別れ

27日すべてが終わった。
心を預ける場所が無くなった。 これからどうしていけばいいんだろう。そんな風に思った日だった。
少し背が低く、可愛いらしい女性に出会った。
何か引き込まれるような感じがした。これは何だろう。僕はそう思った。

出会い

その女性はどうやら野球観戦が好きみたいだ。
しかも推しているチームが自分と一緒らしい。
これは話しかけに行くしかない。
ほぼ毎日話していくうちに僕はその人に虜になっていた。とにかくひまわりのように明るい笑顔が好きだった。そう、僕はその人が好きだった。
その人は大事な試験があるらしく、僕はその試験を手伝うようになった。
自己肯定感が低いその人は、たまに泣き出すこともあった。普通だったらめんどくさいと思うところだが、そう思うことは絶対なかった。
くじけそうになっているところを何とか支えたい。何よりも笑顔が見たかった。
試験が終わったら告白する。
僕は心に決めて最後まで一緒にやり遂げようと思った。

告白

なんとか試験が終わり、告白する日が来た。 その日は一日緊張していた。かっこ悪いところだけは見せられない。引かれてしまったらおしまいだからだ。 帰りの車内では緊張してうまく話すことができない。タイミングだったり、雰囲気だったり考えることが多くて正直テンパっていた。 そんな状態の僕を見て彼女は察していた。最後は告白しやすい雰囲気にしてくれて何とか告白することができた。
「ずっと前から好きでした。」
「ぼくと付き合ってもらえませんか？」
その人は優しい声で答えてくれた。
「やっと言えたね。」
「こちらこそよろしくね。」
彼女が僕の手を取り、「手汗凄いね」と笑ってくれた。
僕はこれから楽しい毎日が来て、一生彼女に手を差し伸べて生きていくことができるだろう。そう思った。

闇

「ねえ、結婚ってどう思う？」
「どうなんだろうね？想像もつかないや（笑）」
「僕は素敵だと思うよ。だって毎日一緒にいられるんだよ？」
「いまもこうして一緒にいるけど（笑）」
「確かにそうだけどさ。そういう意味ではなくない？」
なんとか僕は彼女に会いたいがためにたくさん食事に誘った。楽しかった。 そしていつも通りコンビニで何時間も話してさよなら。 これを繰り返した。 しかし、1か月くらい経ったころ彼女からLINEからこう来た。
「お別れしたいです。私はあなたの想いを受け止めきることができそうにないです。私よりも素敵な人がいると思います。今までありがとう。」
僕は驚いた。そんな風に考えているなんて思わなかった。
それは受け取ることができない。付き合っていたい。
1度目はなんとか続けることができた。
けど僕は思った。
一度別れたいと思ったらもう無理だろう。 だからと言ってすべてがそうであるわけでもない。これからもっと愛してもらえるように頑張ろう。

デート

半月後、彼女の誕生日が来た。
季節的にも紅葉がきれいだ。 一緒に紅葉を見に行った。すごく楽しかった。彼女を撮った写真を見返すと笑顔がたくさんあった。
これからもやっていけるだろう。そう思っていたのは僕だけだった。
落ち葉が落ちて無くなっていく姿はまるで僕らの関係を現しているようだ。 「誕生日プレゼント買ってあげるね。」
「そんなのいらないよ。」
「いやいや、そんなことできるわけないだろう。」
「もらうことよりあげたいタイプだから。」
「意味がわからんよ（笑）」
「この部屋着良くない？」
「たしかに！かわいいね。」
「じゃあこれをお揃いにしようか。」
「いいの？」
「いいよ。これが誕生日プレゼントになっちゃうけど大丈夫？」
「大丈夫だよ！買ってくれるだけでもうれしいし！」
「今度これを一緒に来て寝ようね！」

別れ

その日からそんなに経ってないだろう。やはりあの言葉が来た。
「やっぱり別れたい。」
もう無理だ。関係を続けていくことなんて。
僕が好きと言えば彼女は離れていくだろう。
手を差し伸べたことで彼女を苦しめていた。

終わり

別れた後のその人は笑顔だった。
しがらみから解放されてすっきりしているようだ。けどなんとなくつらいようなこともあるような。
その人は好きって気持ちを知っているのかな？知らないってこともあるかもね。
SNSを見たらフォローを外されている。そう、その人は僕の存在を丸ごと消していた。
もう関わりたくないのだろう。
僕は思い出を捨てられない。ただのバカだ。
なぜ好きになったんだろう。告白したんだろう。 忘れたくてしょうがない。心の中でちぎり取る。
そんな姿は笑えてくるよね。
だって無様だから。
ありがとう「NIAR」

これはたった2か月の話である。

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