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ロングライドにおける補給について ~PBP2023の反省をそえて~

こんばんは、自称脚質ロングライダーのAnnaです!

まだまだ残暑が厳しい日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
私はといえば未だにフランスの帰りに拾った風邪を引きずっております。
しかも、いつも一緒に練習している仲間は、私がフランスでうつつを抜かしている間にもメキメキ強くなり、ますます置いて行かれるように…
ぐぬぬ…

ポジティブに捉えれば、この期間で自然と11月のツールド沖縄までに達成したかった体重まで、あと少しのところまで来れたので、苦しい減量をしなくて済むのは嬉しいことです。

さて、今回からはPBPの全体を通してうまく行ったことと反省、そしてそれに対する対策をまとめたいと思います。
なるべくロングライドやブルベ全体に活かせることと、PBP特有の反省点のどちらのことを言っているのかわかりやすいように書きたいと思っているので、何かのお役に立てば幸いです。

相変わらず書き始めたら止まらなくなってしまったので、今回は補給に関して書きたいと思います。

PBPの記事一覧はこちら↓


代謝から見た補給の考え方

結果から言うと、今回のPBPの補給は満点ではありませんでした。
450から800km地点くらいまではいつの間にか陥っていたカロリー不足によってあまり踏めず、お尻が痛くなってしまう結果となりました。

では、どれくらいの補給を取ればよかったのでしょうか?

まずは運動をしている時の体の代謝についてざっと説明します。

運動をしているとき、我々の体は主にすぐにアクセスできるグリコーゲンと、ゆっくりしか使えない体脂肪の2つを使って動いています。
そのほかにもグリコーゲンが足りない場合に、筋肉を分解してエネルギーとして使うことがあります。

それぞれどれくらい使えるのかというと、十分に食事を摂取している人であれば、1600kcalくらいのグリコーゲンを肝臓と筋組織に溜め込んでおり、約7.2kcal×(体脂肪)gのカロリー(私の場合は6万キロカロリー以上!)を体脂肪として溜め込んでいます。

少しはぁはぁする程度の運動までであれば、グリコーゲンと脂肪、それぞれのエネルギー源を半分ずつ使っていると考えられます。
強度が上がると糖質に依存する割合は大きくなります。
体脂肪や筋肉はエネルギーに変換するのに時間がかかるため、約7.2kcal×(体脂肪)gのカロリーがあっても我々は運動中に全ては使えません。

よって、運動中はすぐに出し入れできる糖質に重きを置いた補給をすることが基本となります。
特にレース中など、激しい運動をしている時は素早く吸収されて、素早くエネルギーに変換できる糖質を摂取することが望ましいです。
糖質の中でも、単糖類(ブドウ糖や果糖など)と二糖類(ショ糖:砂糖など)、多糖類(デンプンやグルコースなど)、炭水化物(糖質と食物繊維の両方が含まれるもの)はそれぞれ吸収速度が違うので組み合わせて摂取することがおすすめです。
より詳しく知りたい方は記事の下部に参考になるリンクを貼っておきます。

ではロングライド中はと言うと、少しはぁはぁする強度までに止まることが多いので、もう少し吸収がゆっくりな栄養素も摂取する時間的余裕があり、長く走る上でゆっくり吸収される栄養も必要となってきます。
運動のためのエネルギー補給の点だけからみると単糖類だけを摂取しておけば動き続けられますが、特に複数日にライドが及ぶ場合、健康な体を維持すると言う観点から、炭水化物、タンパク質、脂質、微量栄養素をバランス良く摂取することが最終的にはパフォーマンスの向上につながります。
例えば、脂質が足りなくなると唇はパサつき、指先はささくれます。食物繊維が足りなくなると便秘になってしまいます。ビタミン不足は代謝が上手くできなくなる原因となりえます。

軽くまとめると、ロングライドの場合、最低限、運動消費カロリーと安静時消費カロリーの合計の半分を摂取することが望ましいです。
胃腸が丈夫な人であれば、消費カロリー分全部食べても全く問題ないですし、より良いパフォーマンスを発揮できるでしょう。

消費カロリーの目安

ではどれくらい摂取すべきかわかったところで、次に自分がライド中どれくらい消費しているかを把握しなければなりません。

一番正確なのはパワーメーターをサイコンに接続して表示される消費カロリー、もしくは仕事量(kj)を見ることです。
仕事量+安静時消費カロリー=消費カロリーです。

参考までに体重が45~50kgを彷徨っている私の場合、
平均29km/hで走った時、100kmくらいで1640kcalくらい消費していました(1436kj+安静時消費カロリー204kcal)
平均23km/hで440km走った時、全部で4799kcak消費していました(3741kj+安静時消費カロリー1058kcal)100kmあたりで計算すると1090kcal消費していました。
上記のように、これまでのデータから、大体100kmあたり1100~1700kcalくらい消費していたことがわかります。
とても幅がありますね。
自分のペースに応じて、どれくらい消費しているのか把握しておいて損はないと思います。

心拍数だけ、もしくはパワメも心拍計も繋いでいない場合、サイコンに表示される消費カロリーはあまり正確ではありませんが、それでも少しは参考になるでしょう。

最後に、感覚で判断する場合は、お腹が空いたーと思う前に食べられる量を食べることです。
意外と人間の感覚は優れているもので、慣れてくれば細かく見たり計算しなくても必要な分を勝手に食べられます。
ただ、感覚頼りだと少し補給タイミングが遅れることが多いので、早め早めに補給することが大事です。
また、交感神経が優位になりすぎていたり、逆に眠すぎたりすると“感覚”が機能しないので、自分で事前にどれくらい食べるかシミュレーションしておくと良いと思います。

