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映画「Dr.コトー診療所」

いい映画でした。
長く続いているシリーズものだけのことはあります。

美しい景色と、ストーリーから発散される前向きで優しい雰囲気を増幅させるゆったりとした音楽。エンディングでかかる中島みゆきさんの「銀の龍の背に乗って」が映画を記憶に焼き付けます。豪華キャストがこれでもかと登場するのも圧巻です。

座席の背もたれに体を預けて、物語の流れに身を任せた心地よい時間でした。

離島の医療環境の厳しさは相変わらずで、意図してはいないものの、島民がコトー先生一人の肩にのしかかっている現実には、やはり忸怩たる思いが湧き上がります。

その島民の姿勢に苛立ちを覚えたりもしますが、誰も、決してそれを良しとしているわけではないことが伝わってくるから、切ない気持ちが苛立ちに取って代わります。

そんな環境にあって、一人で島民の健康維持を担ってきたコトー先生の覚悟の深さを改めて見せつけられるのが、今回の映画です。

そんなに何もかも一人で抱え込まないでと叫びたくなりますが、結局、それがコトー先生の生き方や信念に繋がっているのです。

「医者じゃないから、救えなかったと思っているのなら、医者じゃなくて良かったよ」
というコトー先生のセリフがあります。
これは言い換えれば、医者なら救わなければならない使命があるのだというコトー先生の強い覚悟を表しているのだと思います。

そして、島民一人ひとりにもさまざまな事情があり、みんな精一杯生きている姿が共感を呼びます。

自分の命をどのように使うかは自分次第です。
他人がそれに口出しをすることはあっても、無理強いはできないのです。

もし今、何かに迷っていたり、勇気を出せないでいる人がいたら、この映画を見ることで、背中を押されたり、進む方向が見えてくるきっかけになるかも知れません。

自分で決めること。
自分で責任を取る覚悟を持つこと。
相手の決断には愛情を持って寄り添うこと。
そのための強さを身につけること。

これらのことを静かに、でも力強く心に焼き付ける映画でした。

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