見出し画像

美談を求める人たち

少しずつ秋になってきた。
朝晩は風が涼しくなってきて嬉しい。
日中はまだ暑いから、気をつけたい。

最近は、リンパ節に転移した箇所の痛みがあって
痛み止めを飲んだり、
アロママッサージをしたりしている。

とにかく痛みがなくなって、
毎日を快適に過ごしたい。


今日、たまたまX(旧Twitter)で
作家の川上未映子さんがシェアしてくれていた記事を読んだ。
(24時間限定プレゼント機能)

とても共感したので、
ここに書いておこうと思った。

内容は文学紹介者の頭木弘樹さん(58)が、
20歳で難病の潰瘍(かいよう)性大腸炎を患ってから、気づいたことが書かれている。

「つらい経験だったけど、成長できてよかった」
「病気のおかげで、本当の幸福に気づいた」など

重い病気や大変な経験をした人たちは、
似たような「語り」をする傾向にあること。

背景にある、病人や個人に加わる“圧力”を指摘されている。

「病気のおかげで」は本当?「立ち直りの物語」を求める心理の正体:朝日新聞デジタル


私も、20代で急性前骨髄球性白血病、
40代で乳がん、二度のがんを経験して
何度も理不尽に思ったことがある。

家族、友人、同病者、職場関係者、医療従事者、
ネット社会から色んな言葉を向けられてきて
相手に悪気はないのかもしれないけど、
こちら側は傷ついてきた。

病気になっても世間からは
克服していく感動ストーリーを求められている。

明るく元気に前向きに、、、
病人らしくなく笑顔で頑張っていて偉いとか。

それができないとダメみたいな、無言の圧力。

でもがんになって、ショックで絶望したり、
過酷な治療から逃げたくなったり、
健康な人と比べてしまって落ち込んだり。

それが現実で、毎日普通に生きているだけで
本当にがんばっているのに。

さらに病気を克服して
何者かにならないといけないみたいな空気がしんどい。

がん患者として生きてきて
世間の空気はそんな風に感じた。


現実社会もそうだし、ネット社会でも
闘病の中で起こる本当の姿、
ネガな部分は嫌われていて、
病気でも明るくポジティブに頑張ってる人が応援されてるみたいな。

死にゆく時でさえ、
明るく穏やかにみんなに気遣ってる人が褒められてる感じとか。

そんな理想の姿を知らず知らずに病人に当てはめて、相手を追い込んでいる。

本当は、誰しも病気で辛いし
当たり前の感情なのに
泣きたい気持ちを押し殺してる。

自然に湧き上がる感情に
良い悪いなんてないのに。

世間は臭いものに蓋をして
綺麗なものを賞賛したいみたい。


注目されてる有名な人が、がんになると
野次馬みたく、沢山集まって応援して
身近にいる一般のがん患者には、
関わりたくないのか普通にスルー。

特に白血病のセカチューブームの時とか
映画の美談ストーリーに群がる人たちと
現実のギャップに驚いた。

2人に1人ががんになる時代。

身の回りには、がんや病気の人はたくさんいるのに、
世間は美談のストーリーしか見たくないのかなと思った。


頑張り続ける闘病しか受け入れられない世の中だから、多くの人は一人静かに耐えている。

私も母親に有名な人や、
同病だった妹と比べられて嫌だった。

誰々さんは、がんで抗がん剤治療しながらも仕事していて、育児もしていて偉い、とか。

妹は、同じ抗がん剤治療で
副作用があっても頑張っていて
何であなたはできないの?!とか。

悔しすぎて、私は私なりに頑張ってるから、人と比べないで!と母に訴えた。

何でがんになってまで、
頑張らないといけない風潮になってるの?

がんになるくらい、今まで頑張りすぎてきて、身体が悲鳴あげて、
ゆっくり向き合って休むだけでも全然いい。

がんになって、普通に生きるだけでも心身共にめっちゃダメージあるし、すごく頑張ってるよ。

特に自分が経験したことない人は、
簡単に他人と比べて、
あの人はこうだからって、
無意識に頑張ることを強制してくる。

ありのまま生きていてはダメなの?

人にはもっと頑張れって無言の圧力かけるけど、じゃあ自分はどうなの?って思う。

頑張りすぎて病になった人に、
さらに病気やがんになっても乗り越えて、
仕事や育児と活躍して、
容姿も綺麗さを保って、
何者かになって世の中に貢献してって
理想を押し付けられて。。


病人に対して、なぜか上から目線。

こうしたらいいとか、どうしたらいいとか。もっとこうしたらいいんじゃないとか。

健康な人が偉くて、病気の人は下に見られるの?


病気になって、気持ちが落ち込むのはごく自然のこと。

大切な人を亡くして、落ち込むことも
大切なプロセス。

心身が回復していく過程は、人それぞれだし、
落ち込んだり哀しむことさえ、
ありのままの気持ちを出すのを許してくれない世の中の厳しさ。

ポジティブ信仰、美談至上主義に疲れる。

知らず知らずのうちに、
理想を押し付けて誰かを傷つけていること。

私も気をつけていきたい。

病に苦しむ人たちが、
これ以上傷つかないように願っている。

天使の愛に包まれて
痛みのない
優しい世の中になりますように

暗闇の中に光の花束を

読んでいただき、ありがとうございます🍀 サポート励みになります。