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果てしない宇宙のなかで思う未来のこと

落合陽一さんが日本科学未来館常設展「計算機の自然、計算機と自然」に込めた思いを追憶する。

2017年、落合さんが未来館で常設展示をすることになり、館長の毛利衛さんと面談した際の回想。
落合さんの語りを文字起こしさせていただきます。

(面談の際)少子高齢化社会の日本におけるAI技術は重要だよね、データサイエンスは重要だよね、ITは重要だよね‥って話を毛利さんにしたんだけど、全く刺さらなくて。あー、なるほどと思って。
それを10分ぐらいしゃべった後、毛利さんに「そういう話じゃなくて、結局、君は何が見えるの?」と(問われた)。えっ、と思って。

「計算機と自然ですかね。自然がどうやって計算機になって、計算機がどうやって自然になって、っていうことをずっと考えていて。僕はデジタルネイチャーってものが見えていて。
デジタルネイチャーって何かって言ったら、我々にとっての新しい自然で、それは質量のない世界と質量のある世界の間にモノがあると。
例えば、映像であるものと物質であるものを今は違うと言われているけれど、物質みたいな映像も出てくる。映像みたいな物質も出てくるし。人間みたいなコンピュータも出てくるし、コンピューターみたいな人間も出てくる。
そういった中で新しい自然環境ができて、我々は新しい自然を自然として受け入れるまま、ネイチャーを見るんだ」みたいな話をしたら‥
「あー、デジタルネイチャーね」って言われて。
「確かに僕が地球の外からオーロラを見たときに、それってオーロラの光は色でもピクセルでも自然でもなく、確かに色は色だと思ったよ。」ということを言われて、なんかそこでね、「あー、なるほどなぁ」と思ったことがあったんだよね。
自分以外の人にデジタルネイチャーをあんなにスイッチ入って力説したのも久しぶりだったんだけど、「君は何が見えるの?」って言われたのが結構、僕の中では印象的で‥。

「君は何が見えるの?」と問われたという、この落合さんの回想を聴いて、毛利衛さんに俄然興味が湧きました。そこで読んでみた本がこちら。

毛利衛「果てしない宇宙の中で思う未来のこと」

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2002年に出版されたこの本は未来館オープン前後の半年間を切り取ったもの。
未来館の仕事はいろいろな組織の人が関わり、違う文化の人が集まって1つのプロジェクトを達成すすると言う意味で国際宇宙ステーションと同じだと毛利さんは語る。

「科学技術を文化にする」ことを理念に、未来館で奮闘する人たちの語り。

どうやって科学技術を地球全体の生命を生かす方向に進めていくか。それにはたくさんの人に科学技術を感じてもらうことから始めていきたい。
この科学館では「もの」ではなくて、その背後に潜む研究者の顔、つまり「人」が見えるようにと考えている。

未来館での音楽を担当した坂本龍一さんとの対談など、当時の未来館の熱を感じることが出来る。(毛利さんは宇宙で坂本龍一さんの音楽を聴いていたそう‼︎)

その他にも写真家 石川直樹さん、宇宙飛行士 角野直子さん(かてぃんさんの叔母様‼︎)、生命誌研究者 中村桂子さんのメッセージなどもあり、興味が尽きない。

好きな人物から数珠繋ぎに興味深い人に出会えて、視野が少し広がるというのは本当に楽しいものだ。

この本を読んで、いつか子供と一緒に未来館に行ってみたいと思った。

落合さんの常設展、是非見たい。




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