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【銀英伝】アレックス・キャゼルヌを描いてみた

こんにちは安良です。久しぶりに銀英伝の記事を書きます☆彡
今回は同盟軍きっての内政担当、アレックス・キャゼルヌです!

キャゼルヌと言えば兵站! 兵站とは戦争という舞台を支える裏方さんです。予算配分からお弁当の手配まで、大小さまざまな仕事があってなかなか大変なのですが、小説の中ではあまり日が当たりません。ですので今回はそうした後方担当の分野を覗いていきたいと思います。


※この記事は、『銀河英雄伝説』を紹介する中でたくさんのネタバレが含まれます。主観やオリジナル要素も多いので、お気をつけください。


◆アレックス・キャゼルヌ

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キャゼルヌは後方勤務のベテランです。前線を支える兵站構築を得意としています。

彼の仕事はまず、司令官(主にヤン)から示される作戦案に目を通す事から始まります。後輩のヤンは作戦指揮が得意な一方、デスクワークが苦手です。作戦を立てるのに頭がいっぱいで、軍需物資の計算まで手が回りません。そこでキャゼルヌは作戦案を読み込み、概算を理路整然と見積もっていきます。

戦前の準備と手配、戦中の補給線維持、戦後の事態収拾、平時の軍内行政……
キャゼルヌ先輩に任せておけば後方が滞ることはない、とヤンは信頼してやみません。だから私は、背中を預けられる安心感と、兵站構築を一任できる度量をイメージしました。

すごい紳士、と思うのですが、時にキャゼルヌは悪魔めいた企みごとも図ります。例えば……

①家事の苦手なヤンに戦争孤児のユリアンを紹介し、だらしない生活全般を監督させる。
②女っ気のないヤンに、副官として上官の娘を送り込み、最低限の社会性を教育させる。

キャゼルヌは後輩司令官の指揮能力以外を疑問視していて、よく毒舌を用いて諌めます。大抵は不平が返ってきますが、珍しくヤンの甘えに聞こえるほどです。ヤン・ファミリーにとってキャゼルヌは、存在感の揺るぎない女房役のようなイメージがあります。

ただそんな彼も、奥さんとの口げんかには負けてしまいます。ひょっとしたらそれは、家庭の後方を担う奥方への敬意なのかも知れません。


◆キャゼルヌの立ち絵と兵站についての図

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兵站の仕組みを図にしました。補給線担当をアッテンボローにしたんですが、果たして大丈夫かしら (A´∇`;)
そんな各担当のやりとりを思い浮かべつつ、ちょっと妄想してみました。

銀英伝二次創作SS 『獲らぬ狸の皮算用』

 イゼルローン要塞の士官クラブにて、二人の同盟軍将官がテーブルを囲んでいる。ブランデーグラスを傾ける要塞防御指揮官シェーンコップは、次の戦いの人事について不安を覚えていた。彼はテーブルに置かれた編制表を指でつつきながらヤンに尋ねる。
「ヤン提督、補給線の人事を間違えたのではありませんかな」
「いや、あれでアッテンボローは逃げるのが得意だからね。うまくやるだろうさ」
 確信を持った口調でヤンがはっきり答えたので、シェーンコップは軽い驚きとともに腕を組んだ。
「ふむ……。今までよく分からなかったが、きっとこれですな」
「ん? なんの話だい」
「私があなたを評価する理由ですよ。適材適所であとは一任」
「なに、私は面倒くさがりなんでね。決めた事をひっくり返したくないだけさ」
 頭をかく司令官をよそに、シェーンコップは笑みを浮かべた。
「面倒くさがり、ですか。それでは恰好がつかないので、奥ゆかしいと評しておきましょう」
「実際、配置は入念にするよ。さもないと怒らせたくない人を怒らせる事になるんだ」

 ヤンがそう言うと、シェーンコップは視線を外し、カウンターの方を覗き見た。キャゼルヌとアッテンボローが背中を並べてなにやら話し込んでいる。照明の加減か、二人の横顔には狡猾な色がうかがえた。

 連中は戦いに勝つ前から、またぞろ戦勝パーティでも企んでいるのだろう。兵站線担当ならではのアイディアをアッテンボローが出し、実行のためにキャゼルヌが知恵を貸しているに違いない。実際のところ前線は士気が命だけに、現場としてはありがたい。

───そういう一癖も二癖もある人材を、我らが司令官はうまく使っている。

 視線を戻すと、ヤンはブランデーをおかわりしようかどうか迷っている様子だった。平時はまことに頼りなく見える。
 しかしそれだけに、できる後方は抱え込んでおくに限るということだ。
 シェーンコップはグラスを掲げると、不敗の魔術師を讃えた。

(ende)

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ヤン提督いわく補給線担当はアッテンボローで良かったみたいですっ
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


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※この記事は、田中芳樹さんの作品の版権管理会社「らいとすたっふ」の二次利用規約に則した創作をしています。規約をよく読んで、大丈夫だと思う表現をしたのですが、もしお気づきの点があればフィードバックしていただけると幸いです。


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