【誰も知らない】1990年代、再び日本は敗戦した。

アメリカの戦後日本統治の目的は、「地域共同体を破壊すること」でした。そしてそれは、完璧に実行されます。

小室直樹氏は『危機の構造 日本社会崩壊のモデル』(小室直樹著 中公文庫 1991年)のp163で、日本の村落共同体は、終戦とともに崩壊をはじめたと指摘しています。

これは、「歴史上もっとも成功した改革」と、マッカーサーが自画自賛する農地改革法のことをいっているんでしょう。

大きくいえばここで、日本の共同体は破壊されたんです。

いったん破壊されます。しかし、日本人は再び、共同体へと回帰する。

小室氏いわく、戦後の日本人は、失われた共同体を再編するかのように、会社や官庁などの職場を、地域にかわる『共同体community』としてつくりあげていったのだと。

これは「共同体」が日本の自然現象だからですね。
いくら刈っても勢力を拡大する雑草と同じように、日本人は再び共同体をつくりあげたということ。

上掲書のp157によれば、年功序列(ねんこうじょれつ)や、集団間移動の困難などは、そもそも『共同体community』の特徴なのであって、日本の特徴ではありません。

アメリカだろうとどこだろうと、『共同体community』においてこそ、年功序列などの現象は見られるのだと。

だから年功序列は、日本企業の特徴ではないです。戦前の日本企業には、年功序列はないし、職場の変更もわりあいスムーズに行われたという指摘もあります。

そして、ここでもまた、共同体を軸とした日本人の信じがたい飛躍が確認されます。戦後の日本企業は、『ジャパンアズナンバーワン』といわれるほどの経済力をもたらしました。

この理解不能なまでの飛躍は、会社という共同体への帰依(きえ)、日本独自の信仰体系が、理由です。

ところで『ジャパンアズナンバーワン アメリカへの教訓』(エズラ・ヴォーゲル著 広中和歌子・大本彰子訳 TBSブリタニカ 1979年)の著者エズラ・ヴォーゲルも、日本対策班でした。日本人をただ持ち上げているだけではないのですよ。

またしても現れた、日本人の古来の信仰を見抜いたアメリカは、日本封殺(ふうさつ)の伝家の宝刀をひき抜ました。

『共同体の破壊』こそ、日本を封殺するもっとも効果的な政策です。1990年代のアメリカは、ローレンス・サマーズを筆頭に日本を制圧した。


副島隆彦氏は『堕ちよ!日本経済 アメリカの軛から脱するために』(副島隆彦著 祥伝社 2000年)の中で、サマーズによる日本制圧のあらましを描写しています。

描写の中で、1999年2月19日付けの、ニューヨーク・タイムズ紙の記事が一本、紹介されています。

トーマス・フリードマンという記者の『Yanks Invade Japan アメリカが日本を侵略する』という題名の文章。日本語訳の方を、こちらに引用しておきます。びっくりするような文章ですが、ニューヨーク・タイムズですからね。


『堕ちよ!日本経済 アメリカの軛から脱するために』p45~p46(副島隆彦著 祥伝社 2000年)
Thomas L.Friedman ニューヨーク・タイムズ紙 1999年2月19日 『Yanks Invade Japan アメリカが日本を侵略する』

《日本語訳》
今世紀で二回目だが、アメリカ合衆国は、今や日本を占領した。

アメリカ上陸部隊は、ロバート・ルービン財務長官を最高司令官とし、ローレンス・サマーズ統合参謀本部議長によって率いられている。上陸するや、アメリカ軍は、ただちに日本銀行と大蔵省を占拠し統制下に置いた。

アメリカの貿易赤字は年額換算でついに過去最高の三五〇億ドル(三・五兆円)にまで膨張した。この事実がわかった三〇日後に、この侵攻作戦は敢行された。

アメリカの巨額の貿易赤字を憂慮して、投機家のジョージ・ソロスは、米ドルの二五%の暴落を見越して投機を仕掛けた。ソロスは、米ドルを大量に売ってヨーロッパのユーロ通貨を買い込んだ。

他の投機家たちもソロスの動きに呼応して米ドルを売り込んだ。さらには、米国債をも投げ売った。そのために、たった一晩で、アメリカの金利は一二%に跳ね上がった。・・・

サマーズ将軍は、ハーバード大学の経済学者だったのだが、彼は自ら手を下して、榊原英資財務官(大蔵副大臣)に対して再教育(洗脳教育)を施した。

噂によると、在日アメリカ大使館の中の一室で、榊原英資は拷問を受けた。彼は、まぶたを閉じられなくするために額にテープを貼られ、休むことも許されずに、ずっと大声でマネタリスト政策を日本で実行しつづけるように、ミルトン・フリードマンの文章を読み続けることを強制された。榊原が閉じこめられた部屋からは、恐ろしい叫び声が聞こえた。

続けて副島氏は、サマーズが1998年7月にハーバード大学で講演した際、講演会の主催団体から、マッカーサーの代名詞であるコーンパイプのレプリカを贈呈されたのだと記述しています。

コーンパイプは、日本占領の象徴。幕末のペリー、戦後のマッカーサーにつらなる人物としてのサマーズ。

日本は、ペリーに衣服を破かれ、マッカーサーに肉体を奪われ、サマーズに脳を乗っ取られたと考えていいです。三度にわたって、日本人は徹底的に引き裂かれた。


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