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学問こそが最高の娯楽である

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「学問のおもろさを伝えたい」というテーマで、自分の興味の赴くままに連載したいと思います。毎週土曜日夕方に更新します。
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記事一覧

第37章 分数のわり算がムズすぎる話・後編

第37章 分数のわり算がムズすぎる話・後編

昨日は勢いに任せて「分数のわり算は一生使わない」という話を書いたのですが、少し補足というか、小学校でなぜ分数のわり算を習うのかという話の私なりの解釈を書こうと思います。

分数のわり算に込められている数学的な意味についてです。
実は、分数のわり算には「逆演算」と「逆数」という概念が込められています。
順を追って説明しますね。

1. 逆演算とは難しく考える必要はありません。
例えば「ひき算」は「た

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第36章 分数のわり算がムズすぎる話・前編

第36章 分数のわり算がムズすぎる話・前編

お久しぶりです。
今回は「分数のわり算がムズすぎる」という話をしたいと思います。

何を言うてるんやと。
小学生でもできるやんと。
思うじゃないですか?

いや、分数のわり算って何なんすか?
一生使わなくないですか?

ときどき、「三角関数は一生使わないから習う必要ない」とか言って炎上してる人いますけど、分数のわり算の方が一生使わなくないですか?

というのも、息子に算数の話をしていて、分数のわり

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第35章 ダンゴムシは「虫」である

第35章 ダンゴムシは「虫」である

久しぶりの更新でいったい何の話かと思うかもしれませんが、ちょっと書かずにはいられないので書きました。
きっかけはこの記事です。

この記事自体は、知識が不十分な頭の固い小学校教員と勉強熱心(?)な小学生の相性が悪い的なよくある話なのですが、この記事タイトルに私は強い違和感を覚えてしまいました。
先生「ダンゴムシは虫だ」小3娘「エビやカニの仲間で甲殻類です」 優秀ゆえに教師から怒られる理不尽

「ん

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第34章 「化学」と「世界史」の話(?)

第34章 「化学」と「世界史」の話(?)

久しぶりですね。完全に。

完全に久しぶりです。

更新が滞りまくってるこのシリーズですが、理由としては主にADHDのせいです。

Twitterのアカウントも消しちゃって、もう引退したのかと思われていたかもしれませんが、一応ちゃんと生きています。

さて、なぜ久しぶりに更新しようと思い立ったのかというと、下記の本を買って読んで、書きたいことができたからです。

わたしごときが紹介するのもおこがま

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第33章 「学問」と「納得」

第33章 「学問」と「納得」

更新頻度が下がりまくって完全にダメダメモードなんですが、ちょっと言っておきたいことができたので久しぶりの更新です。

ちょっと調べものをしているときに「学問は納得を与えてくれる」みたいな言説があったんですよね。

「人は納得を得るために学問をするんだ」と。

その考え、ちょっと危いよって話をしようかなと思います。

1. 納得できる話は危ない何から話せばいいか迷うんですが、とりあえず「納得できる話

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第32章 「微分・積分は実は皆できている」

第32章 「微分・積分は実は皆できている」

こんにちは。

今日は皆が大好き、物心ついたころから当たり前のようにできてる微分・積分の話です。

なんでやねん!できひんわ!

と思った人のために、実は皆、自分で気づいてないだけで、微分・積分は当たり前のようにできてるんやでってことをお伝えするために今回の記事を書くことにした。

書こうと思ったのはこのツイートがきっかけです。

1. いきなり「速さ」の話さて、突然ですが、「速さ」ってどうやって

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第31章 「自分の頭で考えるということ」

第31章 「自分の頭で考えるということ」

とんでもなく久しぶりですね。

一応ちゃんと生きてます。

最近はちょっと自分の研究テーマの分野を大きく変えてしまって、その新しい勉強とかでいっぱいいっぱいだったところがあります。言い訳です。

さて、今回はちょっと変なことを書くかもしれません。

「自分の頭で考えようとしすぎるの、危いよ」という話です。

結構、逆張りみたいな話なのでイライラさせるかもしれませんが、むしろ反論をお待ちしています。

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第30章 「作用・反作用の法則をわかってない理系の人多すぎ問題」

