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2024年5月末、開講。「答えを急がず立ち止まり、対話を続ける力」を探究・実践へと繋げるラボのメンバーを募集します

noteを開いてくださってありがとうございます。合同会社&anteの大滝&原田です。


対話とネガティブ・ケイパビリティ探究ラボとは?

対話とネガティブ・ケイパビリティ探究ラボは、対話と「答えを急がず立ち止まる力」であるネガティブ・ケイパビリティという概念を探究し、実践へと繋げることを目指すゼミ形式の企画(オンライン開催)です。

なぜ対話と「ネガティブ・ケイパビリティ」か?

私たちをとりまく社会がどんどん複雑になり、今までの価値観や物事の見方だけでは対応しきれない物事が増えています。

分かりやすい「正解」がいよいよ見えなくなった中、
より深く、相手や自分のことを理解し合ったり、本質的な課題と向き合う上で「対話」が注目されています。

一方で、こんなことを思ったことはありませんか。

「対話が大切なことは分かっているが、仕事や家庭での実践が難しい」
「ネガティブなことを伝えづらく、ついついそのままにしてしまう。自分が我慢したり、相手に我慢させてしまう」
「ネガティブなことを伝えても相手に受け取ってもらえない」

対話は単に「深い話をする」というようなものではないと思います。
楽しかったり、気持ちいいことばかりでもありません。

深い森に分け入っていくような、
ふと「この先にいっても大丈夫なのだろうか」と怖くなる瞬間があります。

時には対話したかった相手と対立し、炎がゆらぐ時もあります。
もう対話なんて、続けていられない。そんな状態になることもあるでしょう。

そんな時、相手のことが、自分のことが分からなくなった時、
「分からない」と投げ出さず、対話を続ける上で
「ネガティブ・ケイパビリティ」という概念が大切なのではないか? 

対話についての探究と実践を続けてきた私たちは、
ネガティブ・ケイパビリティはわからなさ」と共にあり、
対話を続ける上での重要概念なのではないか? と考えました。

「ネガティブ・ケイパビリティ」とは

ネガティブ・ケイパビリティは、一言で「答えを急がず立ち止まる力」と言えます。
(「ネガティヴ・ケイパビリティで生きる ―答えを急がず立ち止まる力」 谷川嘉浩 (著), 朱喜哲 (著), 杉谷和哉 (著)より)

「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉はイギリスの詩人ジョン・キーツが、私たちの関心を引きつける形で言語化しました。

生まれつき身体が弱く、恵まれない家庭環境で育ち、25歳でこの世を去ったキーツ。
若くして死が近づき、答えの出しようのない事態に向き合い続けた彼が、救いとした概念なのかもしれません。

キーツの死後、同じくイギリスの精神科医であるウィルフレッド・ビオンが、心理臨床の場で「ネガティブ・ケイパビリティ」の概念を重視し、広めたとされています。

事実や理由に苛立ちを覚えることなく、不確かさ、神秘、疑念の中にいることができる力。

ネガティブ・ケイパビリティについての著書を持つ精神科医の帚木さんは、「ネガティブ・ケイパビリティ」は頭の中に置いておけば良く、「きちんと身に付けなければ」と踏ん張るのは難しいと仰っています。

私たち自身の経験から、対話とネガティブ・ケイパビリティの難しさを実感するのは、主に大きく2つの場面であるんじゃないかなと思います。

1つは、ネガティブさを保持しきれない時。例えば、「怒りがどうやっても収まらない」、「イライラが出てしまい、相手と対話を続けられない」ような場面。

もう1つは、反対にネガティブさを我慢し、保持しすぎてしまう時。例えば、怒りや悲しみを抑えすぎ、自分が「本当に伝えたい」ことを伝えられないような時。

一見こちらはネガティブ・ケイパビリティを発揮しているようにも思えますが、相手に想いを伝えられなかった、対話を続けられなかった、という意味で、本当にそれで良かったのか? と思う場面が自分にもあります。

対話とネガティブ・ケイパビリティを共に探究する

対話とネガティブ・ケイパビリティの両立は難しい。だからこそ、私たちは「対話」と「ネガティブ・ケイパビリティ」という概念を結びつけ、共に実践に向けて探究する仲間を募ります。

