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Coursera受講記録 : 心理的応急処置(Psychological First Aid)

Coursera(コーセラ)で受講が完了したので共有します。

Courseraとは

Coursera(コーセラ)はオンライン教育プラットフォーム(MOOCs)の一つでスタンフォード大学により設立され、現在では世界中の名門大学の授業が受けられる。MOOCs には他にハーバード大学などが始めたedXなど。

講座はプログラミングからマインドフルネスまで幅広く、修了までの時間も1講座完結の数時間のものから学位取得を目指すものまで多様。

ほとんどの講座で受講(オンライン講義を聞くこと)は無料で、講座終了後に修了書をもらう場合は有料で発行してもらう。修了書はLinkedInなどに載せてスキルをアピールしたり、オンラインで学位を取った証明に使える。

英語で開講のものが多い印象だが、一部講座には日本語字幕あり。英語のリスニングに多少不安があっても、動画の下に全文書き起こしが出てくるので、わからない部分は動画を止めて文章を読んで確認できる。

アカウント取得やサイトの使い方はググればわかりやすいサイトがたくさんあるので今回は割愛する。

心理的応急処置(PFA)を受講した理由

 自分の経験から心理的応急処置の重要さを感じていたから。私もあの時、きちんと心理的応急処置を受けられていれば精神的な症状がもっとましだったのかもしれないという思いがあり、自分に必要だったのは何だったのか知りたいというのが動機。自分が欲しかったけど得られなかったものをいつか誰かに与えられるようになりたいなと思っていた時に講座を見つけたので受講することにした。

心理的応急処置(PFA)とは?

 心理的応急処置(Psychological First Aid)は危機的な状況(災害、事件、事故や身近な人の自死など)にあった人の心理的ストレスの悪化を防ぐための支援の一つ精神医療の専門家でない人にもできる被災者/被害者の心理的サポートの方法。

講座で強調されていたのはカウンセリングや病名の診断が目的ではないということ。事件事故の直後に、精神的な負担が大きい人を見つけ出して状況を把握し、必要があればより専門的/長期的な支援を受けられるよう手配する、まさに応急処置。そのため講座の対象も「被災者支援ボランティアや自治体職員、警察関係者など、精神的医療の専門家ではないが被災者/被害者に関わる機会のある人」が想定されていた。

研究によれば、危機的状況の直後に適切な心理的応急処置ができると、カウンセリング数回分よりも効果があるらしい。単純に大規模災害や大事故の現場には精神科医が足りていないからと導入されたわけではなく、理にかなった支援である。

RAPIDモデル

講座ではジョンズホプキンス大学発の心理的応急処置モデルが紹介された。各手順の頭文字をとってRAPIDと呼ばれる。

 R: Reflective Listening&Rapport (傾聴して信頼関係を築く)

 A:Assessment (状況を把握して支援のニーズを見極める)

 P: Prioritization(支援の優先順位をつける)

 I: Intervention(実際に介入/支援する)

 D : Disposition&Follow-up (適切な機関と繋げる)

講座ではそれぞれの場面で行うべきことを順に学んだ。また支援に従事する人自身のセルフケアについても触れられていた点が良かった。大変な状況にあった人達を支えるのも心が消耗することなので。

簡単に紹介したが、実際の講座では良い例と悪い例の動画を見て望ましい支援について考えたり、実際に起きた災害のドキュメンタリーを観て対応の優先順位をつけるなど実践的な内容だった。また受講生用のオンライン掲示板で他の学生達と意見を交換することもできた。

参考文献

 受講したジョンズホプキンス大学のRAPIDモデルとは若干異なるが、こちらのサイトのPDF資料(日本語)も詳細でわかりやすい。

受講後の感想

 修了まで約6時間のコースで、私も実際に取り組んでそれぐらいかかった。各講義の最後にある制限時間30分の小テストは問題数が少ないので10分くらいで済んだものの、動画を一時停止してノートを取りながら観たので時間がかかった。

 英語のレベルについては、心理学用語が多数出てくるし教授が時々とても独特な言い回しをするので単語の難易度は高めだと感じた。ただ説明そのものは端的なので辞書を引きながら視聴すればついて行けるレベルだと思う。

 災害支援/事故/テロの対応に関わる人は知っておくべき内容だと感じた。通常の応急処置(止血の仕方やAEDの使い方など)は学校や教習所でも習うほど浸透しているのだから、精神的なケアも同じくらい一般的になれば精神的なトラウマに長期間苦しむ人も今より減るのではないだろうか。

支援従事者のセルフケアの項目でもふれられていたように、事件事故の直後に現場で働く人も大きなストレスを受ける。自分の心を守り、被災者/被害者の精神的な傷を悪化させない/長引かせないためにも受講する価値のある講座だと感じた。

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