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停滞しないスポーツ科学:Anizine

ここ最近、ちょっとムリ目にスケジュールを詰め込んでいる。もうそんな年齢ではないのだが、何より『停滞』が恐ろしい。自分の貧しい経験をまるで「世界の真理を見てきた」ように語る人を見ると、サブイボと鳥肌が交互に立つのだ。

アメリカのスポーツ医学の記事で、アスリートは27歳にピークを持っていくのがいい、というのを読んだことがある。目から瓦が落ちたような気がした。日本のスポーツは野球を見ればわかるようにとにかく早く完成形を作ろうとする。私が鼻を垂らしたガキだった頃(比喩)、地元にはリトルリーグのチームがあり、優秀な選手はそこに在籍していた。こっちは草野球をしていたのに、彼らは将来を見据えて練習をしていたのだ。リトルリーグのチーム内セレクションに漏れた友人は高校の野球部にも入らず、自分には才能がないのだ、と野球をやめていた。

メジャーリーグには大学時代にアメフトや陸上を同時にやっていた選手が多く、ディオン・サンダースやボー・ジャクソンのように、アメフトと野球、両方のプロであるマルチアスリートもいた。カール・ルイスが学生時代に負けた選手がアメフトに行ったという話さえある。高校野球ですでに完成され切っている日本の根性優先促成栽培野球少年はアメリカの高校生に難なく勝つのだが、そこから年齢を追うごとに歯が立たなくなる。それがピークを27歳に持っていく、カラダができあがるまではどのジャンルに進むかの猶予がある、というアメリカのスポーツ科学なのだろう。

という話を踏まえた上で、自分の日常を振り返ってみる。

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Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。