パスはなぜ難しいのか パスの考察①

 今日も今日とて柔術は楽しい。最近一気に寒くなってきたのでアップを大事にしてます。静的ストレッチ→動的ストレッチの順でやっています。意外と動きがよくなるのが足の指運動。これをやるとマットをしっかり踏める気がします。

 今日はパスの話。木内先生のクラスで感じたことを書きました。木内先生のクラスでは技の形や手順だけでなく、技のコンセプト、体系的な技術の考え方も教えてくれるのでとても勉強になります。


 木内先生が、指導でパスは組み合わせること、左右へ攻めることが大事だといっていました。なぜだろうか、と自分なりに考えて今回の記事を書きました。

パスの方がスイープより難しい

 階級や帯によっても違いますが、基本的にパスの方が難易度が高いです。ルールでパスは3点、スイープが2点ということがそれを示していると思います。試合でもスイープとパスの本数を調べたらスイープの方が多いでしょう。なぜ難しいのか考察していきます。

①パスは組手・自分の形を作るのが難しい
②パスは意識を散らすのが難しい
③パスは循環(つなぎ・切り替え・組み合わせ)が難しい
④パスはバランスを取ることにリソースを割く

①パスは組手・自分の形を作るのが難しい

 組手はボトムの方が有利です。なぜなら、組手争いで上は手を2本しか使えませんが、下は手2本と足2本使えます。単純に4対2なので下の方が組手は有利です。
 
上が足を動かさず組手争いしたら、下が組み勝つことが多いと思います。

トップの組手
 組手を作るのが難しい
=自分の形を作れない(コントロールできない)
=相手の形を作られやすい(コントロールされる)

②パスは意識を散らすのが難しい

下からできることはたくさんあります
上は足を越えないとほとんど何もできない

 格闘技において相手の意識を散らすのは基本です。ミドルを警戒させてハイキック、打撃を意識させてタックル、サブミッションを意識させてスイープ。

 上は相手の足を越えないとコントロールされるので、まずパスを狙います。下はガードに入れていればスイープ、サブミッション、バックテイクなど色々狙えます。また、パスの方向は前後左右ですが、ボトムからのアタックは前後左右に加えて上下(浮かせる、下げさせる)の攻めもできます。

 パスはボトムよりもアタックのバリエーションが少なく、相手の意識を散らすのはトップの方が難しいのです。

色んなアタックで相手の意識を散らして技を成功させるイメージ

③パスは技の循環(つなぎ・切り替え・組み合わせ)が難しい

 ②の続きです。意識を散らすためには技を循環(つなぎ・切り替え・組み合わせること)が必要ですが、トップのパスはこれが難しいのです。

ガードは一度しっかり作ったらそのガードの中で技を循環させてアタックできる
パスは別のパスに切り替える時にまた組手を作り直す必要があるため、技の循環が難しい

 ガードは一度形に入れば、コントロールした状態で色んな技をアタックをし続けることができますが、パスは別のパスに切り替える時に組手や形を作りなおす必要があります。そして組手や形を作り直すときに組み負けてしまい攻めが途切れることが多いです。攻め続ける(技を循環させる)のは、ボトムよりトップの方が大変です。

④パスはバランスを取ることにリソースを割く

 ボトムは背中をマットにつけている(すでに倒されている)ので、バランスを取る必要がありません。安定してます。
 トップはバランスを取ることにリソース(資源)を使います。また、トップのアタックの時は体重を使う必要がありますが、これは技術として難しく、バランスを崩してポジションを失うリスクがあります。

 バランスを取ることに使うリソース(資源)=両足、かばい手など
→ボトムこのリソースを相手を崩すことに使える。

①の組手の話で、相手は手足四本使えてこっちは手2本しか使えないという話と似てる

まとめ パスはアドリブ

 以上、パスが難しい理由についてまとめてみました。前段階の自分の形を作る組手が難しいうえ、パスにはアドリブが求められます。このアドリブの部分が言語化が難しく、センスが求められ、クラスや教則動画で勉強してもなかなか身に付けられません。
 しかし、難しい理由が分かるとどうしたらパスができるようになるのか、が分かってきます。次回はこのパスが難しい理由を踏まえてパスするための戦略をまとめていきます。

2023/11/13 アンディ







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?