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新ネタライブの出囃子の紹介

 十一月に行った新ネタライブの出囃子について何曲か書く.紹介しよう紹介しようと思っていたら,二ヶ月ぐらい経ってしまった.

 一方的に紹介する.基本的に僕は勝手に曲に感情移入している.

 プレイリストは以下の通りである.


星野源 「ギャグ」


 星野源は,高校時代からよく聴いていた.最初,友達が星野源「地獄でなぜ悪い」を歌っているのを聴いて,そこから聴き始めた.アルバム「ばかのうた」「Stranger」などを繰り返し聴いていた.

 日常の大切さを再認識させてくれる曲が多い.「頑張って」と言う曲を聴きたくないが,言わない曲も聴きたくない,厄介な自分の時,この曲は聴きたくなる.野暮なことは口に出さず,それでいて,こちらの気持ちも分かってくれる,優しい感じだ.

 星野源は一度くも膜下出血で倒れ,そこからまた復活した.その時期の曲が,「ギャグ」「化物」「地獄でなぜ悪い」にあたるのだが,生への純粋な喜びを曲中から凄く感じる.それまでの曲でももちろん,なんかこう,喜びのアンテナの範囲が広がるというか,景色の見え方が変わる.

 気取る訳でも手を抜く訳でもなく,その真ん中を行く.日常のゆるくとんとんと進む雰囲気のイントロから,裏で確実に流れている現実も描きつつ,「弱さ飛び越えて」と続いていく,そんな無慈悲的で慈悲的な歌詞が好きだ.




チャットモンチー 「ヒラヒラヒラク秘密ノ扉」


 チャットモンチーは高校一年生の頃,「majority blues」という曲を聴いて,当時の不安定な情緒に刺さった.この曲は俺を表していると,単純明快,表面だけを見て勝手に仲間意識を抱いていた.なりたいが先行して,中身が何もなかったと思う.今は完全に暗いだけになってしまった.昔よりかは中身があると思うが.

 話が逸れてしまったが,そこからブックオフでアルバムを大量に買って,聴き込んでいた.大学に入っても変わらず聴き続けていた.

 チャットモンチーには,「夕日哀愁風車」(だいぶ前に記事を書いた気がする)や「東京ハチミツオーケストラ」など,新しい環境や精神の変化に打ちひしがれて,悶々としながら進む曲がいくつかあって,それらが特に好き.「ヒラヒラヒラク秘密ノ扉」もそういった曲で,扱う感情は紐どいてみると暗い物に分類されると思うけれど,その描き方が明るいところがいい.曲調や言葉がリズミカルで,ついテンポを刻みたくなる.自分の重い感情に吹っ飛ばしたい時,聴きたくなる.

 聴き入ってみると,あら不思議,感情にも寄り添ってくれるような気もするけれど,自然と気分も晴れていく.チャットモンチーの詞の優しさとノリノリなリズムの励まし,こんな友達がいたら,すごくいいなぁとどうしても思ってしまう.



P-MODEL 「Another Day」


 8月頃から聴き始めたP-MODEL.ボーカルの今はソロで活動している平沢進の楽曲を元々聴いていた.歌詞が雑然としているようで,何か統一性があるというか,僕の好みの絵に似ている.そこから,遡って聴き始めた.

 昔のロボットアニメを思い出す,機械のような音が響く入りからもう好き.わくわくする.広々とした空や海から,一気に路地へと駆けていく,息遣いまで想像してしまう.止められない疾走感.

 テクノポップが何なのか,未だに分かっていないが,このポンポン感はずっと味わっていたい.平沢進の礼拝を想起させる声色も相まって,エネルギーが全方位に向けて発散されるイメージを抱く.何かに立ち向かうときに聴きたい曲である.

 この曲はPVも好きでよく見る.走っては表情を変える平沢進の姿になぜか愛らしさを感じる.

 他にも「美術館で会った人だろ」という曲があるのだが,こちらはこちらで不気味というか,変態性が感じられて,僕はとてつもなく惹かれる.ある意味,フジファブリックの「花屋の娘」を聴いた時の印象に近い.ああ,紹介したい曲がたくさんある.



たま 「オゾンのダンス」


 たまもまた,8月頃から聴き始めた.なぜ今まで聴いてこなかったのだろうかと思えるほどに,吸い込まれるように聴き込んでいた.

 元々,「ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌」という映画が好きで,その劇中歌にたまの「星を食べる」という曲が使われていて,それだけ聴いていた.不安になるような歌詞と声なのに,すごくそれが綺麗で,うっとりしてしまうのだ.

 そこから,あの有名な「さよなら人類」もたまだということを知って,びっくりした.全然,声が違う.それもそのはず,たまは元々メンバーが4人で構成されて,全員がボーカルだったのだ.各々,作った曲は自分で歌うというスタイル.

 そこから,いろいろと聴いた.この曲,「オゾンのダンス」は,最初のじゃかじゃかと弦の音で,それこそインチキおじさんを想起させつつ,歌詞もまた,少しエロが混ざっており,なんか楽しい.そう,楽しい.