私たちは2021年8月に対話を深め実践するコミュニティ企画をスタートさせました。2期、3期、4期と続けて約60名のメンバーと毎期約3ヶ月間、対話を探究してきたゲストの方と共にインプットとアウトプットを繰り返しながら、学びの場をつくってきました。前期は「対話とファシリテーション」に焦点をあて、探究し、実践知を高める講座を開催しました。 

通算5期となる今回は「対話」の重要な概念であると考えられる「ネガティブ・ケイパビリティ」に焦点を当てました。そして、「対話とネガティブ・ケイパビリティ」というテーマにぴったりの心強いゲスト講師の方々にご協力頂いています。

「対話に生きる」を掲げ、行政、学校、企業、NPOなど様々な領域でプロフェッショナルとして対話の場づくりを10年以上続けられている、対話の探究者である古瀬正也さん。

「ネガティブ・ケイパビリティで生きる」の共著者であり、哲学者である谷川嘉浩さん。

対話とネガティブ・ケイパビリティの探究をされてきた実践哲学者の方々と共に、それぞれの解像度を上げ、自分の生活でのネガティブケイパビリティ実践のための知を一緒に解き明かしていく場になればいいなと考えています。

企画で大切にしたいこと

・探究と実践の融合
・哲学者・実践者からネガティブ・ケイパビリティの実践知を学ぶ場
・学習科学の応用:共同体を作り、皆で共有知を作る

目指すところ

・対話とネガティブ・ケイパビリティそれぞれの理解を深め、生活で実践する
・対話とネガティブ・ケイパビリティの概念と関係を探究する
・「対話とネガティブ・ケイパビリティ」の探究・実践コミュニティを形成し、お互いの実践を応援し合える関係性を作る
・健全な批判的精神を元に、ラボ期間中もネガティブな場に止まり続けるだけのケイパビリティをもつ

こんな方にオススメ

・変化激しい現代社会で「分からなさ」と共にありたい方
・他者とのコミュニケーションに課題感を感じている方
・仕事や場づくり、対話で表面的には和やかに進められるが、より深い所での気づきや学びを得られる場を目指している方
・ネガティブな状態や気持ちを抑えるのでもなく、爆発させるのでもなく付き合えるようになりたい方
・対話とネガティブ・ケイパビリティの探究者、哲学者と共に対話を通してネガティブ・ケイパビリティを育みたい方
・対人支援や教育関係など、ネガティブ・ケイパビリティが仕事やご自身の活動において重要だと思われる方

プログラム日程

全7回・毎週の定例ゼミ形式(全回オンライン、Zoomでの実施)
5月28日からスタート、毎週火曜日20:00-22:00で実施

第1回  5月28日(火)20:00-22:00
「分からなさ」から始める - 現在地の確認・探究テーマの設定

・顔合わせ、お互いのことを知る
・自分の対話とネガティブ・ケイパビリティの現在地の確認
・ご自身の問い、探究テーマを設定する

第2回 6月4日(火)20:00-22:00
対話探究 - 対話とネガティブ・ケイパビリティへの橋渡し

講師:古瀬正也さん
・対話とは何か?
・対話とネガティブ・ケイパビリティ - 答えを急がず立ち止まり、対話を続けるには?

第3回 6月11日(火)20:00-22:00
対話とネガティブ・ケイパビリティを探究する

・対話をしたいのにできなかった、続けられなかった場面を深掘る
・対話とネガティブケイパビリティを繋げ、探究する
・自身の探究テーマを共に深める

第4回 6月18日(火)20:00-22:00
ネガティブケイパビリティ探究 - ネガティブケイパビリティを身につけるには?
 
講師:谷川嘉浩さん
・ネガティブケイパビリティとは何か?
・ネガティブケイパビリティを身につけるには?

