもできない。

こんなところで一度座ったら、二度と立ちたくなくなりそうだった。

5人組がうまくつくれずちぐはぐのメンバーにな

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❤︎2023❤︎愛をこめて

❤︎2023❤︎愛をこめて

号泣は発声練習だ、と常々思っている。
嬉し涙は右目から出て悲し涙は左目から出るという通説があるけれど、わたしの場合はそれぞれ逆の目から涙がこぼれるらしい。

せまくるしい四畳半の自部屋で発声練習をし、まともに読むこともできないマップを開いたiPhoneを片手にライブハウスへ行き、ライブをする、旅をする、歩く、人と喋る、会う、生きることを続けていく。

どうにか踏ん張ったからなのか、ただの怠惰なのか

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代官山に犬がいなかった日

代官山に犬がいなかった日

真面目に道を歩いてたら前から歩いてきた男の人に避けられない感じでぶつかってこられて痛かったけど、「ポケモンGOしていて、ごめんなさい」と言われ、「ポケモンGOしてるのは別に良いんですけど」としか返せずその場が終了してしまった。
なんか謝罪をなあなあにされた気がする。

代官山に行った。ここは代官山なのに全く犬がいなくて不気味だなと思ったところで記憶が途切れていて、次に意識を取り戻したとき目の前に立

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記録 2023.07.02

記録 2023.07.02

大丈夫になったことなんて無いけど、大丈夫になるかもしれないと思えるいつかに期待してもいいんだと感じる瞬間があることについて、とてもしあわせだと思う。
実際にいつか大丈夫になるかどうかはわからないけど、それはいいことだと思う。

数ヶ月前までの、東京に来ることが決まる前のわたしは、頑張りたいとは思っているもののできればあまり頑張りたくはないよとも思っていたし、生きるのもしぬのもどうせ痛くて苦しいなら

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旅路と雑記(5月下~6月上)

旅路と雑記(5月下~6月上)

さいきんは、福岡に行ったと思ったら大阪に行き、束の間の茨城訪問かと思ったら気づいたころには沖縄にギュイーんと飛んでいて、家らしきところに帰ってきたはいいものの本当のところわたしの家はどこなんだろうかと思っているうちに今度は仙台へ発つなどして、水槽とクレマチスというアイドルグループに身を置きながら、みんなといっしょに旅やライブをすすめている。
今週は北海道に行く。

この一連の旅のすごいところは、こ

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とりこぼした春まとめ

とりこぼした春まとめ

(か)

自宅から渋谷まで徒歩で移動した。
かえりも、渋谷から自宅まで徒歩をした。
先週も、変な街の渋谷を目指して自宅から歩いた。

ある日のさんぽ中、近くの駅までいこう近くの駅までいこうを何度も何度も繰り返しているうちになんと渋谷に到着してしまい、なーんだ家から渋谷までって歩けない距離ではないんだと味をしめてしまった故の結果だけれど、とは言ってもおおよそさんぽと称するには負担のおおきい距離なので

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水槽とクレマチスと、前歯のゆくえ

水槽とクレマチスと、前歯のゆくえ

ずっと覚えているやり取りがある。
小学1年生くらいのころ、ママと一緒に歯医者さんに行った。
過去のアクシデントによって前歯2本が少しだけ不自然な向きで生えはじめていたわたしは、その日、歯医者さんのお姉さんから「もしも気になるようだったら、歯列矯正する?」と提案された。

ママもわたしも歯並びについての危惧があまり無かったのでどうしようか迷っていたら、お姉さんいわく、「人前に出ること…例えば、アイド

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トマトを抜かない

トマトを抜かない

(きん)

夜、コンビニのレジ前に置いてあるあの透明の箱に入ったつくね串を食べたくなったから、最寄り駅で待ち合わせをして同居人とファミマへ寄った。

わたし「この前行ったときさ、もう売り切れてたんだよね。」

同居人「へえー。今日はあるといいね。」

わたし「うん。」

同居人「あたしもつくね食べたくなってきたな。食べたろ。」

わたし「あるかなー。最後の1個とかだったらどうする?」

同居人「そ

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わたしたちは洗濯機を信用しすぎてる

わたしたちは洗濯機を信用しすぎてる

(もく)

外に出る用意をしてたら誤ってリモコンを踏んづけて、ミヤネ屋がついた。宮根さんが鼻声だったので、宮根さんが鼻声だな〜とだけ思って、消した。

(か)

家のまわりを歩いていたら、自転車に乗った半袖の子どもが、「なちぃ〜!あちぃ〜!」と景色を懐かしみながら暑がっていてめちゃくちゃ良かった。なちぃ〜!て。

(ど)

洗濯をした。
引越すまで自分で洗濯機をまわしたことがなかったから知らなかっ

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春、るてんッ!

春、るてんッ!


●2022年4月7日(もく)の日記

生暖かい微風が部活終わりを彷彿とさせる夕方、目の前に散らばる読みかけの本、グミの空袋、切れたままのギターの2弦、文字通り随分と重くなった腰を浮かし、食っちゃ寝で終わりそうな1日へのせめてもの贖罪に近所を徘徊する。

狂ったように、まいにち知らないお爺たちの副流煙を吸いながらベンチに座っておひとり様のお花見をしています。
これはぜんぶ春のせいで、春は最高の気温

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雨を見くびる、猫と住む

雨を見くびる、猫と住む

2月10日の外は強めの雨だった。
東京はけっこう雪らしい。

東京の天気なんてずっと他人事だったのに、あと1週間もすればそれがおおいに自分事になるんだと思うと、胸がいっぱいというより下腹から鎖骨にかけての一帯にあらゆるものがつっかえてるみたいな、新鮮な味のくるしさに見舞われる。

こげた茶色の外階段に垂直に衝突して弾ける雨つぶとか、湿った深みどりのおおきな松の木とか、19年慣れ親しんだ窓から見える

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「おへそ見せて」

「おへそ見せて」

臍はよく見るとまあまあキモい。足の小指も大概だけれど、実は臍もキモい。“臍”という字の右上がそもそも気持ち悪い。絶対に書きにくいし。

臍のことを考えると、いつもひいおばあちゃんを思い出す。私が小学1年生の頃、夜ごはんを食べている時にひいおばあちゃんは突然、「自分は臍が2つある」と言い出した。…いきなりなに?と思っている間に、ひいおばあちゃんは服をたくし上げて臍を見せてきた。私は、「わっ、ホントだ

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❤︎2021❤︎愛をこめて

❤︎2021❤︎愛をこめて

もうずっと、「終らせたい」と「始まりたい」の瀬戸際をふらふらしている。目を瞑った先の世界では何度も飛び越えられたはずのベランダの茶色い柵にはとうとう足をかけることすらできず、そのことに内心ほっとしながら、今年も無事、括るほどでもないこの1年についてまとめあげようとしています。

痛かったり苦しかったりすることは嫌だ。これは己の確固たる意思でなるべく避けてきた。だからわたしは今もこんな感じでゆらりと

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