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《R4A》本当かな?と。意識を変えてみる。ゴルビーのグラスノスチ(情報公開)が強力な中公集権を壊したように

Read for Action(行動のための読書)。
今回ご紹介する本は、日本を代表する2人の科学者(武田邦彦氏と丸山茂徳氏)、更に、論客の田原総一朗のよる各科学者が「地球温暖化」の見方を伝える「「地球温暖化」論で日本人が殺される!」です。


■こんな方におすすめ

・地球環境に関心があり、いろいろな事例を知りたい人
・地球温暖化について、その概要を知りたい人
・多角的にもの事を考えたいと思っている人
・科学者の武田邦彦氏と丸山茂徳氏、そして、田原総一朗氏に興味がある人

この本は、

地球環境が世界的な大きなテーマになっている中で、私たちに
「みんな言ってるけど、一端立ち止まってみて。それは、本当に正しいと言える?」と、投げかけます。

日本の環境破壊がピークに達した1970年の日本人の消費総資源は16億トン。
そして、環境がよくなった2000年はの消費総資源数は21億トンです。
「節約」が環境を改善したように見えていましたが、実は、大量消費は更に拡大していたのです。

著者の1人である武田さんはこう伝えます。

この本で取り上げるテーマとその内容は、いずれも現代の日本社会で「常識」となっていることではない。でも、この複雑な問題は、新しい情報を得、新鮮な分析角度からの議論を経た後、さらにそれをジックリと時間をかけて考えなければならない問題である。

本書より

この書籍は、今から15年前の2008年の発行されました。その後、2020年に、日本政府は2050年までのカーボンニュートラルを宣言。温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする政策が急ピッチで進んでいます。この現状を比較しながら読むのも、面白いと思います。

1. 日本人が殺される理由は

”「地球温暖化」論で日本人が殺される!”、この衝撃的な題名に書かれた
日本人が殺される理由。それは、「みんな言ってるけど、一端立ち止まってみて。それは、本当に正しいと言える?」と、自問しない事にあると3人は指摘します。
序文のなかで田原さんは、”世の中がある方向に一斉に流れる現象はきわめて危険なものと考える”と強く伝えます。それは、小5の敗戦の経験からの思考でした。敗れたとたんに理念や主義が一変した世界。田原さんは、情報を正しく捉え、判断できない事がいかに危ういかを実感しながら多感な時代を経験したおひとりです。

2.石油がなくなると騒がれる中、世界で唯一省エネ技術でのりきった日本

世界に衝撃を与えたローマクラブ著『成長の限界』

 1970年代に世界で2度オイルショックが起こりました。1973年の中東戦争が機の第1次オイルショック、そして、1978年のイラン革命が機の第2次オイルショックです。このオイルショック直前の1972年に『成長の限界』という本がローマクラブという団体により出版されました。この団体は、世界の学者、科学者、有識者を集めて設立されたもので、日本版の監訳者が外務大臣も務めた大来 左武郎(おおきた さぶろう)氏だった事からも世界的に注目されていた事が伺えます。更に、序文は、国連事務総長を務めたウ・タント氏により書かれています。
 
 内容は、人口については100年以内に地球の成長は限界に達するや、天然資源についても、枯渇する年数にも言及しています。この内容は世界に衝撃を与え、これにより「成長が終る」という考えが広がりました。
 そして、この出版の翌年に起こったのが、第1次オイルショックです。当然、世界の国々には、石油が無くなるという不安が広がりました。この時、諸外国と対照的な対応をしたのが日本でした。
 石油が無くなる事への不安から多くの国が「縮小再生産」に切り替える中、日本は「石油が無くなるのではなく、価格が上がる」と考えて、「拡大再生産」に向かったのです。 「拡大再生産」とは、省エネルギー化という技術革新と合理化でした。
 この省エネで切り抜けたのは、世界で日本だけでした。以降、日本は省エネの非常に高い技術を維持しています。

日本は、時代の知能が示した予測を技術革新で切り抜けたのでした。

3.スパコン神話 VS AIに懐疑的な私たち

 今、生成AIがブームになっています。民主化したAIに対し、私たちは”計算は苦手だけど、文章がまぁよく出来ている”など、健全な懐疑的な見方を持って接しています。その理由は、AIがよちよち歩きの頃から知っている事や、多くのヒトが普通に使っていること、つまりAIが民主化している点にあると考えます。
 一方、IPCCなどスーパーコンピューターが導き出した予測については、”そうかもしれない。・・いや、そうなんだ”と、レベルの異なる圧倒的な権威と共に受け入れてしまいます。この感覚の差はとても大きいものですが、実際、文字にして”スパコン神話 VS AIに懐疑的な私たち”と表すと、AIに懐疑的なら、スパコンにも懐疑的でもいいでしょ。と思えてくるから不思議ですね。

4.本を読んで行動に変えよう

■まず、考えて。そして、自分の考えを伝えることから始める

 この本に書かれた、多くの温暖化論の事例とその見方もそうですが、何よりも、一端立ち止まって考える事の大切さを学んだ1冊でした。

 温暖化対策で使われる予算は、2023(令和5)年度で約7,000億円です。
温暖化の内容を再整理し、費用の一部を食料問題や、介護・福祉、インフラ整備などに回せるとしたら、日本人は「地球温暖化」論で殺される事はないかも知れません。

”新しい情報を得て、新鮮な分析角度からの議論を経た後に、さらにそれをジックリと時間をかけて考える”。それは、全ての事に於いて、共通する事であり、とても重要な事です。

しかし、厄介な事には、一度動き出した”利益共同体”はなかなか止めるのが難しいものということです。
 おいしい話には乗っておきたい。それも、自分では考えられないような話を、頭のいい人たちが大勢で言っているなら、その流れに乗った方が得な感じがする。その流れに乗らないとお金が入らない。それは、人、そして社会の真理の1つでもあります。

しかし、一端、立ち止まって考える事がやっぱり、必要なのですね。

武田さんはこんな事も語っています。

百獣の王ライオンは、鋭い牙を持ち、たぐいまれなる強力な筋肉を自由に駆使することが出来る。それはなぜか、か弱い人間によって檻に入れられ、動物園で見世物になっている。知識は力である。そしてグラスノスチ(情報公開)は協力な中央集権体制をも倒すことができる。
 ライオンが檻に入れられ、ヒトがそれを見物しているのが、知識が筋肉に勝る力であることの、紛れもない証拠である。日本は、ヨーロッパに勝る知識と分析力、そしてそれを獲得するための基礎的要件としてグラスノスチをしなければならない。
本著がその1つのキッカケになることを願う。

本書より

 グラスノスチとは、1985年にソビエト連邦でゴルバチョフにより勧められた変革運動ペレストロイカの一環として展開された情報公開です。これにより、言論・思想・報道などの自由化・民主化が行われました。

ペレストロイカを事例にされた武田さん。情報公開の意義の大きさを改めて感じさせます。
今は、ネットからの情報が広く取得できるようになり、その情報収集力や整理力が求められる時代となりました。

 国家でレベルや、世界レベルから、スケールダウンしちゃいますが。
先ずは、身近な家庭内や友人の中から情報公開(自分の考えを伝える)を始めて、お互いに誤解する事がない、楽しく気持ちの良い日々をつくり出すことから始めようと考えます。

先ず、考えて。そして、自分の考えを伝える。
これが私のグラスノスチです。


最後までお読みいただきありがとうございました。


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