第5回 6月25日(火)20:00-22:00
対話とネガティブ・ケイパビリティ探究実践

・ネガティブケイパビリティをどう高めていくかのケースワーク
・ネガティブケイパビリティをメタ認知する
・自身の探究テーマを共に深める

第6回 7月2日(火)20:00-22:00
対話とネガティブ・ケイパビリティ探究 成果共有
・メタダイアローグ
・探究成果をまとめ、共有し合う
・対話とネガティブ・ケイパビリティを実践へと橋渡しする

最終回 7月9日(火)20:00-22:00
対話とネガティブ・ケイパビリティ探究 振り返りとその先へ
・自分の対話とネガティブ・ケイパビリティをメタ的に認知する
・これまでの学びを振り返り、自身の生活に繋げる

※各回の進行内容はより良い場をつくるために改定する場合があります。

これまでの参加者の方々の感想(一部抜粋)

純粋に新たな出会いができて楽しかったです。「対話とは」という大きなテーマを連続で扱う勉強会は新鮮で、勉強になりました。連続して扱ったからこそ学びが深まった感があります。生活の中に継続的に勉強できる時間があるのはすごく豊かなことだなと終わってみて感じています。

「対話・実践ラボ」に参加頂いた20代会社員の方

「人と違う意見を持ってそれを人に話すことが怖い」という感覚から、「人と違う意見があるのが当たり前。その違いを共有することが楽しい」という感覚を実感できて良かったです。

「対話・実践ラボ」に参加頂いた10代学生の方

対話というのは、問題解決の手段でもあるけれど、それよりもより良く生きるためというゲストの方の最後の話がすごく身に染みました。対話をすることは、他者がいる事で成り立ち、その中で対話こそ、自分の存在を他人に認識して貰う上で必要な行為なのではないか。
そうなると対話をしないで生きている事は実は自分の存在が無いかもしれないという事にも繋がるし、対話こそ人生そのものかもって思いました。

「対話・実践ラボ」に参加頂いた30代公務員の方

学習側として申し分ない環境だった。週1ペースでインプット、アウトプットできるのがよかった。毎週じぶんの在り方を再確認できる場になったと思う。もやもやしていたことを第一線でおられる方とやり取りできて、言葉をもらえたのがよかった。丁寧なファシリテーションやフィードバックの機会が嬉しかった。

「対話とファシリテーション探究講座」に参加頂いた20代会社員の方

正解のない事を取り組み続ける面白さ。最終回は、好きな漫画の連載が終わってしまったような感覚になった。

「対話・実践ラボ」に参加頂いた30代会社員の方

「オンラインでも、こんな風にコミュニケーションや対話を繰り返すことで関係性を築いていくことができる」ということを、この探究ラボを通して体感していただけたら嬉しいです。

何より「対話とネガティブ・ケイパビリティ」という、正解が見えない時代を生きていく上で大切な概念について、一緒に学びを深め実践に繋げる仲間が欲しい。

「対話とネガティブ・ケイパビリティ」の両方をタイトルに置き探究する企画は、私たちも初めての試みですし、おそらく日本でも初めてではないか?と思います。

場を開くことは「祈り」に近いです。一緒に探究したい方々と共に初めて探究の場が創られます。「対話とネガティブ・ケイパビリティ」探究・実践というキーワードにピンときた方と、このタイミングでご一緒できることを心より楽しみにしています。

講師

古瀬 正也(Masaya Furuse)

フリーランスのワークショップデザイナー。ファシリテーター。1988年生まれ。埼玉県戸田市出身。長野県御代田町在住。駒澤大学グローバルメディアスタディーズ学部卒業。立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科修了。対話の場づくりの実践と研究を繰り返す中で、2012年に「古瀬ワークショップデザイン事務所」を設立。今年で独立11年目。人が集い・出逢い・関わり合い・学び合う場の設計と当日の進行役を行う。これまでに中央省庁や行政、学校、企業、NPOなど様々な分野で、年間60本ほどのペースで700回以上のワークショップや研修を実施。2020年から「対話に生きる」を軸に活動中。


谷川 嘉浩(Yoshihiro Tanigawa)
1990年生まれ。京都市在住の哲学者。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在、京都市立芸術大学美術学部デザイン科講師。著書に『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』(ちくまプリマー)、『スマホ時代の哲学――失われた孤独をめぐる冒険』(ディスカバートゥエンティワン)、『鶴見俊輔の言葉と倫理――想像力、大衆文化、プラグマティズム』(人文書院)、『信仰と想像力の哲学――ジョン・デューイとアメリカ哲学の系譜』(勁草書房)など。

