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12球団ドラフト展望①~巨人編~

先月末に行われた巨人のスカウト会議で、1位指名の最有力が佐藤輝明(近畿大・左打)と各メディアで報道された。抜群の長打力を誇る佐藤が、長打力のある野手を欲する巨人のお眼鏡にかなったといえる。

事実として、主力選手の年齢が30歳を超えはじめ、岡本和真以下の主力級の野手は皆無に等しく、年齢構成にギャップが生じている。加えて、打者有利の東京ドームを本拠地とするため、打力のある野手を積極的に指名する意図も合点がいく。

とはいうものの、他にも巨人が抱える問題点はある。ここでは3つのテーマに絞り、話を展開したい。

① 巨人の外野手事情

質・量ともに球界トップレベルの外野陣を誇る巨人だが、現時点で外野の不動のレギュラーといえるのは丸佳浩のみだ。ベテランの亀井善行や途中加入のウィーラーが奮闘、松原聖弥も売り出し中だが、25歳以下でレギュラーに割って入るだけの選手が不在なだけに、外野手の補強したいところだ。特に「打てる外野手」を喉から手が出るほど欲しているのは納得だ。

数年後には守備面の負担を考慮して、センターを務める丸が両翼に主戦場を移すことが予想される。そうなるとセンターの需要が高まってくる。内野手もしくはレフトが定位置の佐藤を獲得した場合、センターを任せるかどうかも注目したいところだ。守備面まで考慮すると佐藤ではなく、五十幡亮汰(中央大・左打)の指名も視野に入ってきてもよい。

② 晩年を迎える坂本勇人

不動のショート・坂本の後継者候補で抜き出た存在が出てきていないのが気がかりだ。筆頭候補となっていたであろう吉川尚輝も故障がちで、絶対的存在が不在のセカンドでもポジションを確固たるものにできていない。

坂本の守備力を示す指数・UZRもピークから年々低下しているが、現状を考えると今後もショート・坂本が続く可能性は高いと思われる。他のポジションに移る場合は、新たにFAやトレードで選手を獲得した場合になるだろう。ドラフトでショートを指名するならば、即バックアップの役割を果たせるタイプ、もしくはファームでじっくり育て甲斐のある選手を中位以下で指名するのが無難だ。

仮に東京ドームのショートを背番号・6以外が守ることとなると、チームの攻撃力が大幅に低下することになる。坂本の状態が万全とは言えない2020年ですら、ポジション別OPSにおいて巨人のショートはセ・リーグの残り5球団を大きく上回っている。守備面での衰えを指摘されながらも、引退までショートの守備位置に君臨し続けたジーター(元ヤンキース)のようなキャリアを歩むのではないか。

伝統ある球団の歴史で大きな意味を持つ選手なだけに、坂本の後継者問題は逃れることのできないテーマだ。ONやゴジラがいつまでも忘れられないのと同じように。

③ 大エース・菅野智之に次ぐ先発投手

今シーズン、2年目の戸郷翔征が大ブレイクを果たし、同期入団の直江大輔も一軍登板を果たした。有望株が出てきた一方で、故障者が出たり、状態が上がらない投手がいたりで先発ローテーションのやり繰りに苦労している感は否めない。菅野が盤石の投球を見せつけるからこそ、現在のチーム成績がある裏返しでもある。

そんな大エース自身も海を渡る可能性がゼロではないだろう。年齢やFA権を取得する時期を考えると、遠くはない未来になる。万一、その時が訪れたら、投手陣のやり繰りは今以上に大変になる。菅野の穴を埋めることができる投手がファームにいるわけでもないので、先発候補を指名し、外国人投手の獲得やFAなどで補い、穴を比較的小さくしたい。

そうなると、大学生だと早川隆久(早稲田大・左投)伊藤大海(苫小牧駒沢大・右投)木澤尚文(慶應義塾大・右投)あたりが有力になる。高校生だと高橋宏斗(中京大中京・右投)中森俊介(明石商・右投)を推したい。巨人という特殊なチームなだけに、早い段階で結果も求められる。現時点である程度の完成度も1位指名をするならば必要になってくる。

まとめ

2017年の清宮幸太郎(現・日本ハム)、翌年の根尾昂(現・中日)、そして昨年の奥川恭伸(現・ヤクルト)と最初の入札の意図ははっきりと感じることができるものだった。チームの課題と真正面から向き合ったが、いずれも片思いに終わった。

巨人の良さは、守備に重きを置くセンターラインに打力のある選手を起用することができていることだ。更に彼らが一定以上の守備力もあるため、他球団に対して優位に立てていた。今後世代交代が進む中で、どのような選手をこれらのポジションに起用するかで大きく未来は変わる。ここ数年のドラフトの成果が、新・東京ドームでの躍動を左右することになるはずだ。投打の軸は是非とも上位で確保しておきたい。

参考


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