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日本人がなぜ英語ができないのか、本気で考えてみた

私の大学時代の一番の興味は、”どうやったら英語が話せるようになるか”ということです。その謎を追求するべく、第二言語習得論を学べる、かつ英語教員免許が取得できる大学に入学しました。

4年間本気で、この一つの問いの答えを探し続けました。毎日英語を勉強し、暇な時間は英語学習法についての本を読みました。大学3回生からは、言語学・第二言語習得のゼミに入り、言語の研究や分析をしました。その結果、すごく納得しました。なぜ、日本人にとって、英語を話すことがこんなにも難しいのか。

今回は、4年間の追求の末に、明らかになったことをまとめていきます。


1, 言語間の距離


簡単に言うと、日本語と英語がどのくらい違うか、ということです。この言葉は、『外国語学習の科学』(2008:2)で用いられている専門用語です。言語間の距離が近い=似た部分がたくさんある=習得しやすいです(正の転移)ということになります。

みなさんが一番最初に思いつく理由かなと思います。日本語と英語が違いすぎるから、習得が難しいということです。研究によると、英語母語話者が日本語を習得するのには、他のどの言語を学ぶよりも時間が多くかかるそうです。

日本語と英語は、面白いくらいに正反対ですよね。文字も語順も音の数も、何もかも。だからこそ、習得が難しいのです。韓国語と日本語はかなり似ています。だから、比較的習得が簡単と言われています。


2, 地理的影響


日本ってみなさんご存知の通り、島国です。日本に住んでいれば、日本人ばっかだし、英語を使う機会なんて、ほぼないです。ヨーロッパの人とかは、英語が話せないと日常生活に支障をきたします。生活に必要なんです。でも、幸いなことなのか、日本って先進的なので、英語を使わなくてもなんとかやっていけます。

難しい上に、日常生活で使わないんですから、当然モチベーションにも影響しますよね。大学生の頃、塾講師していたんですが、生徒はほとんどこれでしたよ。「日本で、英語使わんのに、なんで勉強せないかんの?」


3, 文化的影響


日本人って、注目浴びるのとか、恥かくのって好きじゃないですよね。授業で、英語をめっちゃ綺麗に発音してる人いたら、海外かぶれとか、かっこつけてるとか、言いますよね。しかも、話した英語が間違ってたら、バカにしますよね。

言語学習なんて、話してなんぼやのに、みんな英語を話したくなくなる環境ができているわけです。

日本人ってすごいジャッジメンタルなんです。そして、自分と違うものを排除しようと無意識的にしてしまう。これ、日本人が生きづらいと感じる理由にも繋がってくると思います。


4, 教育的問題


私は英語教職過程も履修しました。日本人って、小学生から英語を勉強し続けて、大学まで10年間も必修で勉強するのに、英語が全然話せないなんて、教育に問題しかないですよね。

よく言われる理由です。日本の英語教育は、文法ばっかりやって、話す練習をしません。難しい単語や文法だけ解きまくって、終わり。使うための英語じゃなくて、受験英語でしかないのです。

大学側が、スピーキングなどの入試を課せばいいのに、一向に状況は変わらず、一生重箱の隅をつつくような文法問題ばっかりです。でもこれには、教育の深い闇がありました。

もし、大学入試にスピーキングを課せば、採点にめっちゃ時間がかかるのと、採点する人によって、評価基準が曖昧になってしまいます。これは、公平性という観点では、最悪です。だから、○か✗で機械的に判断できる文法問題だらけな訳です。一人ひとりに面接する時間なんてあげられませんからね。

もうひとつは、教員が多忙すぎて、授業準備に時間をかけられないことも関係しています。毎日違うクラスの授業、授業、授業、評定をつけるためにテストも作らないとだし、宿題は出さないといけないし、その採点もしないといけないし、校務分掌といって、生徒の指導や書類関係などなど、授業以外のことも教員はしています。放課後も土日は、部活の顧問しています。必然的に、授業の準備時間は短くなり、決まった流れで、授業を機械的にこなして、終わりです。


【結論】


そもそも英語が難しいのに加えて、英語が必要のない日本で、英語が上手に話したらバカにされる環境で、どうやったら英語が話せるようになるのでしょうか。

難しい英単語ばっかりたくさん覚えて、「タバコの吸い殻」「燃えないゴミ」とか本当に日常で使うような英単語は知らない。

本当に、バカなお勉強をしてきたと、ハッとしました。英語が話せるようになりたいのなら、当たり前のことですが、実用的な英単語を覚えて、話す練習をしないといけません。

※ 日本の英語教育を全否定している訳ではありません。日本人は文法に強いですし、英語を読むことに関しては教育のおかげもあって強いです。ただ、「英語を話す」ということに焦点をあてた場合には、日本の文法重視の授業・テスト・入試は厳しいのではないかと思います。


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