第30章 「作用・反作用の法則をわかってない理系の人多すぎ問題」

お久しぶりです。

あれよあれよという間に年末ですね。

さて今回は「作用・反作用の法則」という、理科嫌いの人には天敵ともいえる物理(力学)の基礎の話をします。

まず、なんで今回このテーマにしたのかということですが、私が大学で電磁気学の講義を担当していて、この力学の基本的な法則がわかってない人があまりにも多いなと思ったからです。

ちなみに私が教えているのは日本の有名な国立大学の理系大学生です。

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第29章 「人はなぜ疑問を持つのか」

第29章 「人はなぜ疑問を持つのか」

超久しぶりの更新です。

書きたいことはあるんですが、間違いのないようにちゃんと調べて書こうとすると筆が止まりますねえ…。

さて、今回はわりと気軽に普段思っていることを書こうと思います。

ヒトが疑問を抱くメカニズムについてです。

1. 子供は純粋?もうかれこれ15年以上前の話ですが、私がまだ大学生だったころ、後輩とこんな話をしたことがあります。

後輩「なんでアイツら、ちゃんとやらんのですか

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第28章 「暗記は悪か」

第28章 「暗記は悪か」

久しぶりの更新です。

今回は、学問において暗記は悪かどうかのお話です。

1. 暗記しなくてもいける?最近のタイムラインでこんなのが流れてきました。

とにかく、何も考えずにまず公式を暗記せえと。

案の定、炎上しております。

さて、まずは私の個人的な能力の話をしますと

私は暗記が死ぬほど嫌いです。

というか、そもそもかなり苦手で、人並みにできません。

どれぐらい苦手かというと、小学校の

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第27章 「ヘンテコな英語」

第27章 「ヘンテコな英語」

毎週土曜日に更新すると言っていたこの「学問こそが最高の娯楽である」シリーズですが、諸事情で不定期にさせていただきます。

新年1発目の話題は英語です。

英語ネタは「日本の学校が教えない英会話術」シリーズにすべきなんでしょうが、たぶん今回の話題は学校でも教えてもらえる可能性あるので、こっちのマガジンに入れておきます。

1. 日本人英語日本の学校の英語教育って変って言われますよね。

その関連の話

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第26章 「検診の意味」

第26章 「検診の意味」

「学問こそが最高の娯楽である」シリーズの第26章。このシリーズは毎週土曜日18時前後にアップします。

今回は、厳密に言うと自分の専門外である医療の話です。

私は一応、医工連携領域の研究をしているので、医療従事者じゃない立場でありながらも、比較的近い位置で医学領域の知識が入ってきます。

そこで、自分自身が長いこと誤解していたことで、とても重要な話だと思うので、書くことにしました。

1. 健康

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第25章 「知識の価値」

第25章 「知識の価値」

「学問こそが最高の娯楽である」シリーズの第25章。このシリーズは毎週土曜日18時前後にアップします。

今回は知識の価値について簡単に。

1. ビッグデータの時代さっき調べたら、アメリカで最初の商用インターネットが登場して今年で30年らしいです。

今は何かと「ビッグデータ」という言葉を聞く機会が増えましたね。

現在、世界中のデジタルデータを合わせると、ゼタバイトの領域に突入しているらしい。

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第24章 「小学校の算数の教育カリキュラムに対する批判はだいたい的はずれ説」

第24章 「小学校の算数の教育カリキュラムに対する批判はだいたい的はずれ説」

「学問こそが最高の娯楽である」シリーズの第24章。このシリーズは毎週土曜日18時前後にアップします。

なんか、最近のTwitterのTLで「さくらんぼ計算」なるものが批判にさらされているようです。

相も変わらず小学校の算数に反射的にイチャモンつける人が多いなあと思ったので、今回はその話です。

1. 公立の小・中学校の意義日本には「子供に教育を受けさせる義務(いわゆる義務教育)」というのがあっ

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