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嬉しいこと、悲しいことのすべて

ひと月半ほど自宅で仕事をしていた
今日ほんとうに久しぶりに出社した

日々反復するからこそルーティンに
なるのであって、別の反復になれば
かつての反復は忘れ去られてしまう

朝起きてから、どんな順番で準備を
していたのかも忘れてしまっていた

当たり前だけれど、オフィスの風景
は、何ひとつ変わった様子はなくて
私が、いても、いなくても同じ風景

そう、私ひとりが変えられることは
ほとんどない
それは、そんなに悪いことではない
同時に、そんなに良いことでもない

買ったばかりのドクターマーチンは
まだ硬いけれど、さほど痛くはない
靴ではなく、足が合わせようとする
そんな考えがふと浮かんできた、朝

出社すると、相次いで声をかけられた
それも他部署の方で、別段仕事の会話
というわけでもなく、久しぶりだねと

ただ話がしたくて声をかけてもらえた
ことが嬉しかった
特別なこと、ではないのかもしれない
何の気なしに、当たり前のことだから
私には余計に嬉しい、と感じる出来事

大袈裟だけれど生きているという実感
人の間に生きているという生身の感覚
じんわりと、涙が出そうにだってなる

大袈裟に見えても良いじゃないか
繊細だとか、感受性が、だなんて言う
つもりはないよ、だってまたあの人に
ネタにされて、揶揄されるだけだもの

揶揄する人みたいに常に自己アピール
することばかり考えてなんかいないよ

人と比べてどうだとか「普通」が何か
なんて割とどうでも良いことであって
嬉しいことがあったら、嬉しくて泣く
悲しいことがあったら、悲しくて泣く

私は、私が感じたことにいつも素直で
あれたら、それがまた嬉しいことなの

自分を良く見せるために書いていない
私は特別にはなれなかった
私は良い人にもなれなかった
この先どうなるかわからないけれどね

嬉しいことがあったら、書いて遺す
悲しいことがあったら、書いて遺す
そうして忘れてしまわぬようにしたい
そうして忘れてしまうことがあっても
こうして思い出せるようにしていたい

だって、これからも
私は、たくさんのことを忘れてゆくし
私は、たくさんの人に忘れられてゆく

珈琲を淹れに行ったら窓の外側が少し
赤くなり始めていた
離陸したての飛行機が、右上に飛んで
そして、旋回して遠くに消えていった
鳥のように人は毎日遠くに飛んでいく

いつか、どこかへ、私も飛んできえる

たんなるにっき(その99)



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