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タカラモノ

「ねぇ、そこにしまっちゃうの?」

もらった手紙を紅茶缶の淵に沿わせていたら言われた。

「え うん宝物だから。」
「ダメかな?」

「なんか過去のものって閉じ込められちゃうのと、あなたばっかりが主体な感じが嫌」

「…あとさ、今までの嬉しかったものとかも入れてるの?」

「…入れてます。」

「なにそれ! 例えば!」

「押し花にした四葉のクローバーとか、貝殻とか…」

「なんでよ!ちゃんとお別れしたんでしょ、それとも何、未練とかあるの?」

「違うよ、別れるってなかなか会えなくなったり、話せなかったり、繋がってた線がどんどん短くなって届かない点に変わることだと思ってる。」

「へぇ?、ふーーん。
で、別れたいから私からのもそこに入れたの?」

「ううん、ただ大切に思ったから。」

「そう。ならいいけど?すぐ取り出せるとこに置いててもいいんだからね」

「うん、たくさん見返すよ ありがとう」


僕は果物ナイフを文旦に向け直した。

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