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デザイン談義:ローソンパッケージから見る、お客さまを逃さないブランドの取り組み

ローソンが自社商品のパッケジーを新しくした。悪くない。ポイントはデザインの良し悪しではなく、こういった複数の商品にまたがるパッケージの仕事を企画し、完遂できるかどうかなんだよね。

パッケージのデザインだけ見ると、余白を大きく開けるとか小さな文字とか、少し古めだけど今風だよね。

文字は小さいけど、コンビニくらいの狭い通路だとギリギリ見える。パッケージの下にも商品名が書いてあるからギリギリ隠れにくい。結果シニア以上は見にくいけど。

ローソンのブランド的には窓を射ているパッケージだと思う。ベージュの箱と手書きフォント、イラスト風写真(なのか本当にイラストか分からん)の合わせ技で、ローソンビジョンの「やさしさ」が良く表現できてると思う。もちろんこのパッケージのみでの数値分析が必要で、そして分析に応じて文字の大きさやコントラスト、イラストの大きさや構図を変更する必要があると思う。

今回大切なのは、こんな個別のデザインの出来具合じゃなくて、ブランドデザインの仕事だってことなのだ。

ブランドを元にパッケージ統一なんていう、経営に近いデザインってわりと実行が難しい。

新商品の単品パッケージならいいけど、すでにできてる何百もの商品をまとめて改訂、各工場や外注製造元と調整するの大変。全てに適応できる文字数とか大きさとか色とか決めてフォーマットにするの大変。何よりこれやって何がメリットになるか説明して説得していくのが大変。

大変だけど、ひとつひとつの商品ごとに最適化しながらパッケージを作るよりだんぜん良い。

もしひとつの商品ごとにパッケージを決めるプロセスを採ると、個別の商品単独で売り上げを上げて行かなければならないのですよ。これは苦戦しますよ。

それよりも、商品グループとして統一パッケージを作り、範囲を広げてお客さまにプレゼンする方がよい。「こちらの商品では少しお客さまの希望と外れてしまいますが、隣のこちらはぴったりなんです」とスムーズに言えるから。

この「隣のこちら」を他社に取られてはとてももったいない。私たちはお客さまのことをよく考えて、こんな便利でかっこ良くて美味しいものをいろいろ作っているんですよ、こちらも私たちのなんです、とアピールするのが統一パッケージによるブランディングなのだ。

そうすればお客さまは、この会社知らなかったけど、わたしの希望を叶えてくれるトコなのね、と少しづつ記憶に残してくれるのだ。

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