主催者


大滝文一(Bunichi Otaki)
合同会社&ante 
認定キャリアコンサルタント・コーチ

1992年生まれ。学びの研究者。University of Gothenburg 修士課程修了(教育科学)。北海道旭川市出身。早稲田大学在学時、自分との対話を通して気づきを生み出し課題解決に繋げるコーチングに出逢い、対話的な学びを深める。
大学卒業後、米国発の世界的な表現教育を手がけるNPOで5年間プログラムの企画運営を行い、全国20都府県で述べ5万人以上と場作りをする。
旭川にUターン後、世代を超えて学ぶアフタースクールを立ち上げ。また、教育大生と共に哲学対話会を地域で実施。
様々な機会を通して「世界に対話が足りていない」ことを実感し、2021年に本企画の前身である「対話・実践ラボ」の共同立ち上げに至る。2023年秋より日本の博士課程に所属しながら、豊かな学びを実践的にどう創っていくか、研究との橋渡しを試行錯誤しながら場づくりを続ける。


原田優香(Yuka Harada)
合同会社&ante 
社会福祉士(第208770号)・精神保健福祉士(第76385号)・産業カウンセラー

1994年5月生まれ。京都府宇治市出身。
その人の力ではどうにもならない「生きづらさ」をどう社会全体で「生きやすさ」に変えていくのかを学ぶ為に福祉について専門的に学び、国家資格を取得。
これからの社会を生き抜く為には自分のことを適切に理解して言語化していく対話力が必要だと思い、3人1組になって対話を通して自分を探求していくジブン研究という対話型プログラムを2018年に立ち上げる。現在9期目、総勢200名弱の個別相談に対応。
2020年9月より個人事業主として独立。イベント企画運営、場づくり、コミュニティづくり、プロジェクトマネジメント、組織開発等複数の会社と契約しながら、「人にとってのより良く生きる為の場の在り方とは何か」を探求中。2023年4月より、組織開発、人材開発の研究をするために立教大学大学院リーダーシップ開発コースに通学中。

企画パートナー

福崎 陸央(Rikuo Fukuzaki)
合同会社逍遥学派 インタープリター/共同代表
1996年東京生まれ。広島県呉市大崎下島と三次市甲奴町の2拠点で暮らす。
デザインプロダクションでコンセプト設計やコピーライティングに携わり、転職後のまちづくりの会社では教育事業の立ち上げを行う。
2023年合同会社逍遥学派(しょうようがくは)を共同代表の大橋まりと設立。未開を灯すをミッションに、集落での生活を体験するプログラムの設計や、複雑性の高い事業の翻訳・可視化を通して、未だ知られていない世界や価値との接点をつくることを目指す。2024年3月より新拠点「暮らせるアトリエ みみみみみ」をつくり始める。

大橋まり(Mari Ohashi)
合同会社逍遥学派 開放探求者/共同代表
1994年東京生まれ。広島県呉市大崎下島と三次市甲奴町の2拠点で暮らす。
デザインプロダクションでグラフィックデザイン、ブランディングを中心に広告デザインに携わる。
2023年合同会社逍遥学派(しょうようがくは)を立ち上げ、主に自分の原動力になる問いを探すプログラム、ものの見方が変わるワークショップ、一緒に作ることでケアされたりやりたいことが整理できるデザインの制作などを行う。自ら島で暮らす中で感じたことや発見したことを色んな人に話したいと思っている。2024年3月より甲奴町の古民家にて暮らしと美術をテーマにした拠点「みみみみみ」をはじめる。

お申し込み

【価格】
全講座参加:¥40,000-(税抜)¥44,000-(税込)
・参加者限定の探究グループへご招待いたします。
・全7回の録画アーカイブが共有されます。
・分割払いも受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

【定員】
15名 →20名に増枠しました! (先着順)
・5月6日時点で定員15名が満席となったため、5名限定で増枠しました。以降のお申し込みはキャンセル待ちとなりますのでご了承ください。沢山の方に興味をもっていただき、ありがとうございます。
・早割は4/29 20:08までのお申し込みで締め切りました。
・共に探究・実践に繋げていくために全回参加を推奨していますが、お仕事や学業の都合で出られない回がある場合は事前にご連絡ください。

▼お申し込みフォーム
※お申し込み締め切り:5月20日(月)23:59

参考

対話に生きる - Live On DIalogue - 古瀬正也

ネガティヴ・ケイパビリティで生きる ―答えを急がず立ち止まる力 - 谷川嘉浩 (著), 朱喜哲 (著), 杉谷和哉 (著)

ネガティブケイパビリティとは。即レスしないコミュニケーション方法をあえて選ぶこと|谷川嘉浩


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