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ニセ湯たんぽ大作戦

もうタイトルがダサいんですけど、聞いていただけますか。「騙し合い」という名の育児を。


私は冷え性だ。
特に足の先が冷えやすいので、冬は半身浴をしっかりして、湯たんぽを使う。
すると安眠が保たれ、朝までポカポカぐっすり眠ることができる。
娘(まる)は暑がりなので、布団をよく蹴っ飛ばして、肉まんみたいに美味しそうおなかをポヨンと出していたりする。
私のベッドの隣の布団で寝ているのだが、たまにモソモソと起きてきては、こちらへ潜り込んでくる。寝ぼけながら動く姿はパンダの赤ちゃんみたいで可愛い。
ただ、母はすごい端に追いやられる。狭い。
私の使ってる枕を一緒に使おうとして頭を捩じ込
んでくる。

その日の寝かしつけは、スタートから私の横へピタッとくっついてきた。
可愛いなぁ。腕枕をしてあたまの匂いを嗅ぐ。
ほっこりしたのも束の間。
「これいらない。」
私の足元にあった愛する湯たんぽが足蹴にされる。
「あ!ちょっ、これはママが必要なやつだから!入れといて。」
「やだ、やだー。いらない!」
イヤイヤ期真っ盛りの3歳。手強い。
「まるの足の届かない、はしーっこの方にやっとくから、それなら熱くないから!ね?」
「いらなぁい!」
ベッドから湯たんぽを引っ張りだして、寒々しいリビングへ遠ざけに行く。そこまでしなくても。
悲しげな湯たんぽはフローリングに、ポツン。
「ぐぐ…」
どうしても湯たんぽを使いたい母VSいらない娘の戦いの始まりだ。
「トイレいく!」
娘、突然の尿意。
最近は進んで行ってくれるようになり、本当に助かっている。
「OK、行っといで。」
まるがトイレの扉を閉めたのを見届ける。
今がチャンス!!
私が救済してあげるからね!
急いでリビングの湯たんぽのカバーを外し、バスタオルにくるんでベッドの端っこへ忍ばせる。
空の湯たんぽカバーには代わりに洋服を詰めて、形を保つ。
ニセ湯たんぽのできあがりだ。
あたかも「触ってませんよ」感を出し、元の場所へ置いておく。
「ガチャ」
「でたよー!」
まるが意気揚々とリビングへ来る。
「えらいね、よしねんねしよう。」
(ふふ。ママには勝てませんよ。)
心の中でほくそ笑みながら、手を引いて寝室へ連れて行く。
すると、まるはリビングのニセ湯たんぽをチラッと横目に確認する。
(まずい、触られたらバレる!)
2、3秒の緊張感があって、納得したようにベッド入った。
(ふぅ〜セーフ…)
ようやく温かい夜を迎えられそうだ。
私は静かに目を閉じた。

なに?この攻防戦。

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