 散歩しているときに聴きたくなる.自然と歩みがズンドコズンドコしていく.

 呑気によろよろ月夜の下で,ありあわせの楽器を持って踊る愉快な人々を想像する.でもどこか,単なる表面だけではない,揺るがない芯を感じて,それが格好いい.自分の好きをしっかり分かっていて,自分の世界を持っている感じ.痺れるなぁ.

 4人とも違う良さがあって,正直,腰を抜かす.昔のイカ天という番組に出ていた頃の映像を見て,言葉が出なかった.どれも違う方向に感情が揺さぶられる曲ばかり.

 個人的には「パルテノン銀座通り」と「電車かもしれない」も好き.僕は日常のような曲と変態的な曲を好きになる傾向があるなぁ.



フジファブリック 「SUPER!!」


 フジファブリックは,十代の後半に最も聴いたバンドだと思う.好きすぎて,ここには書ききれない,本当に.全部好き.

 この曲はイントロでまっすぐ走り出すような音がどんどこ続いていく.爽快で熱く突き進もうぜという曲はたくさんあると思うが,この曲ほど押しつけがましくなく熱情を歌った曲は無いと思う.

 ボーカルの山内総一郎の透き通る歌声が風のように響いて,よしやってやろうという気持ちになる.やる気をあげたい時に聴きたい曲である.僕はひねくれているから,まっすぐ感情をぶつけられると,それにまっすぐ返せない.でも,この曲には素直に頑張ろうと思わせる何かがある.

 疾走感あふれる歌詞とテンポに合わせて,いつのまにか気持ちが走っていく.フジファブリックにはそういう曲が多くて,「Sugar!!」や「LIFE」などもそう.応援っぽくない応援ソング,一緒にそばで走ってくれる,そんな感じがして,すごく嬉しいのだ.


 ちなみに,悩みを歌った曲もあるし,恋の妄想の曲もあるし,季節の悲しい曲もあるし,弾ける陽気な曲もある.フジファブリックに救われた日がたくさんある.いつか,全曲紹介したい.



ネクライトーキー「こんがらがった!」


 高校時代にネクライトーキーの「オシャレ大作戦」という曲を聴いて,好きになった.「高校生から眠る僕の才能は眠ったまま お金もない,努力もしない 二十五を過ぎたら死ぬしかない」という歌詞の怖さと,ボーカルであるもっささんのかわいい声のギャップに,圧倒されながら通学路を歩いていた.一人,興奮していた.

 大学でもアルバムを買って,ひたすらに聴き込んでいた.動と静の曲がはっきりしているなぁと思っている.でも,根底には同じ人の感情というか,一個の考え方みたいなものを感じて,全部好きだ.この曲に限らず,夜一人で何か行動しているときに聴きたくなる.

 バイオレンスな歌詞は,表面だけを掬い取ったチープなものではない.見た目は軽いけれど,かなり重めのパンチ.そんで,ポップな言葉と高い歌声と玉のような音が相まって,愉快な曲になっている.それでも,どこかリアルな鬱屈もあって,それに共感しながら,「からまった!こんがらがった!」という詞の感情そのまま口に出した感に笑ってしまう.時折出る話し言葉も含めて,漂う人間らしさに好きだなぁと思ってしまう.

 大学二年の頃,入っていたお笑いサークルで「禅問答」というコンビを組んでいたのだが,その時の出囃子がこの曲だった.ある意味,大切な曲である.

 あと,個人的には「君はいなせなガール」もおすすめ.



kiss the gambler 「サマーサンライズ」


 六月ぐらいから聴き始めたと思う.まだ全曲は聴けていないのだが,ちょっとずつ聴いている.というのも,一曲聴くと,しばらくそればかり聴いてしまいたくなるからだ.

 ゆるりと響く歌声にゆるりとした音,川のように曲が流れていくような気がする.ひなたぼっこのような居心地の良さを感じる.生姜を食べた時にじわじわと温かさを感じるように,気分もじわじわとあがっていく.ちなみに「ジンジャー」という曲もある.この曲も好きでよく聴いている.

休日にどこかへ行く途中に聴きたくなる曲である.そんな風ではあるが,歌詞は優しくも少し胸に来るものがある.「紫のサンライズの向こうには 複雑な思いをたくさん抱えて 手を伸ばす 昨日の私が見えたかよ」.自分の存在というものに深く悩む時,この曲はそっと横にいてくれるような気がする.

 いろんな人がいて,いろんな見え方があって,いろんな答えがある.こんな言葉なんて小さい頃からしょっちゅう目にしたし,どこか信じていなかったと思う.でも,実際,自分で色々介入してみて,いろいろ経験をした.大学生如きでまだまだ未熟かもしれないが,上っ面なのかもしれないが,それでも,上記の言葉は本当なのだと思った.うん.それっぽく思えただけでも,進歩だと思う.

 ゆっくりと頑張ろうと思える曲である.


 本当は全部紹介したかった.機会があれば,他の曲も紹介しようと思う.ここまで読んでくださり,ありがとうございました.














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