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空気の立方体:Anizine

前回の『ロバート・ツルッパゲとの対話』は27の断片からできている。どの項目にも関連はなく、共通点があるとすればその目次の中身を書いたのは俺だということくらいだ。長い無駄話をしているように話はあっちに飛びこっちに戻り、最終的には「いい時間つぶしだったけど、何の話をしたかは憶えていないね」という感じの本。

本当は順を追って丁寧に整合性を取ることもできた。でもそうしなかったのは「対話」にしたかったからだ。友だちと深夜のファミレスで起承転結の整った話をするヤツはいない。そんなヤツがいたら気持ち悪くて友だちにはしない。思考はつねに飛び、踊り、戻ってきて、また飛んでいくものなのだ。

その滑空範囲というか、空気の立方体のようなものさえ伝わればいいと思った。それができたから次に書いているのはもう少しまとめていこうと思っている。混沌や乱雑さに引っかかって気を取られず、美しい掌編を数十編ほど読んだような感覚を味わって欲しい。

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前回も書いている途中経過を何度か説明して公開した。あれだけ読んでもどんな本になるかは誰にも想像がつかなかったと思うけど、俺にもわからなかった。二度目というのは一度目じゃないから同じことをしても仕方がないし、まず俺が飽きる。会ったこともないたくさんの人が本の感想をくれた。それを読ませてもらうと、もしかしたら読者に気をつかいすぎていたかなと反省したところがある。みんな自分の生き方に照らし合わせて、俺よりもよほど深く何かを考えてくれていたのがわかったからだ。

だから次は小説のような、風景画のような、詩のような、2020年を生きている我々が、今しか感じ取れない空気の立方体を描こうと思う。

俺が作るモノには全部、同じ理想がある。それは「小学生が面白いと言い、専門の学者も面白いと言ってくれること」だ。複雑なことをきわめて単純に言ってみたり、単純さを隠れ蓑にしてものすごく複雑なことを語っていたり。岡本太郎の彫刻のようにそれがカードの裏表のように見えていたら最高だ。

タイトル案の候補は3つあるので、ご報告。

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605字

Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。