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デザイン、装飾の排除:PDLB

昔、トレンドセッターという職業の名前が流行ったことがありました。今思えば、先細って消えていく自らの職業トレンド予測も不可能だったというパラドクスを証明したわけですが、そんな笑い事では済まされません。「一生をかけて責任を負わない人のアドバイス」は無視するべきだと私は考えています。ある街があって、そこは昔栄えていたのですが現在は停滞しているとします。停滞とは何を示すかと言えば多くの場合は「経済」です。

そうなると、外部から呼んで来た人間が「もっと経済を上向かせよう」と立ち回ることになります。これは街を相手にした経営コンサルタントのような仕事で、過去のトレンドセッターのあり方にも似ています。ゆるキャラを作りましょう、海外の人気ショップを呼びましょう、テーマパークに学びましょう、などと安易なことを言うかもしれません。ここで大事なことは、その方策のすべてが借り物だということです。何かをゼロからオートクチュールで作るにはとても労力が必要ですが、こうした場合の施策のほとんどがどこかで流行った成功例の使い回しでしょう。


そして表面的にはパターンオーダー程度に独自なコンセプトワードをつけておきます。成功したときに「自分が考えた」というスタンプを残しておきたいという自己顕示欲からです。では、もしその街がどうにもこうにも上手くいかないときはどうしましょう。答えは簡単です。なかったことにして別の街の仕事をすればいいのです。最初に「経済の停滞」とわざわざ書いたのは、経済の停滞は、街が停滞していることと完全なイコールではないからです。「すべての発展は経済にある」という商工会議所的な考え方では理解不能でしょうが、それがわからない人にトレンドをセットさせると世の中全部が同じような不幸を背負うことになりかねません。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。