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今日ときめいた言葉130ー「裏金事件あっても動かぬ政治家たち 熱意も匂いもなく」

(2024年4月2日付 朝日新聞 「失われた政治の創造力」米コロンビア大学名誉教授ジェラルド・カーティス氏の言葉)

カーティス教授は1964年から60年もの間、日本の政治を見続けてきた人である。日本の選挙運動を密着取材して書き上げた博士論文は「代議士の誕生」という書名で日本でもベストセラーになった。

そのカーティス教授が、日本の自民党の機能不全を厳しく批判する。

「首相として生き残るため、破れかぶれの行動でしょう・・・本当に必要なのは自民党政治の透明性を高める抜本的な改革をすることです。そこに踏み込まなければ、有権者の憤りは収まらないでしょう」

自民党は初の女性首相を誕生させて選挙を乗り切り過半数を獲得すれば、裏金問題は忘れ去られると思っているようだ。

「それでも自民党のガバナンスは崩れており、問題は残ります。それなのに具体的にどうするか誰も声をあげないし、誰も動こうとしない。与党も野党も、政界そのものが『半昏睡状態』に陥っているようです」

このような事態になったのは、中選挙区制から小選挙区制になったことが大きいという。中選挙区制だった頃は、党内で激しい競争があった。そこには新旧交代が起きていた。たたき上げで選挙民の声を重視する「党人派」と省庁出身で政策通の「官僚派」の対立もあった。でも争いながら手を組んで野党が政権を取れなくしてきた。今では競争がなくなったことで世襲の増加につながっている。

「コロナ禍で3年間、日本を離れましたが、日本に戻ると、政治家も評論家も3年前と同じ議論をしていてがっかりしました。世界はものすごく早いスピードで変わっているし、日本も大胆に変わらなければ手遅れになってしまいます。日本の変化はペースが遅すぎて、世界とのギャップが広がりばかりです」

そこでお決まりの言葉。有権者が行動しない限り何も変わらないと。国民はいつまでこういう政治を許しているのかと。

「変えるかどうかを決めるのは、最終的には国民の責任なのです」

それにしても学校教育で政治についてきちんと教育してこなかったツケは大きい。「政治の中立性」などといって、学校で政治の話をすることはタブー視され、市民として生きるための教育を真剣にやってこなかったのだから国民は政治に対してナイーブになるはずだ。

北欧の高校生は選挙になると各候補者から政策や理念を聞いて回るそうだ。選挙カーからスピーカーで名前を連呼するだけの日本の選挙とは大いに異なる。

1人の候補者が政治家になれるかどうかはその人の語る政策や理念などではなく、街の顔役のような人の票の取りまとめ次第だ。本当にドブ板選挙。配られたおにぎりの中にお金が入っていたなどという話はよく聞く。表向きは民主主義のルールなどと言っているが、実際は全く別のルールで動いている。

高校の時、「倫理・社会」の授業で「憲法は皆さんを国家権力から守るためにあるのですよ」と言った先生の言葉を時々思い出す。


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