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写真の部屋

人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。
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#カメラ

まず買うべき撮影機材:写真の部屋

明日から北海道ロケ。事前のロケハンができないので撮影前日に軽く下見をします。なぜかわからないのですが外国に行くよりも日本の地方のほうが緊張します。そもそも別の国だと想像がつかないことが多く、フレキシブルに対応するしかないからかもしれません。理解が深い場所ほど微差が気になりやすいということでしょうか。 ロケハンで場所のイメージを掴んだら、使うレンズやカメラが決まります。これくらいのアングルなら何ミリのレンズが必要だなとわかるのですが、ロケハンなしの場合は余裕を見て機材を準備し

ノルウェー軍の寝袋:写真の部屋

写真を撮る行為にはいくつもの段階があります。まずカメラかスマホでその辺にあるモノを撮ります。カプチーノとか鉢植えとか猫とか犬とか。これが第一段階。いくら撮っても文句を言われない存在に目が向きます。 「写真を撮ること」に興味が出てくると、いいカメラやレンズを手に入れようとします。しかし何が何だかわからないのでカメラ機材のことをネットで検索したり、本を買って勉強します。『写真の部屋』を定期購読してくれている人たちはすでにご存じだと思いますが、ここに第一の分岐点があります。 機

著作権などについて:写真の部屋

noteにアップされた「写真投稿アプリ」についての投稿を読みました。自分の写真にカメラメーカーのロゴなどをつけてアップするアプリだそうですが、それが無断の商標使用になるのかどうか、についてです。 私は最初に言っておくと「自分が撮る写真とカメラには何も関係がない」というスタンスを取っています。たとえば撮影に行く際、用途と特性が違うSONYのカメラとHASSELBLADを持って行く場合もあり、最終的にどちらかの写真を選んで使うようなことがあります。そのときに「私はSONYで撮っ

変化しないものだけを:写真の部屋

私は毎日呆れるほど写真を撮っていますが、撮っていない時期が20年くらいありました。高校生の時はモノクロのプリントを毎日徹夜でやっていましたがデザインの仕事を始めてからは一切撮らなくなりました。勤めていた会社には写真部があって多くのフォトグラファーが在籍していましたし、外部の優秀な写真家に撮ってもらうこともありました。そんな環境にいて自分で写真を撮る気になどなりません。篠山紀信さん、坂田栄一郎さんたちがずっと上の先輩で、同時期の職場にはホンマタカシさんがいました。 なんでも野

撮影機材選び:写真の部屋

火曜日から台北に行くんですが、毎回悩むのが仕事以外で行くときのカメラとレンズ選びです。仕事は撮るものが決まっていて目的があるので悩まないのに比べて、遊びで行くときはかなり悩みます。「こんな状況があるかもしれない」と多めに機材をチョイスするんですが、大量のレンズを見て「何やってんだろ。仕事じゃないんだから」と冷静になって一気に減らすことになります。 同じことを何十回しているんでしょうか。学ばないものですね。 ここでシミュレーションが始まります。街を散歩してスナップを撮るはず

ズレていないか:写真の部屋

『カメラは、撮る人を写しているんだ。』でも書きましたが、三分割構図などに代表されるような構図のセオリーを学ぶことに意味はあるのか、というお話です。 カメラの型番を知るのが大好きな人のために書いておくと、これはLeicaのMonochromeで撮っています。自分にとってはこれを撮ったのがiPhoneであろうとどうでもいいのですが。さて、この凡庸な構図のカットの次にもう一枚撮りました。その写真を見てどう感じるでしょうか。

仕事以外のカメラ:写真の部屋

カメラ屋さんに行くと、つい何かを買ってしまいます。すでにたくさんカメラはあるのですが「あ、これは便利そう」などと理由をつけて。 写真を撮る行為にはいくつかの段階があり、その最初に「世界のスキャン機材」としてのカメラ選びがあります。撮影する内容に適した機材の選択です。普通のカメラであれば撮れないシチュエーションはほとんどないと言ってもいいのですが、仕事になると失敗したでは済まされませんから最適な道具を持っている必要があるわけです。これは簡単で、水中なら水中カメラしか使えません

カメラは水平に:写真の部屋

本の中で、差別についての話を書きました。写しているものに憧れたり蔑んだりしないという意味で、撮るときにカメラを水平に構えることの大事さ。 ある写真家が外国に撮影に行った印象を「汚い街だった」と表現しているのを見たことがあり、とても残念な気分になりました。誰かが住んでいる街のことを外から来た人が綺麗だとか汚いと感じることの意味とは。こうして考えてみると実は「綺麗だ」と感じるときにも差別は生まれていることになります。 カメラは撮っている人のことを写している、というのが今回

45km/hのピッチャー:写真の部屋(無料記事)

この本は、スマホでInstagramを始めた25歳のカズトが、ロバートと名乗る写真家のおっさんに出会い、「写真とは何か」という大きな問題の周囲をウロウロしながら成長していく物語です。 写真を撮ることはスマホかデジカメさえあれば誰にでもできます。そして、誰でもできるからこそ起こるできごとに焦点を当てています。私たちはなぜ「できることと仕事にすること」を混同してしまうのでしょうか。主婦は毎日家族の食事を作っています。私も子どもの頃にずっと母親にご飯を作ってもらっていました。尊い

カメラを買う話:写真の部屋

本の中で、主人公が生まれて初めてのカメラを買いに行くシーンがあります。どうやってカメラを選べばいいのかを教えてもらうのですが、そこで「プロフェッショナルは普通、カメラを二台買う」という話をしています。 具体的に言うと私が最近メインで使っているのは SONY なのですが、新しい機種が出ると次々に買い換えています。α7 から始まり、8機種くらいでしょうか。カメラは仕事によって使い分けるので、Hasselblad も併用していますが、私の場合、Leica でできるような仕事はない

この本ができるまで

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2割のズレ:写真の部屋(無料記事)

誰もが常識だと思っていることには、2割のズレがあると思っています。私がネットで見ていて苦手なのは「普通、あり得ないだろ」のようなコメントで、あなたが思っている普通だけが真理ではないと思ってしまいます。普通や常識は『正解』のような印象を与えますが、そんなものはどこにもなく、気の合う人でさえ、8割の共通認識で生きているだけです。 性格の不一致、などと言いますが、完全に一致する人などいるはずもありません。生まれてからずっと一緒にいる蕎麦屋の家族の中でさえ十割の一致はあり得ないので

さあ、11月まであと一ヶ月:写真の部屋

10月1日。秋ですね。秋は「食欲の芸術」と言われますから、美味しいものを食べて、たくさん写真を撮りましょう。 私はときどき、取り立てて買うべきものもないのに新宿や銀座のカメラ屋さんに行きます。「何か、いい魚は入ってる?」と料理人が市場をのぞくような感覚です。今のところ特に必要なものは何もありません。カメラもレンズもこちらが売れるほどありますからね。しかしついつい行ってしまいます。 今はネットに色々なことが書かれていますから情報収集だけなら別に行かなくてもいいのですが、行く

使っているカメラ:写真の部屋(無料記事)

最近、仕事で使うカメラはほとんどSONYのα1ですが、仕事以外のときもこれを持ち歩いているので他のカメラはあまり出番がありません。今まで日常的に持ち歩くのはα9IIが便利だったのですが、α1の場合、クロップが使える便利さがあるのでどうしてもこっちになってしまいます。それでα7R5を先日買ってみたのですが、この二台と比較するとあまりにもローリングシャッターの歪みが大きく、オールマイティには使いにくいなと感じています。 というわけで、α1以外の、α9II、α7R4、α7R5が放