補給計画の立て方のまとめ

ライドにおける補給の基本は、お腹が空く前に、消費カロリーを補うくらいを、こまめに、糖質をメインに栄養バランスよく摂取することです。
どれくらい食べなければならないかはペースや体重によって異なるため、自分の消費目安を知っておく必要があります。
レースだったらジェルやドリンクを中心に補給して、足つり防止に適宜ミネラルも補給できると良いでしょう。栄養バランスは1日の全体を通して取ってください。レース中はそこまで気にする必要はありません。
ロングライドだったら脂質は取りすぎない範囲で、タンパク質も適宜取りつつ、糖質と炭水化物をメインに摂取しましょう。必要に応じてマルチビタミンサプリやマルチミネラルサプリ、アミノ酸系サプリなども活用できると安心です。

PBPでの補給の振り返り

さて、理論編はここまでにして、PBPでの私はどうだったのか…

PBPでの消費カロリー

私の場合、全行程で約18,000kcalほど消費したと思います。
・消費カロリー内訳
606kmの運動消費㌍:6576kcal+
325kmの運動消費㌍:4079kcal+
293kmの運動消費㌍:3657kcal
=1224kmの運動消費㌍:14,312kcal
+72時間49分の安静時消費㌍:約4200kcal
=合計約18,512kcal
ですが、まあとりあえず運動消費㌍分さえ食べておけばほとんど問題ないので、14312kcal必要と仮定します。
こうやって逆算していくと100kmあたり1174kcal摂取しなければなりません。

PBPでの摂取カロリー

実績を確認すると、
往路の606kmで摂取したカロリーは概算で3900kcalほど。次の325km区間ではおそらく3800kcalほど摂取し、293km区間ではおそらく1800kcalほど摂取しています。
合計9500kcalほど摂取していたと思われます。
100kmあたり776kcalの摂取です。

実績と予算の差

消費カロリーと比べると約9000kcal足りません。
元気に走り続けられる必要最低限の運動消費カロリーから見ると5000kcalほどの不足です。
実際、スタート前とゴール後の写真だと、明らかに分かるくらいほっそりしました…ゲッソリカモシレナイ

食事内容

前半は主にフランスパンサンドイッチ、後半からはパスタとツナライスサラダ、バナナ、オレンジジュース、ホットココア、羊羹を積極的に食べていました。他にもヨーグルトやアップルソース(りんごのすりおろしを煮詰めたもの)なども食べていました。
噛むのが疲れてきた後半は、せっかく買ったフランスパンサンドイッチもほとんど食べられることなくポケットに入りっぱなしでした。
一方で日本から持ってきた補給食(羊羹と黒糖わらび餅)は前半は食べたくなりませんでしたが、後半は持っていて良かったと思いました。

敗因

いつものブルベだと、大体消費≒摂取カロリー食べているのに、なぜ今回はこんなに差が大きくなってしまったのでしょう?

まずは、スタート前にたっっっっっくさん食べておいたことが挙げられます。
1600kcalしっかり貯めていただけでなく、胃のなかにまだ500kcalくらいあったと思います。
これによって2100kcalほど貯蓄があります。

次に暑さにやられてしまった影響が出ています。
服装の選択ミスにより、1日目のお昼過ぎからフランスパンを食べる気がなくなってしまい、十分に食べることができなくなってしまいました。
3日目に摂取カロリーが減ってしまっているのは、ペースが上がったことにより、熱がこもってしまい、これまた食べる気が失せてしまったためです。あとは最終日はゴールしたら好きなだけゆっくり食べられることがわかっていたので多少カロリー不足になっても問題なかったこともあります。

最後に、なんだかんだ慣れない食事が続いたことにより食指が動かなかった影響があります。
今までは、補給の理論をバッチリ頭に入れた上で、全部無視してロングライドくらいでは食べたくなったものをを好きな時に好きなだけ食べるスタイルで来ました。
え、じゃあなんで説明したのかって?
結局は脳筋だからです。

と言うのは半分冗談で、その時必要なものは体が一番わかっていると思っているからです。実際食べたものを全て記録したブルベでは、びっくりするくらい摂取≒消費カロリーになっていましたし、栄養バランスも結構取れていました。
しかし、いくらパンが好きでも、洋食が好きでも、今食べたいのは食べ慣れたそぼろご飯だったりするわけで…そうなると食べなくてもいいかな、となってしまいました。

今後の対策

慣れない気候や食事が続く場合は、初心に帰って食べたものを大体記録して、その場でどれくらい食べたかカロリーを計算しようと思います。
次のPBPはもっと上手く補給できるようになりたいです…!

まとめ

ロングライド中は炭水化物を中心に食べ過ぎなくらいしっかり食べてしっかり走り、ダイエットは走り終わってから考えましょう。
逆に食べられなくてハンガーノックになってしまう人は一度自分の消費カロリーと摂取カロリーを計算してみてはいかがでしょうか?意外と消費しているかも知れませんよ。
補給ペースが掴めたらサイコンでアラームを設定するのもいいと思います。

楽しい自転車ライフを送れることを祈っています!

参考


https://satomi-cl.jp/column/~食品を賢く選ぶ・糖質編②~

https://activike.com/2022/05/19/calories_ridetime_rideintensity/

https://funride.jp/serialization/cycling-science10/

https://open.spotify.com/episode/4Y12QO7TBiC3F9VRY6lxVV?si=WAzWkR6YQJ6_4mQMDihQRA


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