艶めく視線は
斜め下を見て

ため息をついた
深く浅く

足を組みながら
珈琲をすすり

マグカップに暗い
口紅をつける

ただ君はいつも一人で
午後一時半過ぎに
この場所にきては

モスグリーンの爪を
研いで研いで
モスグリーンの爪を
磨いて磨いて
モスグリーンの爪に
液を塗って
モスグリーンの爪を
見つめ、ため息

携帯を触り
時間潰したり

本を読みながら
時計気にしたり

多様な命が
流れるこのカフェで

君は黄昏て
窓の外を見る

そして今日もグッと背伸びし
午後二時半過ぎに
会計をすます

モスグリーンの爪よ
何処へ何処へ
謎を振り撒いて
何処へ何処へ
モスグリーンの爪が
角を曲がって
足取りを消した
いつものよに

誰彼構わず好きになる
そんな魔性を秘めながら
遠い夜空に愛落とし
ひっそりひとりで微笑作る
そんな美しい哀愁漂う
異星人

モスグリーンの爪よ
何処へ何処へ
謎を振り撒いて
何処へ何処へ
中途半端な
午後の時間に
明日も昨日も
ここでここで

※モスグリーンの爪を
   研いで研いで
   モスグリーンの爪を
   磨いて磨いて
   モスグリーンの爪に
   液を塗って
   モスグリーンの爪を
   見つめ、ため息

作詞　安駄鐘彦