第4回 リャンメン・ツモ和了りの確率は?

今回は、シンプルなリャンメン・ツモ和了りの確率をていねいに説明していきます。

基本となる考え方は、とつげき東北(2004)の57ページから62ページにかけて記されている「ある牌をツモる確率」を表してみる」です。
定式化としては、同書の節のタイトルにあるように「ある牌をツモる確率」と考えてもよいのですが、わかりやすく平和両面待ちをツモ和了する確率を考えてみましょう。
なお、両面ツモ和了り確率は土井(2014)の冒頭(8~9ページ)でも説明されています。

ダブリー・ピンフ・リャンメン待ちを和了れる確率は?


以下ではポン・チー・カンによるツモのずれはないとします。

今、東1局がスタートしたところだとしましょう。
配牌と第1ツモを取ったらこんな手だったとします。


ダブリー・ピンフのチャンス手です。
他家は完全にベタオリし、他家による放銃も和了もないという仮定の下で、ツモ和了りができる確率はどのくらいでしょうか。ツモはあと17回あります。

この時点で自分からは、ドラ表示で1枚、自分の配牌で13枚、自分の第1ツモで一枚の合計15枚が見えています。
麻雀牌は全部で136(=34×4)枚ありますから、自分から見えていない牌は136‐15=121枚あります。この121枚の中に、自分の和了り牌である1・4萬が8枚入っています。


くじによる単純化

ここで、いったん麻雀から離れて、この状況をくじで単純化して表してみましょう。1~121の番号が振られたカードがあるとしましょう。1~8が当たりのカードで、9~121がハズレのカードだとします。

一度引いたカードは元に戻さずに17回連続でカードを引いて、(17枚一度に引いても同じことです)、少なくとも一枚当たりのカードを引く確率を考えてみましょう。

1枚目のカードは121通りあります。一枚目のカードが例えば1だとしたら、1のカードはもうないので2枚目のカードは2~121のどれかになります。二枚目のカードが例えば2だとしたら、同じ理屈で3枚目のカードは3~121のどれかになります。

このように考えていくと、121枚から17枚のカードを取り出すときの並べ方は
121×120×119×・・・×105
となります。ところで17枚のカードを引くということを考えたときに、1枚目が何で2枚目が何かというような順序を区別は必要ありません。その分を調整するために17!で割ってあげます。「!」は階乗という記号です。

「!」とは、簡単な例を示せば、3!=1×2×3=6、4!=1×2×3×4=24・・・という意味です。従って、121枚から17枚のカードを選んでできる組み合わせは
121×120×119×・・・×105/17!
となります。


組み合わせ

一般に、異なるn個から異なるr個を選んでできる組み合わせの個数はn(n-1)(n-2)⋯(n-r+1)/r!となります。これを表す記号は

といくつかあるわけですが、noteでは数学記号を使えないという制約のため、以下ではC(n,r)を使うことにします。ここで、Cというのは組み合わせCombinationの頭文字で、「異なる121個から異なる17個を選んでできる組み合わせの個数」を表す記号です。


C(n,r)に上述の数字を入れると、C(121,17)となります。ここで、注意しなければならないことは、当たりとは17枚の中に少なくとも1枚(従って2枚以上でもよい)当たりのカードが入っていればよいということです。


そこで、直接、当たりのカードが17枚の中に入っている確率を求めるのはスジが悪くて、まず17枚の中に当たりのカードが1枚も入っていない確率を求めます。ハズレのカードは113枚あるので、異なる113枚から異なる17枚を選んでできる組み合わせの個数はC(113,17)となります。結局、17枚の中に1枚も当たりが入っていない確率はC(113,17)/C(121,17)です。残りのケースは少なくとも1枚当たりのカードが入っているわけで、その確率は1-C(113,17)/C(121,17)となります。
これを計算すると、0.714となります。

冒頭の問題に戻って、親のダブリー・ピンフがツモ和了りできる確率は、71.4%というわけです。


あとがき:
前回からすでに1か月。マイクロソフトのAIが麻雀に参入してくるのがニュースになっているのに、なんちゅーか、牛歩過ぎですね。

この回は、すごい時間がかかっちゃいました。今回の内容はオリジナリティはほとんどありませんが、組み合わせC(n,r)を正確に説明しようとして手間取りました。
わからない人はグーグル先生に聞いてねって流せばよかったですw

参考文献
とつげき東北(2004)『科学する麻雀』講談社現代新書。
土井泰昭(2014)『最強!確率論で勝つ麻雀』マイナビ。


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