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映画「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」を観た

1960年代のアメリカ。両親の離婚にショックを受けた16歳のフランク・アバグネイルJr.は、単身ニューヨークへ。やがて、お金に困って“小切手詐欺”を思い付く。その天才的な頭脳とチャーミングな魅力で、巧みにパイロットになりすました彼は、偽造小切手を切っては全米各地を豪遊。ところが、FBIの敏腕捜査官カール・ハンラティが犯人逮捕に乗り出し、世界を股にかけた二人の長い“追いかけっこ”が始まった!

 キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン (字幕版)
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00FYND5UK/ref=atv_dp_share_cu_r


「ウソの中のほうが楽なのさ」


もし、今の自分や生活に不満があるなら、ウソの中(今なら仮想現実、メタバースなど)で理想の自分を演じているほうが楽なのだろうか?

天才詐欺師で名をはせたフランク。彼は単に現実逃避したかったのか?

それとも自分以外の「何者かになりたかった」のだろうか?

その行動の裏側にあったのは「孤独」と「寂しさ」なのかもしれない。

この映画は実話に基づいて作られている。
現代ではメタバースで仮想現実の世界を楽しみ、複数のアカウントを持ち「現実の自分とは異なる人格」を演じ使い分けている人たちもいる。

1960年代の話とはいえ、当時10代だったフランク。もちろんインターネットもSNSもない。彼は思うままにならない自分の日常に決別したかったのかもしれない。彼の家庭は両親の不和など問題を抱えていたという。

家出の末に詐欺師になってしまうのは、かなり無謀で特殊だ。だが、彼は日常的な閉塞感から脱出したかったのかもしれない。

もう一人の自分



「自分とは異なる誰かを演じる」という行為は、ある意味ストレス解消にもなるらしい。感染症禍で閉塞感が漂う日常に息苦しさを感じている現代人。フランクの抱える孤独や生きづらさに、どこか共感する部分もあるのではないだろうか。


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理想と現実

誰でも「なりたい自分」や「理想の自分」がある。
しかし、誰もが理想通りの人生を歩めるわけではない。

何事も努力だけでは、どうにもならないことがある。それは、最近話題になった「親ガチャ」に代表されるような「運」や「縁」であり、予期せぬ事故や災害、疾病などが当てはまる。

その反対側で「棚からぼたもち」でトントン拍子に夢が叶ってしまう人もいる。どちらも偶然。だが、予定調和に終わらないのが人生なのかもしれない。

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自分を騙(かた)った後に何が残るのか


パイロット、医師、裁判官……天才詐欺師フランクは、なりたい自分になりきった。これらの職業を騙(かた)ったのは、単に社会的信用と収入が高く、一般的に知名度のある仕事といったイメージ戦略(今でも結婚詐欺師などに多くみられる職業)だったのかもしれない。だが当時10代だった彼にとっても、ある意味、憧れの職業だったとも考えられる。

手に入れたものと、失ったもの

しかし、いくら人々に持て囃されようが、多額のカネやモノ、名誉や信用を手にしようが所詮、それは本当の自分ではない。

恋人や同僚、上司も「ありのままの自分」を認めて愛してくれているわけではないのだ。そしていつ見破られ、ウソが露呈するかおびえて過ごす。

毎日のように自尊心はぐらつき、愛する人たちさえも欺いているという焦燥感と闘わなければならない。

ウソを重ねていくうちに、彼の中で摩耗していったものは何だろう。


もし、彼が幼少期から「ありのままの自分」を認められ、愛されていたなら……ウソで塗り固めた生活を続け、犯罪を重ねることは、なかったかもしれない。天才的に頭が良く行動力もあり、人を惹き付ける魅力がある人物だっただけに、そう思ってしまう。


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エンディングで
「(フランクが)偽造防止小切手を考案。銀行や大企業が日々それを使っている」
とあった。彼が詐欺師として非難されるだけではなく、その類まれなる頭脳と才能で後の世に貢献したという結末に心温まった。

トム・ハンクスと演じるFBI捜査官のカールと、レオナルド・ディカプリオ演じる天才詐欺師フランク。芸達者なふたりが家族への思いを通して、徐々に心を通わせていく様子が印象的だ。スピルバーグ監督作品は裏切らない。

1960年代の空気感漂う航空会社のファッションや銀行の様子、古き良きアメリカの文化も知れて楽しい。クリスマスシーズンの街の風景も美しく、アメリカ家庭のインテリアも目を楽しませてくれる。


キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン (字幕版)

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